vol.088 石井澄江/塩田恭子
JOICFP(家族計画国際協力財団)事務局長/広報アドボカシーグループ アシスタントプログラムオフィサー URL:http://www.joicfp.or.jp/jpn/
石井澄江(いしい すみえ)
1975年よりジョイセフの活動に携わる。フィールドでの経験を活かし、アドボカシー(政策提言)で中心的な役割を果たす。
2003年より事務局長を務めている。ベトナムに単身赴任した経験あり。夫一人、娘一人の三人家族。
塩田恭子(しおた きょうこ)
2006年からジョイセフ職員として広報アドボカシー業務に携わる。大学では国際関係、アメリカの大学院で教育開発を学んできた。海外のNGOや国際機関との関係強化、国内での広報活動/政策提言に努める。
こんにちは!テトル(インターン)の熊坂 惟です!!
今号は前号に引き続き「JOICFP(家族計画国際協力財団)」事務局長・石井さん、広報アドボカシーグループ・塩田さんへのインタビュー(第二号)をお送りいたします。
安全に妊娠して、出産するということが当たり前ではない国が世界にはたくさんあるそうです。
第二号となる今号ではその原因に迫ります!
それではお楽しみください!
塩田氏:どうしてジョイセフのこのような活動が必要かということですが、妊娠や出産が原因でなくなる妊産婦は年間53万6000人と言われています。
この数字は20年間以上変わっていないんです。この数は、1分間に1人の割合で女性が亡くなっているのと同じ数になります。53万6000人の99%は途上国の女性です。
20年以上変わっていないっていうのはどうしてなんでしょう
塩田氏:やはり文化とか慣習がすごく根強いので、男性優位の文化があれば、それは変えるのにすごく時間がかかりますし、変える必要性も感じない人が大半であれば変わりません。
かなりお腹が大きい妊婦さんでも、水汲みをしたりだとか、まき集めをするなど、重労働を続けるので、それがその地域で女性の役割だとされていれば、せざるを得ないというか、することが当たり前なんです。
石井氏:水集めとか焚き木集めというのは女性や子供の仕事ですから、特に今のように環境の問題が出てくると、雨が降らなくなったとか、乾期になったというと、何時間もかけて5リッター、10リッターの水を運ばなきゃいけないっていうことになるんです。
それはものすごく重労働ですが、お腹が大きいからといって、じゃあ誰か変わってくれるかと言ったら、それはないんですね。
塩田氏:また出産キットと言われるものがありまして、日本で言ったらお産婆さん的な人にあたる人で、伝統的助産師(Traditional Birth Attendant:TBA)とよばれていますが、医療的な知識を持っているわけではないのですが、慣習に基づいてお産を介助してきている人たちですね。その人たちが使っている道具を見ていただくと途上国のお産の現状が垣間見えます。
赤ちゃんを産む時に、動物の皮にお母さんが寝ます。へその緒は石でできたナイフを使って切るんです。この場合、このナイフが不衛生だったら赤ちゃんとお母さんが破傷風などの感染症にかかって、2人とも亡くなるということもあります。
他にも、もし赤ちゃんが生まれてきて息をしていなかったら、伝統的助産師さんが葉っぱをくちゅくちゅとかんで、赤ちゃんの顔にぷっとふきかけると、息を吹き返すというふうに言われているところもあります。
本当ですか。
石井氏:もちろん効果はありませんよ。ただそういう伝統に基づいて、このようなことがずっと行われている。これを何とかしない限り、お母さんの命は助からない。
53万6000人の女性がどういうことが原因で亡くなっているかというと、
出血多量が34%で死亡原因の1位になっています。
クリニックの医療器具が十分でなかった場合や、病院へのアクセスがなくて自宅分娩で対処してしまう人は、出血多量に陥った時にも助からない場合が多いのが現状です。妊産婦の栄養不足も出血多量に陥る原因のひとつになっています。
石井氏:一番大きな問題は、基本的にちゃんとしたトレーニングを受けた人が、お産に立会えないという状況がほとんどだということです。だから何か緊急のことが起こると何も対処ができなくなるんですね。
塩田氏:お母さんが亡くなった場合は、赤ちゃんも亡くなってしまう場合が多いというデータがあります。5才未満で亡くなる970万人のうち、400万人、約40%が、生後28日以内に亡くなっています。
石井氏:特に生後1週間以内で、300万人の赤ちゃんが命を落としています。
塩田氏: その300万人をもっとブレークダウンすると、生後24時間以内に亡くなっているのが200万人。ほとんどの赤ちゃんが24時間以内、また1週間以内に亡くなってしまっているという状況です。
そして、両親が生きている場合や、父親が亡くなった場合では、男の子も女の子の死亡率も、あまり変わらないのですが、お母さんが亡くなると、特に女の子の死亡率がぐんと上がります。
赤ちゃんの命を守ることもすごく重要ですが、その要となっている母親を守ることがすごく重要なんですね。
塩田氏:ジョイセフではこのような状況に対処するために、海外でプロジェクトを運営する他、人材研修や、アドボカシー(政策提言)や、国内での広報活動をしています。
人材研修では途上国から母子保健、家族計画や思春期保健に携わる政府関係者やNGOスタッフなど、途上国で指導的役割を担う人材を養成する事業を行っています。
色々な国からの参加があり、カンボジアやベトナム、アフガニスタンやバヌアツなど世界中から集まってきます。
またODAの中でも妊産婦保健があまり重要視されていないので、フォーカスをしっかりあてて問題解決に取り組んでくださいということを政策提言で政府に対し訴えています。
G8サミットに向けては、国際保健課題にG8諸国が取組むよう求めた署名活動を行い、当時の福田首相に、集まった署名を届けに行く、ということもしました。
●1分間に1人の割合で女性が亡くなっているのと同じ数
●生後1週間以内で、300万人の赤ちゃんが命を落としています
●赤ちゃんの命を守ることもすごく重要ですが、その要となっている母親を守ることがすごく重要
「JOICFP(家族計画国際協力財団)」石井さん、塩田さんへのインタビュー(第二号)は以上になります!次回もお楽しみに!!
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Wrote 2009.02.16 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>