vol.005 松崎 稔
オリンパス株式会社 CSR本部 CSR推進部 課長 URL:http://www.olympus.co.jp/jp/
オリンパス光学工業(株)入社。19年に渡りカメラ開発に従事。その後、
97-03、米国駐在 R&Dシニアリエゾン兼シニアエンジニアリングマネージャー。ソーシャルマーケティングを本業で展開。
04-05 マーケティング企画部長。グローバルスポンサーシップを担当。
06-07 オリンパスイメージング(株)営業企画統括部 課長。
07-07月より現職。
こんにちは!NPO-Causeの辺田祐志です!
企業をめぐる不祥事が発端となって企業の社会的責任(CSR=Corporate Social Responsibility)が言われるようになってから久しくなり、現在では生活者が企業CSRに敏感になってきています。そのようななかで企業は様々なステークスホルダーを無視して経営を行うことが難しくなってきています。その一方で企業CSRは企業のイメージ戦略として捕らえられがちな側面もあり、まだ企業CSRとは何か?といった難しい状況にあります。しかし、国連のグローバル・コンパクトに代表されるように企業は製品やサービスの提供だけでなく、社会を構成する一員として、政府ではできない事業をNPOなど非営利セクターとともに推進することが求められるようになり、企業CSRの重要性は増していると言わざるを得ません。
また、ユニセフの調査では、20~40代のビジネスパーソンの9割が何らかの形で社会に貢献する活動をしたいと思っているという結果があり、NPO・NGOや社会起業家としてだけでなく、一般企業に勤めながらも社会に貢献できる仕組みが起業に求められています。いまや企業CSRは、社内外から注目を浴びています。
そんな企業CSRの最前線で働きつつ、企業の一社員として社会貢献をしている企業CSR担当者の方々を紹介していきます!
第2回目の今回は、カメラや医療分野などの精密機器で有名なオリンパス株式会社の松崎稔氏。もともとは長年カメラの開発設計者だった彼が、マーケティングを経てCSRに関わるようになったエピソードは、大変興味深いものです。松崎氏のCSRに関わるようなるまでの経験やその中で生まれたCSRへの想いなどを伝えていきます!
Vol.1は松崎氏がCSRに目覚めるまでのエピソードをご紹介!
ご自身がCSRに関わるようになったのはいつごろからですか?
CSRに本格的に関りはじめたのは、ここ一年です。前はカメラ事業会社(オリンパスイメージング(株))でグローバル・マーケティングを担当していて、2007年の7月に移動しました。CSRという名目でやっているのはここ最近ですが、カメラ事業に携わる時から、コーズマーケティング的なことを仕掛けていました。諸事情において、その活動が、事業会社側よりも本社のほうが合致するということで異動してきました。
コーズマーケティングをしようとしたきっかけはなんですか?
皆さんお感じになっているかも知れませんが、カメラ業界は、過当競争の様相が暫く続いています。技術者である私からみると、危機迫るものがありました。そのような状況下で、どうやって将来的・継続的な事業をするか?を考えたときに、従来とは違ったマーケティングをしなければならないのでは、と感じていました。それとは全く別の話ですが、駐在でアメリカにいた時に赴任先のNYで日系企業間で異業種が集まる環境勉強会に参加していました。日本の企業も50社以上集まっていました。そこでは環境関係全般や・州毎に異なるリサイクル法などの規制についての勉強会が行われていたんです。ところが、ある時、アメリカにおける企業倫理の話をした人がいたのです。そのころはエンロン事件等で企業のソシアル・リスポンシビィティ(社会的責任)が厳しく問いはじめられていたころでした。そこで、話題が企業倫理まで広がっていきました。そんな中で、今度は、自分が勉強会を主査する順番が回ってきました。その時、本来の目的は、デジタルカメラの市場導入だったのですが、同時に社会的価値のあるイベントを、異業種の世界一流企業・団体と仕掛けていた最中でしたので紹介いたしました。そうしましたら、その参加メンバーが、その社会的意義について大いに共感頂き、応援メッセージも多数頂きました。そこで、大変勇気付けられたのです。社内でいくら説明してもなかなか良い反応が得られなかったのですが、社外ではきちっとわかってくれる人々がいる。コーズマーケティング的アプローチは進めるべきだと確信しました。・・・ということで、深堀をしてみるか!と本格的にやり始めました。
マーケティングからCSRになったのはどうしてですか?
当時、プロ向きの本格的デジタルカメラの導入を企画していた時ですので、そのアプローチを、従来型のマスマーケティングと並行して社会的な側面も取り入れたコーズマーケティング的に膨らませていけばいいんじゃないか?と提案してみたのです。始めのうちは大変でした。所属の組織的には余計な仕事をやっていて、本来業務がしっかり行えているかという不安があるのです!その為、会社に正式提案後、予算がついて本格的にスタートするときも従来業務に影響しないように、自分の時間でやれと条件付でした。短期の成果を求む企業姿勢においては当然の判断でしょう。アメリカの子会社に駐在して、全社的な取り組みを推進するので、結局は東京本社とのコラボレーションになります。その東京側の調整の仕事量の多さ(組織説得の業務)と、時差に悩まされた初期の半年間がありました。これが一番きつい時期でした。
かなり厳しい立場にもかかわらず続けられたのはどうしてですか?
仕事のモチベーションとして、一番大きかったのはセプテンバーイレブン(9・11)ですね。ちょうどNYの駐在時期でした。そこで、その時に何が起こったかもよく知ることができました。9・11の初期の報道は、第二次開戦の日本のパール・ハーバー侵攻以来、米国が2度目の直接本土の侵略を受けたと何度も何度も、報道し続けました。それには、驚きました。また、その一方で、アメリカって市民レベルでも、そのような緊急事態には、誰もができることを何でもやろうって意識があるんですよ。当時の現地のトップもそのような米国人でした。本社の仰がずに、できることは何でも行動したのです。一般社員もそれに呼応しました。(電話回線も遮断され、本社の承認仰いでいたら何もできなかったのです)。神戸地震もそうだけど、ああいう事があると考え方が変わりますよね。
以前から、「自分が携わっている仕事で何か社会貢献的なことはできないかな?」と考えていました。この事件をきっかけに小さいことでくよくよしても仕方ない。望むと望まざると、グローバル社会の一員として自分が存在しているとことをはっきり意識いたしました。社会と自分と仕事(会社)を強烈に意識させられたのです。また、企業においても、利益第1主義では、将来のために仕込みがどうしても後手になると考えていたので、ここで行動せねばと確信しました。それを、自分の仕事の中で組み上げていったのです。それがCSR的な観点にヒット(適合)するものだったのです。
2004年末に、日本に戻ってきたら、早々に、リストラに会いました。それもまた考えさせられる出来事でしたね。会社には目標があり、それに対して直接的な手段を色々実行するんだけれども、それが本当に5年後10年後を見据えた目標か?というのは自分自身でも判らない部分があるし、その目標だけではだめだなって思ったのです。それに、駐在という環境が会社を、第三者的に見ることができ、絶対軸でもの事を考える機会になりました。今やっていることって本当に正しいのかな?本当にやるべきことなのか?って。結局、会社の優先順位というのは、時には適切ではない上司の判断が優先されるのです。だから、その部分にこだわっても仕方がない部分もあるですよ。それよりかは、多少自分の立場が悪くなったとしても、確信を持つべきことはやるべきと考えました。但し、独りよがりでなく、会社の理念やTOPの意向との整合性は十分に考慮しておく必要があります。
そうまで考えることができたのはどうしてですか?
いろいろ不安になることもあるけど、オリンパスにはSocial INやそれ以前にエクセレントカンパニー等の企業理念のしっかりした思想がありました。東京の本社サイドと、物理的にも情報的にも少し疎遠な現地駐在の立場では、それら理念は、自分の行動する原点となりました。海外においては、その場で判断を求められる場面も多々あります。本社に戻ってから返答するとか、今日のところはこういうことで、というような日本的な進め方が受け入れない相手も沢山います。 そこで、理念や社長メッセージに戻り考えてみると、オリンパスという会社は『志』の高い会社だと思うところがあって、それをよりどころにしたのです。海外の現場では、企業のトップに対しても直接話すことができて、そしたら相手も納得してくれるのです。
・社内でいくら説明してもなかなか良い反応が得られなかったのですが、社外ではきちっとわかってくれる人々がいる
・望むと望まざると、グローバル社会の一員として自分が存在している
・今やっていることって本当に正しいのかな?本当にやるべきことなのか?
長文におつきあい頂き、ありがとうございました!
次回は、様々な人生経験を通して自分にとって本当に大切にしたいと思うものは何か?と考え抜いた末に見えてきたCSRという一つの道。そのCSRへとつながる活動を始めてからのエピソードをご紹介いたします!
乞うご期待!
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Wrote 2009.03.09 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>