vol.078 スカルマ・ギュルメット
NGOジュレー・ラダック代表 URL:http://julayladakh.org/
インドの北部ラダックの出身大学卒業後、セーブザチルドレンのラダック事務所にて10年間勤務。
その後、ハワイに3年間住み、ハワイ大学卒業。
来日後、国際協力のNGOで働きながら、2004年NGOジュレー・ラダックを設立し、代表を務める。
こんにちは!テトル(インターン)の熊坂 惟です!!
今号から三号に渡ってお送りいたしますのは、「NGOジュレー・ラダック」代表・スカルマ ギュルメットさんへのインタビューです。
第一号となる今号では、海外、国内の活動をご紹介いただきました。
それではお楽しみください!
活動内容について教えてください

環境活動がメインで日本とインドの北にあるラダック地方の2つを拠点にしています。
ラダックの伝統文化の現状をいかに維持していくか、そして、開発の中で近代化とのバランスをとるために、テクノロジーをいかに環境にやさしいものにしていくか、現地の団体と一緒に支援しています。具体的にはソーラーエネルギーです。
ラダックは標高3500mで太陽の力が強く、降水量がとても少ないので、自然にやさしい、無駄のないエネルギーであれば太陽エネルギーが一番なのです。
一つはコミュニティソーラークッカーと呼ばれる、太陽の熱を利用して薪もガスも使わずにご飯が作れる調理器を支援しています。ドイツ人が発明したもので、支援地では50人位で住んでいるコミュニティで使っています。もう一つは小さなソーラークッカーで、家庭単位で使っています。こちらもサイズは小さいですが、パンも焼ける程の熱量はあります。
ソーラークッカーの利点はたくさんあります。私達が活動している場所は、車道がなくて、ウマかロバでしか行けない山道なのです。
このため、いろいろなサービスが受けられず、お金がかかります。
例えば、ガスを買いに行くとすれば、車道が通っている所まで山道を歩き、そこから遠い町までバスに乗ってガスを買えば、交通費やガス代がかかってきます。そして、町から帰ってくれば、重いガスを運ぶためにロバを借り、また運送代がかかってきます。
ソーラークッカーを使えば、さまざまなコストを下げることができるのです。また、環境面にも優れています。部屋を暖めるのに、ラダックでは、燃料として牛の糞を今でも使っています。ソーラークッカーを使えば、その分、糞は畑の肥料に使え、草が生え、動物の食べ物にもなります。
ソーラークッカーを使えば、循環型になるのです。ラダックでは、ワークショップで現地の人たちがソーラークッカーを組み立てています。
ソーラーテクノロジーって大変なイメージがありますが、作れるのですか?
作れます。発電は難しいのですが、ソーラークッカーは簡単に組み立てられます。
ソーラークッカーと発電の違いとは?
発電だとパネルを作らなくてはいけないため、高度な技術が必要になりますが、ソーラークッカーは光を集めて、鏡のように反射させるだけです。
ご飯を作る以外に利用方法はありますか?
はい。温水を沸かせば、寒い冬には温かいお湯で髪や顔が洗え、服も洗えるので、衛生面にも利点があります。
現地でのほかの活動は?
教育です。現地では教育への興味が高まっていますが、家庭、経済の事情で学校に行けない人もいます。
今年の4月から、他の団体のサポートも含めて、そのような子供達に奨学金の支援を始めました。
また、現地で「スタディツアー」を行っています。ラダックには環境に優しい伝統があり、学びが大きいのですが、どこが魅力か現地の人はわかっていません。
ラダックは世界中で評価されています。農業、環境、教育、開発などについて、日本人の参加者と現地の人、若者を集めてワークショップを開き、お互いが理解して学ぶ場も提供しています。
スタディツアーは2種類あり、1つが文化交流スタディーツアーで、ラダックの文化や伝統に触れるツアーです。
もう1つが開発ツアー、エコツアーと呼ばれ、現地の人とワークショップを行いながら、環境や開発について学ぶツアーです。
さらに、大学のゼミに対して、ゼミ合宿の形でプログラムを提供しています。
国内での活動は?
ラダックでの学びを、上映会や講演会など、様々なイベントを開催して伝えています。東京が中心ですが、地方の会員さんの協力を得て、地方でイベントを開くこともあります。
それはラダックのことを広報するためのイベントとして?
それも1つですが、もう1つの目的は、環境について考える場を作ることです。ラダックの特徴は環境に優しい伝統が残っていることです。
同時にグローバリゼーション、グローバル経済などが、ラダックに入ってきていて、ラダックの環境は日に日に変化しています。
ラダックを通して、日本の、世界の環境問題にも考えて欲しいのです。特に最近の若い人たちは、テレビや学校ではわからなかった、伝統と環境の関係、グローバル経済と伝統との関係などを、イベントを通してお互いに共有して、アイデアを出し合っています。
ラダックに残る伝統を学んで、日本のソサエティ活動に生かそうと・・・
そうです。こういうきっかけをできるところで作っています。もう1つはその伝統を実際に経験してもらおうと、ラダックでホームステイプログラムを行っています。
スタディツアーにもホームステイは含まれていますが、休みが取りづらい社会人のために、2日でも3日でも1週間でも、3、4か月でも、その人のニーズに合わせて、ホームステイのプログラムを企画しているのです。
ホームステイに参加された日本人は実際どのような活動をされているのでしょうか?
ラダックの伝統が残る村に滞在し、ラダック人と共に食べ、作業をし、同じ家で寝て、というラダックの生活を体験するプログラムになっています。
日本で生活していくと、どうしてもお金がないと生きていけません。
ラダックでは農業があり、土地があるから、家畜がある、家族がいる、人がある、何でもあります。少し不便な点はありますが、心は豊かに生きていけます。この体験を、実際に肌で感じることができるのです。
このラダックでの生活は、日本にはないライフスタイルなので、帰国してから、ラダックでの体験を活かして、農業など、部分的にやっている人が色々といます。それだけではなく、国際協力も。
JICAとか?
私達のホームステイやスタディーツアーで、実際に参加をして、帰国後、彼らの中で何かが変わって、どんどん社会の中で活動している人々は、実際にいます。
例えば、青年海外協力隊に参加して、ラダックでの経験を生かして、環境にやさしい開発を途上国向けに行ったり。
今までの開発の考え方として、道を作ろう、経済をとりあえず作り出そうという傾向があって、それはそれでいいかもしれないけれども、やはりそこには問題点があります。
ラダックに行くことによって、やっぱり伝統も大事だとわかってもらいたいです。
伝統的な物がいかに環境に優しく重要なものだというアイデアは、ラダックに行かないとわからないです。
そうですよね、伝統というのは難しい・・・
そういうコミュニティを、ラダックで実際にホームステイするのと、ビデオで見るのとは違うものがあります。
ラダックで伝統を勉強して、日本での伝統を振り返ると・・・
ラダックに行った参加者は、自分の社会に対する伝統への理解をより深くして帰国し、最近、その結果となる種が少しずつ色々なところに落ちていると思います。それが社会の栄養になるのではないかなと私はそう信じています。
ラダックから帰ってきて、我々は今ここにいます。そして、日本のコミュニティの中で、色々な場に参加し、ラダックのことを伝えていくことが重要です。
誰しもの中で、何かが変わり、個人がこれから、どう行動するか。
社会について誰もが考え、ラダックを学び、現実に変えていこうというきっかけになればと思います。
国内事業はいかがですか?
アースデイなど、色々なイベントに参加しています。
あとはグローバルフェスタですか?ほかには出ていますか?
グローバルフェスタの他は、六ヶ所村や富山など地方のアースデイにも参加しています。
そのときもラダックの環境の話をイベントの中でしましたね。
企業にレクチャーに出かけたりとはしないんですか?
まだしていません。人手が足りていないのです。
●伝統的な物がいかに環境に優しく重要なものだというアイデアは、ラダックに行かないとわからない
●実際にホームステイするのと、ビデオで見るのとは違うものがあります
●何かが変わり、個人がこれから、どう行動するか
「NGOジュレー・ラダック」スカルマ ギュルメットさんへのインタビュー(第一号)は以上になります!次回もお楽しみに!!
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Wrote 2009.03.17 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>