vol.010 松原 朋子・龍治 玲奈
マイクロソフトコーポレーション URL:http://www.microsoft.com/ja/jp/default.aspx
松原朋子
企業市民活動推進部 マネージャー
龍治玲奈
法務・政策企画統括本部 政策企画本部 渉外・社会貢献課長
前回は、松原氏、龍治氏がCSRに関わるようになった経歴や、プライベートな質問をぶつけてみました!Vol.2となる今回は、マイクロソフトにおけるCSRとは何かを詳しく聞いてみたいと思います!
マイクロソフトのCSR活動について概要を教えてください
まずは、弊社では一般に言われている「CSR」を「企業市民活動」と呼んでいます。社内で携わっている人数は、直接的には30-40人規模です。松原の部門が企業市民活動推進部という部門にありまして、ここではマイクロソフトとして年間でどういう方向性でどういうメッセージを持って企業市民活動をやっていくかというのを戦略的に策定し、予算管理であるとか、どういう効果が出ているかといったところを測っていく、そういう戦略プランニングの機能をもっています。あとは企業市民活動全体に関わるコミュニケーションを担当していまして、冊子やweb、広告などの対外的なコミュニケーション、社内コミュニケーションの機能をもっているのが私の部門です。龍治の部門は社会貢献部になりまして、社会貢献プログラムを運営している部門になります。つまり、企業市民活動推進部は直接プログラムを持たない全体統括の部門で、具体的にプログラムを運営するのは社会貢献部という住み分けです。社会貢献部は、NPOプログラムの他に、女性や障害のある方の就労を支援させて頂くプログラムを持っておりまして、又、社会貢献部以外にも、障害者、開発者や教育分野などに対するプログラムを展開するいくつかの部門があり、全体として企業市民活動を推進しています。
マイクロソフトにおけるCSRの捉え方はどのようなものですか?
マイクロソフトの企業ミッション、これはグローバルで共有しているミッションですが、"世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をする"というものです。私たちの全ての活動の根底がここにあります。要は、ビジネスにおいても企業市民活動においても、そもそも、人々やビジネスの可能性を引き出す、ということがミッションです。それが営業活動であったり、製品であったり、サービスであったり、CSRであるという考え方で、グローバルで展開しています。
現在世界中をみてもインターネットやパソコンはかなり浸透してきました。しかし、そのようなテクノロジーが推進されていくことによって、今までになかった社会的な課題、製品やサービスが浸透していくが為に出てきている課題というのがありまして、そのような課題に「企業市民活動」として取り組む事を弊社における「CSR」と位置付けています。なので、例えば、''社員ボランティアが植林する''というプログラムは、弊社の場合は、企業市民活動では積極的に推進していないです。必ず私たちの強みを活かして、ノウハウをご提供できること、というのが枕詞になるので、「ITを活用していかに貢献できるか」というところが、本髄ですね。最近は、本業を活かしたCSRということが広く求められてきていると思うのですが、弊社もここ何年か力を入れてやってきているのはそのような活動です。これはすごく重要なことで、やはり本業でないものをやると、何かがあった時にとても崩れやすいのですよね。例えば、急な経済情勢の変化によって継続出来なくなってしまうという事態が発生しかねない。でも、本業であれば、継続ができます。継続されないCSRというのは、受益者の方からすればとても迷惑な話ですよね。継続性があるということと、本業に即していること、そしてナレッジ・ノウハウが社内にある、ということが、ただご支援させていただく、だけではなく、さまざまなプログラムをご一緒にするわけなので、とても重要なことだと思います。
具体的に活動内容を教えてください
活動には、二つの柱を設けていまして、一つは、「UP-デジタルインクルージョンの推進」というブランドをつけています。これは日本だけではなくて、世界各国で統一したキャンペーンを実施しています。この中には、 グローバルでは"50億人の人々に持続的な社会的・経済的機会を提供しよう"というものも含まれます。日本は大部分の人々がITにアクセス出来ますが、一方で発展途上国の方に目を向けると、まだまだ貧困だったり飢餓だったり色々な問題があります。それを例えばITを身につけ、教育を受けることを一つ上の目標として頂く事によって、生活が改善されるケースもあります。このような活動によって、全世界であと50億人の人々にITを享受しても頂きたい、という事がグローバルで展開されているプログラムです。
しかし、日本では貧困や飢餓というよりは、PCを多くの方がお持ちなので、どうそれを利活用することでよりイノベーションを起こし、よりよい社会づくりをできるか、というところにフォーカスしています。
その中でも、三つ課題を考えていまして、一つは「次世代を担う人材育成支援」です。最近では学力の低下や優秀な人材の国外流出などの問題があると思いますが、ITを使っていかに優秀な人材を育てていけるか、学力の向上に貢献できるかといった先進事例を学校と共同して作っています。大学の業務システムにITを導入頂く事で、どのような先生方の業務効率の改善や、教育における先進的な取り組みが実現したかという事例創出をしています。又、小中高等学校等の先生方に向けては、どのように授業でITを活用して頂ければ、よりクリエイティブな授業ができるか、といった事例の創出や、更に基礎スキルのトレーニングを無償で提供しています。
二つ目は「地域経済の活性化支援」です。これは、弊社の強みを生かして、IT産業をどんどん盛り上げて、それを日本の産業活性につなげようといったプログラムです。ITベンチャーなどを支援したり、世界中でイマジンカップを開催しています。世界の学生が競い合って、誰がプログラミングやアルゴリズムで1位かという大会ですが、この間日本の学生がアルゴリズム部門で世界3位になりました。そういう世界で競えるくらいのIT人材をどんどん発掘して、育てていこうというようなものです。
三つ目は、「社会参画へのチャレンジ支援」です。例えば障害のある方であったり、シニア層であったり、ドメスティックバイオレンスを受けた女性だったり、ITを活用することでもっともっと社会参画していただける、生活を改善していただける層の方が実はまだまだ日本にも多くあります。そういった方々へITスキルをご提供して、一つ広い世界、いろんな機会が広がっていくように、という活動をしています。
日本独特の活動はありますか?
日本独特の課題としては、NPO支援にここ数年来力を入れて、「NPOの基盤強化」という課題に向けた取り組みを展開してきました。NPOの方々がいかにITを使って業務を少ない人数で回せるか、ボランティアの方々が出入りしたりする環境のなかで、いかにITを使えば効率化できるのか。自分たちのミッションをどうアピールしたらいいのか、どう寄付を増やしていけばいいのか等の問題に対して、ITで貢献できるところがありますよ、と過去3年間は大規模なイベント(NPO Day)を行うことで広く伝えてきました。
ただ今年からは、もう少し集中的に良質な事例をつくっていきたいです。NPOだけに限ったことではないのですが、先進事例というか、ヒーローを作っていきたいと思っています。NPOの世界でも、ヒーローになるNPOがどんどん増え、社会課題の担い手としてのNPOがもっと力をつけていくことによって、日本の社会課題の解決が促進されるだろうと思っています。ですので、今年は「協働」を目的として、助成金プログラムの名称を「マイクロソフトNPO協働プログラム」と改訂しました。
重要な企業市民活動のもう一つの柱が、"責任ある企業活動"ということで、コンプライアンスなどの部分ですね。最近は、たとえば有害コンテンツを危惧して、子供のインターネット閲覧を規制するという流れがありますが、やはり適切な利用法があるでしょう、ということをご説明して、日本に適した形で安全にインターネットを使っていただけるような活動をしています。学校にいって、小学生に安全なインターネットの授業を行う、或いは、大学で安全なインターネット利用に関する講義を行うという活動もこれから行っています。''責任有る企業活動''のテーマの中には、「知財立国」を目指す日本にとっても重要な課題となる「知的財産の適切な保護と活用」に関する取り組みや、マイクロソフト製品の標準化への規格を強化する動きである「相互運用性の取り組み」も含まれます。
長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!
次回は、マイクロソフト社の企業市民活動の具体的な内容の後半です!
乞うご期待!
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Wrote 2009.04.21 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>