vol.115 永石 安明

財団法人オイスカ事務局長  URL:http://www.oisca.org/

1958年生まれ。
日本福祉大学大学院国際社会開発研究科博士前期課程修了。
79年財団法人オイスカ産業開発協力団(現・財団法人オイスカ)
東京本部入所。
80年以降、フィリピン、インドネシア、バングラデシュ、
ミャンマーなどの海外プロジェクト勤務を経て、
2005年より東京本部勤務。
08年4月より現職。

こんにちは!テトルの藤澤 あすかです!!今号から三号に渡ってお送りいたしますのは、財団法人オイスカ事務局長・永石 安明さんへのインタビューです。オイスカは50年近く活動している歴史ある団体です。
第一号となる今号では、設立の背景と理念を中心にお話しいただきました。

                                    

人間は土と共に生活しています

   

自分たちの経済発展だけ考えていてはいけない

                       

今から約50年前、日本は高度経済成長に突入していました。「所得倍増」を目指し、戦後の荒廃から立ち直りつつあった日本は、欧米に追いつけ追い越せと、""発展""に目を向けていたのです。その発展の意味するところは、経済を発展させるための、工業中心のものでした。
一方その頃、アジアに目を向けるとインドでは干ばつがおこり難民が出ていました。バングラデシュではサイクロンで何万人もの人が亡くなるなど、自然災害が多発していたんです。しかし、日本全体の思考が欧米に向かっていてアジアに向いていなかったので、問題意識がありませんでした。
そんな中、宗教も言葉も違うけれど、同じ人間が苦労している状況の中で自分たちの経済発展だけ考えていてはいけないと考えたのがオイスカ・インターナショナルの創立者、中野與之助翁だったのです。與之助翁はすぐに行動を起こしました。当時の東パキスタン(現在のバングラデシュ)へ救援物資を送り、さらにインドへ食糧増産を目的とする技術指導のため、日本の篤農家を派遣したんです。

だから、オイスカの創立当初のスローガンは「Food First」だったのですね。

そうです。まずは食料が必要だ。食料なくして人間は成り立たない、と與之助翁は感じていました。そんな中、オイスカは誕生したんです。1961年でした。

                                                                                                

一番力を入れてきた活動はなんですか?

オイスカの活動の一番のポイントは、農業を通じた人材育成です。オイスカでは、設立当初からアジアの青年を研修生として日本に受け入れてきました。
日本で研修を受けた青年たちは現地に戻り、農業の技術協力や環境保全といった活動をコミュニティーの中心になってやっています。
この農業を通じた人材育成こそが、オイスカの活動の原点です。
最初は「Food First」という理念のもと日本人の農業の専門家をインド・フィリピンなどに派遣して活動が始まりましたが、日本人がいつまでも海外に行って指導していたのでは持続可能な活動にはなりません。
ですから、それぞれの国の青年自身が、自分たちの国でリーダーとして活動できるように、日本国内に4ヶ所あるオイスカの研修センターで、農業や工業の技術を徹底して勉強してもらい、同時にオイスカ精神も学んでもらいます。
厳しい生活の中で、約束を守ること、礼儀を大切にすること、感謝の気持ちを忘れないことなど、本当に基本的なことですが、そういったことを徹底して教えます。
そうやって頑張った人たちが地元に戻って活動してくれるようになって、オイスカの活動はものすごく幅が広がってきました。
人間は土と共に生活しています。ですから、土との接触が少なくなると不健康な状態になります。土と密接な関わりをもつ農業、環境保全、自分たちのふるさとの自然を大切にすることが、人間にとって健康な状態でいることに繋がっていくと思います。自然を大切にすると、人も大切にできるようになります。
活動でも何でもそうですが、教えてやるんだとか、やってやるんだという姿勢では、相手側に受け入れてもらえません。そういう考え方の指導者には、どんなに知識や経験があろうと、現地の人たちが壁を作ってしまう恐れがあります。
それに、くわを担いで畑に出ると、人間の非力さというのがわかります。たった1人で何ができるんだ、と。
オイスカは、すごく大きいことを言っているけれども、実際の活動は地道な作業の積み重ねなんです。そういう感覚は、実際やってみないとわかりません。人間1人の力というのはなんてちっぽけなんだと、実感してしまいます。
だからこそ、お互い協力していかないと成り立っていかないんだということを痛切に感じました。

Word of power

●同じ人間が苦労している状況の中で自分たちの経済発展だけ考えていてはいけない
●人間は土と共に生活しています
●人間1人の力というのはなんてちっぽけなんだと、実感してしまう

財団法人オイスカ事務局長・永石 安明さんへのインタビュー(第一号)は以上になります。次回もお楽しみに!!

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