vol.116 國田 かおる

Carbon to Forests代表  URL:http://ctf.jp/

1979年7月生まれ
1985年~1990年 小学校時代をNYで過ごす
1994年~1996年12月 高校時代をシドニーで過ごす
2001年3月 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2001年4月 東京ガス株式会社入社
2002年4月 京都大学大学院 地球環境学舎入学
2004年4月 松下政経塾入塾
2006年9月 YENから派生した食事会「エンカレ」をスタート
2008年2月 藤崎事務所に入社。現在に至る

こんにちは! テトルの 本村拓人です!!
全4回でお届けしている藤崎事務所の國田かおるさ んインタビュー。今号は第3回目の配信です。
世界は広く、たくさんの人がいて、さまざまな職に ついています。しかし、"世界は広い"なんてひと 言で言えますが、簡単に想像することはできません 。おそらく世界は想像を越えて遙かに広く、想像す らできないような人生を歩んでいる人もいるのです 。できれば、鋭くアンテナを張り、常に情報は集め ていたいものだと思うのは、どれほどかけ離れた想 像外の世界でも、接点を見つけられる可能性はある 、と思うからです。
たったひとつの情報により、大きく人生が変わるこ とは、決してめずらしいことではありません。國田 かおるさんも、偶然目にした新聞記事が、その後の 人生を変えてしまいました。國田さんは、どのよう にして松下政経塾に出会い、そして入塾することに なったのか。また、松下政経塾とはどのようなとこ ろなのか。國田さんに話を聞いてみました。

同じゴールを目指しているのに、共に歩くこと ができない

──國田さんの経歴でお もしろいのは、松下政経塾ですね。京都大学の大学 院をご卒業後に入塾されていますが、どうして松下 政経塾に進まれたのか、経緯を教えてください。

はい。私は、京大の大 学院生だったときに半年間、環境省でインターンを していました。同時に、環境エネルギー政策研究所 というかなり進んだ政策提言型のNPOでもインター ンをしていたんですね。そういった場所に身を置い てみるとよくわかったのですが、行政も企業もNPO も、みんな同じところをゴールにしているんです。 つまり、温暖化をなんとかしたい、と思っているん ですよ。
ところがなぜか、それぞれ協力関係が上手に結べて いないと感じることがあったんです。もちろん、う まくパートナーシップを組んでいるところもありま すよ。でも、うまくいっていないところもたくさん 。私は、なぜこの人たちはお互いの立場を理解しよ うとしないのだろうと不思議に思いました。同時に 、その状況を知ってしまったので、どこに就職した らよいのかわからなくなってしまったんです。

──確かにそれは困って しまいますね。その輪の中に入っても、無駄な労力 が大きそうです。

そんなとき新聞を見て いたら、白井智子さんという沖縄のフリースクール の校長先生に就任した方の記事が掲載されているの を見かけたんです。なかなか学校になじめなかった 小学校、中学校時代のことを顧みながら、ああ、こ んなスクールがあったら、私も楽しく日本の学校に 通うことができたのかもなぁ、なんてことを考えな がら記事を読んでいくと、白井さんのプロフィール に松下政経塾卒とありました。
なんだろう、この松下政経塾って。そう思って調べ てみると、どうやら松下幸之助という人が作った「 学校」らしい。しかも、世界の平和のために貢献す る若い人に育ってほしいから、3年間の暮らしの保 証をする、ということだったんですね。研修を受け ながらお給料がもらえて、研究費用も出していただ けるんです。驚いた私は、さっそく図書館へ行き、 松下幸之助の本を読みました。
百冊以上出ている本の中から、『松下幸之助の哲学 』という本を読んだ私はもうびっくり。私が言いた くて、なかなか言えなかったもやもやとしたことを 、なんと何十年も昔にこの松下幸之助という人が言 ってくださっていたんです。もうこれは受けるしか ないと思いました。

──それは衝撃的かつ、 すばらしい出会いですね。ちなみに入塾希望者はど れくらいいるのでしょうか?

毎年だいたい250人か ら300人くらいの書類応募があるようですね。それ で面接などがあり、私の代は入塾した同期が8名で した。で、ちゃんと卒業したのが3人。

──ええーっ? やたら ハードな感じですね。

途中でやりたいことが できて、抜けていく人が多いんですよ。政経塾とい うくらいですから、政治家を志望するような方も多 くて、塾を途中で辞めて出馬される方もいましたね 。私は願書を出した当初、自分の選挙区すら知らな かったので、まわりの人たちと話が合うか結構不安 でしたね。

講習で体験した、100キロ行軍に、自衛隊のパ ラシュート演習

──100キロの道のりを歩 く、100キロ行軍を行うと聞いたのですが、本当で すか?

歩きますよ(笑)。三 浦半島一周です。24時間以内に歩ききれなければ、 翌年また同じ100キロの道のりを全員で歩くことに なります。連帯責任なんですね。だから、歩けなく なった人が現れたら、おぶってでも続けなくちゃな らないんです。恐ろしいですね(笑)。100キロ行 軍をやったおかげで、人間は1時間で5キロ歩けて 、10分休めばまた歩き出すことができる、なんてこ とがわかりました。30キロ歩く? だったら6時間 半かな、みたいな。

──(笑)。ウソみたい な話ですね。なんか笑ってしまいました。

3年間の塾生活の中で 、最初の1年は集合研修を行うんですね。そのとき には中国の工場で1ヶ月間働くという研修や、和歌 山の世界遺産である熊野古道を歩く研修、ほかに自 衛隊に入隊する研修などもありました。自衛隊研修 では習志野でパラシュート背負って飛び降りたり、 早朝地図を片手にオリエンテーリングを体験しまし た。

──あはははは。ええー ? どういう塾なんでしょうか。すごい研修ですね 。

松下幸之助が、政治と 経営を通じて、日本、世界、さらに宇宙までよくし ようとして開いた塾です。入塾する前は「学校」だ と思っていたらそうではなく、自修自得で研究を貫 かなければなりません。つまり、集合研修が終わる と、個々の研究に入ります。研究期間には、4ヶ月 に1回は合宿があり、20分間のプレゼンと20分間の 質疑応答をやるわけですが、それに合格しないと進 学できないんですよ。

知識はすべて解放し、受けた恩は次の人へ届け る

──松下政経塾の先生は 、どういった方なのでしょうか?

先生はいません。しい て言うなら、社会が先生でしょうか。一応最初の一 年間は、いろいろな方がいらして講義をしてくださ います。有名どころですと、経済評論家の堺屋太一 さんや中曽根元首相、作家の曽根綾子さんといった 方がいらっしゃいました。
そういった一流の方々の話を聞きつつ、書道と剣道 と茶道を教わり、毎朝6時に起きて敷地内を清掃し て、海辺の道を2.5キロジョギングするんです。 そうやって暮らすんですね。

──なるほど。それはも のの見方や価値観、人生そのものが変わりそうです ね。

事実、変わったと思い ます。特に人との付き合い方は大きく変わりました 。
私は人と付き合う上で大切にしていることがふたつ あります。ひとつは、情報は提供した人のところへ 帰ってくるから、出し惜しみはしない、ということ 。たとえば、コンサルタントの人やモノを書く人な どは、情報を囲い込もうとすることがあると思うん ですね。でも、そういうことをしていると自分の情 報ボックスはすぐにいっぱいになってしまって、苦 しくなるんですよ。だから、知っていることはどん どん流していく。すると、それがお土産付きになっ て戻ってくるんですね。
もうひとつは、情報のオープン化のベースになって いる考え方で、恩送りというものなんですね。私が 松下政経塾で出会った人は、とにかくすごい人が多 くて、恩返しができません。たとえば、裏千家で一 流のお手前を頂き、お話を伺っても、ありがたいと 思うばかりで、こちらからは何もお返しすることが できないんですよ。
ほかの人に教えていただいたこともやっぱり返せな い。そうなったときに、恩は返せませんが、教えて いただいた知識や気づきを別の人に送りますよ、と いうことをやろうと思ったんです。だから私は、誰 かが困って私を頼ってきたときに、断らないように しています。忙しいから、とか、それは自分の役割 じゃないから、とかを言い訳にしない。 知っていることはすべて伝えていくこと。受けた恩 は次の人へとまわしていくこと。このふたつをモッ トーに、来る者拒ます、去る者は追わず、受けた恩 は一生忘れず、の精神で人づきあいをしています。

──情報をクローズにし てしまう考え方は、時代の流れにも則さない気がし ますね。

松下幸之助が衆知を集 めるということを言っています。つまり、ひとりの 力には絶対に限界があるから、みんなで力を合わせ て、また、感謝する気持ちを忘れないことが大切だ 、といった意味なんですね。これにはすごく共感を 覚えます。今日話をしていて、松下政経塾で人生が 変わったんだなと、改めて思いました。

Word of power

●なんだろう、と思って調べてみた
●おぶってでも歩き続けなくちゃいけない
●ひとりの力には絶対に限界がある

この記事を読んで、松下政経塾ってどんなところなんだろう、と思った人は、さっそく調べてみてください。松下幸之助さんの『松下幸之助の哲学』もチェックしてみましょう。さて、次号は、國田さんが現在お勤めになっている藤崎事務所について話を伺いました。5年後、10年後の國田さんは、いったどのような女性になっているのか、非常に楽しみです!

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