vol.125 永田 安月子

NPO法人水辺と生物環境保全推進機構・理事長  URL:http://www.mizube.info/project.html

東京生まれ、長崎育ち、猫1犬1と夫と東京在住。
幼稚園から剣道、小学1年から釣りに填(は)まり、竹刀と釣竿を振り回しているうちに大学生になる。
大学時代は、海の調査、海の動物調査に参加、五島列島から北海道まで関わり、海の大切さ・生態系を学ぶ。
薬剤師として大学病院勤務を経て再び大学で教育社会学を学ぶ。臨床心理士として私立高校教員、大学講師を経験。その間、武道学園を設立し園長へ。剣道・空手・合気道の指導を通して、小学生~高校生の心の問題を学ぶ。
任意団体から、2001年、NPO法人水辺と生物環境保全推進機構(水辺EPO)の立上げで理事長へ。
まちづくり活動の参加で江東NPO協議会の設立へ携わり、代表理事へ。
江東区社会福祉協議会評議員へ携わり、現在に至る。
将来の夢は、小笠原か沖縄へ移住して、自給自足の暮らしをすること。
現在、活動の一環として全国各地の水辺保全活動を紹介するサイトづくりに取り組んでいる。各地の保全活動の顔の見えるネットワ-クで、汚れ・傷んでいる川・海の保全活動の広がりへ期待している。

こんにちは!テトル(インターン)の熊坂 惟です!!
今号は前号に引き続き、NPO法人水辺と生物環境保全推進機構理事長、
永田 安月子さんへのインタビュー記事(第二号)をお送りいたします!

釣り人たちに対する環境教育が絶対必要

釣りも遊びの一つと考えている方が多い中で、
活動に一気にシフトできたのはなぜでしょう?

伊豆七島から小笠原、奄美、とにかく全国飛び回っていましたが、
釣り人たちのマナー・モラルが嫌でも目に入ります。
寄せ餌になる飼料を蒔きすぎたり、余ったそれをまとめて放置したり。
釣りの仕掛け(釣り糸や釣針など)の放置、釣れた外道(狙った魚以外の魚)の放置など。
自然環境へ立入って釣りをしているというより、
今釣るだけ!で
環境はどうでもいい!タイプの釣人が多かったです。

釣りというのは豊かな海があってはじめて成立するので、
釣り人たちに対する環境教育が絶対必要だと感じました。
最初に釣りを教えた人次第で、教わった人のマナ-・モラルが全く違いましたね。
そういうのを目の当たりにしてましたから、
環境教育の必要性は子どもだけでなく、
中高年向きにも絶対必要だなって思いました。

なるほど、そこから問題提起されたんですね!

そうです。大島なら大島の海だけが汚れていくのではなく、
全てに関わる問題なんですよ。
海が濁ると、魚が繁殖して育つための海藻・海草が充分に光合成できずに育たない。
すると生き物たちの卵を産む場、
成長する場が奪われてしまうんです。
海の生き物たちの「海のゆりかご」と呼んでいますが、
海のゆりかごの大切さの啓発活動が絶対に必要なんです。
酷い赤潮になると、魚も貝類も海藻・海草も死んでしまいます。
毎日の暮らしの中で環境にやさしい暮らし方を考えて、
油脂汚れを流さないようにとか、
合成洗剤はやめて環境へ出て分解性の良い石けん洗剤を使うとか
「ちょっとした工夫とわずかな努力」で
川や海を汚さない暮らしができるんです。
誰でも直ぐにできることなんです。

釣りを楽しむ本質を知ってもらうってコトでもありますよね?

必要だなと思いますね。
なぜ海が大切なのかという啓発活動を、講演会、講座、ワークショップ、
様々な手法で様々な層の人たちに働きかけようと動き始めました。
ただ、私たちの活動はとにかく地味な活動なんです。
環境の大切さに無関心な人たちは、外方むきますからね。
草の根活動でコツコツとみたいに、頑張らなければですね。

継続していくのが難しい活動ですよね。本当に。
どのように周囲を巻き込んでいるのですか?

「海が好き」という共通点を持った方々ですね。
巻き込むという観点で言うと、
例えば、中央区に浜離宮恩賜庭園がありますよね。
そこで水質調査、生物調査をやらせていただき、
その成果を出展で展示したり、その情報発信をするといった活動など。
現在は都内数箇所の環境学習事業に参画し、企画など担当させていただいています。
そこでも講演会、ワークショップ、講座、フィールドワークを担当しています。

毎年4月からの募集で、参加者を浜離宮までご案内して、
もちろん川や海を大切にしようというお話しもありますが、
生物も実際に観察し水質調査の体験などやります。

浜離宮の水面下は
「庭園の池なのになんだか海藻みたいなものがあって汚いわね」と
思う人もいるかもしれませんが、
海水・淡水の混じった汽水環境で、
生物は海の環境にいるものがいます。
ハゼたちの繁殖の場になっていて、海藻が海のゆりかごになっているんです。
それを近くで観察したり、海藻の中の微生物を顕微鏡で観察したり、
地域の運河から汲んでいった水と、
浜離宮の水と比較したり、そういった体験型プログラムを盛り込んでいます。
浜離宮恩賜庭園は国の特別史跡・文化財ですが、
東京湾奥の生物環境として大変貴重なところです。

参加される方はどういった方ですか?

都内の主催者が募集してくださったり、当会が募集したり。
小学生の親子連れが多いですね。
大人ばかりの時もありますが。
講演会、ワークショップだけでなく、浜のクリーンアップ活動もしています。

川や海辺のクリ-ンアップ活動は、
企業でも取り組むところが多いですが、
永田さんの目から見てもやはり重要な活動なんですか?

川も海もゴミが多すぎるってことですね。
広い場所のクリーンアップ活動なので、大勢の参加者が欲しい、
参加者を集めやすい、大勢が参加することで活動に対する意識を高められると思います。
島国ですから、国内から出たゴミも外国から漂着したゴミも海岸に打ちあがるので、凄い量です。
私たちのやっているライフスタイルの改善啓発活動を、もっともっと広げて、
無駄をしない暮らし、ゴミを出さない暮らしにしていきたいですね。
外国では野菜も果物も包装無しでそのまま売っていますし、
箱に入ったものや袋に入ったものもそのまま買って帰ります。
日本では野菜も魚も肉も殆どプラスチックトレ-にのせてラップをかけていますよね。リサイクルできるトレ-でも使いすぎです。

私達の開催している海浜クリーンアップ活動は、浜のゴミ拾いだけでなく、必ず水質の調査の体験を行っています。
なぜ私たちが今日ゴミ拾いをするのか、なぜ水質の調査をするのか、それを実際に聞いて体験していただいて一つの活動にしています。
ただ集まってゴミ拾いをして、「きれいになってよかったね」で終わってしまっては、ゴミ拾いのボランティアです。
同じ集まるのだから、海を大切にするという意識を高めてもらうことで、
子どもも大人も参加が面白くなると思うんですよね。

昨年6月に新木場若洲で、"きれいな海を取り戻そう!海底清掃大作戦"の第1回をやりました。日頃おつき合いのある会も、ダイバーも、本当に大勢集まってくださいました。

ボランティアですよね?ダイバーを集めるってすごい!

ダイバーは50人ぐらい集まりました。
実際にボンベを背負って海底に行くのが30人くらい、水中でそれを手伝う人やカヤックで作業を補助する人など。
陸上は105名で、昼休み時間は"フラダンス"ショ-で40名の協力がありました。
大勢の方々のご協力で実施ができました。日頃の交流、ネットワ-クが大切ですね。

こういった規模のイベントは定期的に行われているんですか?

水辺再生プロジェクト・海底清掃大作戦活動は初めて実施しました。
「サイエンスカフェ」という講座も定期的に行っています。
「お茶をいただきながらちょっと科学をしよう」といったコンセプトで。
合成洗剤は生物にとって生活しにくい環境を作ってしまいますよね。
それに引き換え、昔ながらの石けんは動物や植物の油脂を使って作られているので、身体にも環境にも安全です。
実際に石鹸を作ることもやっています。
ドライクリーニングに出すと、それらは石油系溶剤で洗われますが、
その溶剤は環境にも身体にも大変危険なものですが、
そういった情報が無いので、知らないで暮らしているんです・・・それだけではなく、
ドライクリーニングに出すということはお金がかかるし、危険な溶剤を使っていることを容認しているということなんですよね。
「ジャンバーでもセ-タ-でも石けんで洗ってしまおう」「それにはどうやって洗うんだろう」ということを、
プロの技から学ぼうということで洗い方講習を行ったりもしています。
女性に人気のある行列のできる講座!です。(笑)

直球だけじゃなくて、変化球も交えて。
それって本当に大切ですよね!

一般の人も、浜離宮で自然を見ながら生物の話を聞くのが好きな人もおりますし、
家庭の主婦で日常の家事における手荒れで悩んでいる人もいますし。
一般的に使われている合成洗剤は、
工業的に化学合成された合成界面活性剤を主成分に作られたものなので、皮膚に影響が出ますね。
皮膚科に通いながら薬を塗りながらも、洗剤を変えない人もいます。
そういった毎日の生活から学びたいという人も多く、そこから発展させた講座も行います。
環境に身体にやさしい洗剤でも、使い過ぎは環境を傷めますから、石けんを少しだけ使い水環境を大切にしてきた先人の暮らしに習い、
水辺・生き物・人が共生できる環境を取り戻すようにしないと、もっともっと川も海も痛んでいくと思います。
今は、これまでのライフスタイルを見直し改善する時代と思いますね。
昨年、読売新聞社の推薦をいただき「コカ・コーラ環境教育賞」の主催者賞をいただきました。

すごいですね!

継続的活動が評価されたのだと思います。
そういった評価をいただくのは大変ありがたく、嬉しかったですね。
環境活動の賞は応募もあり、推薦もありで大きな賞・凄い賞もあるようですが、
それは私たちには遠いところの話しと思ってました。
これまで活動で賞をいただけるということを考える余裕も無くやってましたので、
を頂いたことで"私たちの活動でも頂けるんだ!"と、気が付きました。
小学生から一般まで人気がありますが、海藻を糸口として海の環境を学ぶ講座があります。
海がなぜ大切か生物と海藻の関わりを学んで、カラフルで様々な形の海藻を使って「海藻おしば」体験をしています。
まるで絵具で描くように、各自のセンスで紙の上に海藻をデザインして、
世界に1枚の作品をつくります。
乾燥して仕上げますが、だれでも素晴らしい作品がつくれて、
大変喜んでいただいています。この講座も広げていきたいと考えています。

Word of power

●今釣るだけ!で環境はどうでもいい!タイプの釣人が多かった
●草の根活動でコツコツと
●大きな賞・凄い賞もあるようですが、私たちには遠いところの話しと思っていた

NPO法人水辺と生物環境保全推進機構・理事長、永田さんへのインタビュー(第二号)は以上になります。次回もお楽しみに!!

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