vol.108 甲斐田 万智子

特定非営利活動法人 国際子ども権利センター(シーライツ C-Rights)代表理事  URL:http://www.c-rights.org/

1960年生まれ。
上智大学外国学部卒。サセックス大学開発問題研究所修士課程修了。
大学時代にボランティア活動を始め、(財)日本ユニセフ協会で勤務後、
イギリスの大学院でNGOによる開発教育を研究。
1996年に国際子ども権利センターに参加。
子どもの「参加の権利」を普及する活動を開始。
2001年より代表を務める。
2003年からカンボジアにおいて子どもによる「人身売買・児童労働防止プロジェクト」に従事。
編著書に「立ち上がる世界の子どもたち」(ポプラ社)、共著に「グローバル化と人間の安全保障」(日本経済新聞社)、『開発教育~持続可能な世界のために』(学文社)など。
立教大学・桜美林大学非常勤講師。

こんにちは!テトル(インターン)熊坂 惟です!!
今号は前号に引き続き、特定非営利活動法人 国際子ども権利センター(シーライツ C-Rights)代表理事・甲斐田 万智子さんへのインタビュー(最終号)をお送りいたします。
最終号となる今号では、甲斐田さんご自身が活動に関わるまでの経緯をお話しいただき、ご自身の社会における役割を語っていただきます。
それではお楽しみください!

                                        

「子どもの力を信じる」

                          

活動に関わるようになったきっかけは?

最初のきっかけは、大学時代ですが、子どもの権利に深くかかわるようになったのは、89年にイギリスの大学院で留学を終えて帰るときに、本屋さんで一冊の本を見つけたことです。タイトルが英語で「Broken Promise」という本で、89年、条約が採択されたその年に書かれた本でした。

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翌年それを日本語訳して出版することになるのですが、そこには、子どもの権利条約制定の過程が書いてありました。それまでの11年間、各国政府やNGOが議論を続けてきて、ようやく条約ができたという内容が書かれていて、そこで初めて子どもの権利条約を意識しました。実感として子どもの権利がすごく大事だと思ったのは、インドで子どもたちが活き活きと参加しているNGOの活動を見たり、母親からくず拾いやらされて稼ぎが少ないと叩かれる子どもたちの現状を見てからです。
一番弱い立場にある子どもたちに権利があるということを伝え、その権利を使ってもらうことによって、侵害から逃れて欲しいということを思いました。それがきっかけですね。

イギリスでは開発学を勉強していたのですか?

そうですね。最終的に、「イギリスにおけるNGOとメディアの開発教育への役割」という修士論文を書きました。

留学は大学時代から決めていたんですか?

いいえ、卒業後に日本ユニセフ協会で四年間働いて、その間に決めました。

大学時代から国際協力に興味を持っていたのですか?

大学2年生の終わりに犬養道子さんの講演会を聞いたことがきっかけです。私が大学に入った時は79年で、インドシナ難民の流出がとても多かった年で、多くの学生が難民キャンプにボランティアに行ったりしていました。周囲を見回して、ボランティアしている友達はすごいなと思っていましたが、犬養さんのお話しを聞いて、実際に私もやろうと思い立ちました。

どういったお話しだったのですか?

「こんなに世界には難民がいるのに、日本は冷めやすいから一時的なボランティアブームとして忘れてしまいそうだ。日本人は熱しやすく冷めやすいから、もう忘れかけているけれども、インドシナだけではなく、まだ世界中にはこんなに難民がいるのよ!」といったお話しをされたことがきっかけです。
講演後に教室を出ると、ユニセフのボランティアの会があって、アフリカの飢餓の募金活動でカードを販売していました。そこに入会したのがきっかけです。

一般の方の意識は変化してきていると感じますか?

NPONGOがだいぶ世の中に受け入れられてきたと思いますね。当初は一部の変わった人が携わっていると思われていましたが、だいぶ敷居が低くなってきたと思いますね。
それでもまだ、こうやって活動していると「偉いわね。」と言われます。偉いのではなく、フツウなのだと思われるようになるにはまだまだ時間がかかりそうですね。
イギリスではもっとフツウにNPONGO活動がされていますね。特別な人たちだけではなくて、みんな気軽にやっているので。

違いは何ですかね?

大きいのはやっぱり寄付文化だと思いますね。イギリスは主な宗教がキリスト教で、日曜日には献金があります。そうした慣習もあって、途上国への人々を支援する寄付というものが当たり前になっているんですよね。だからNGO団体の規模も違います。
団体の規模が大きいと、社会への影響力もあります。
影響力が大きいと、市民が身近に感じるわけですよね。例えば、オックスファムショップなんてあちこちにありますし。そうするとみんなが関わりやすい活動になるし、団体としてもメッセージも発しやすいですよね。
日本にある規模の大きいNGOはみんな欧米から来ていますよね。だから日本独自のNGOが豊かになるような寄付文化が作られる必要があると思うんですよね。

モットー

「子どもの力を信じる」それがないと、子どもの参加もできないと思うので。

ご自身の役割

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子どもが持っている力を大人たちに伝えていくのが役割だと思っています。
子どもは参加する機会さえ与えられれば力を発揮することができます。
「子どもは権利を行使する機会を与えられたら、わがままになるのではなく、相手の権利も尊重できるようになる」というメッセージを伝えていく役割です。実際にそういった子どもたちを見てきている人間として。

最後に、社会の中で納得いかないこと

子どもの権利が嫌われていることですね。子どもに権利なんていらないって言う人が、日本社会にたくさんいます。
「甘やかすことになる」「子どもは導かれるものだから大人が教えなくてはいけない」そういう考え方をする人が意外と多いのですが、子どもは権利をきちんと教えられると相手の権利も尊重できるようになり、責任ある人間に育つことを知ってほしいと思います。

Word of power

●権利を使ってもらうことによって、侵害から逃れて欲しい
●偉いのではなく、フツウなのだと思われるようになるにはまだまだ時間がかかりそう
●子どもは権利を行使する機会を与えられたら、わがままになるのではなく、相手の権利も尊重できるようになる

今号で、三号に渡りお送りしてきました国際子ども権利センター代表理事・甲斐田 万智子さんへのインタビューは以上になります。最後までお読みいただきありがとうございます!
各地での講演、ワークショップ、大学での授業、活動、執筆、休む間もなく活動している甲斐田さん。ちなみに、以前ご紹介したACEの岩附さんは、甲斐田さんに大きく影響を受けたそうです!それでは次回もお楽しみに!!

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