vol.076 森摂 / Mori Setsu

雑誌「オルタナ」編集長/NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)代表  URL:http://www.alterna.co.jp/index.html

1986年3月
東京外国語大学スペイン語学科を卒業。
1986年4月
日本経済新聞社入社。
1998年3月
流通経済部などを経て、2001年までロサンゼルス支局長。
2002年9月
日本経済新聞社を退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークである
NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)設立、代表に就任。
2007年3月
環境と社会貢献と「志」のビジネス情報誌「オルタナ」を創刊。
詳しくは↓ 

【オルタナ編集部ブログ】
http://alterna.seesaa.net/

こんにちは!テトルの本村拓人です!! 全3回の配信でお届けする「オルタナ」編集長の森 摂さんへのインタビュー。今号は第2号です。 「オルタナ」は、社会貢献に意欲的な企業や個人と有機的に結びつき、協働関係を築き上げていきます。彼らを結びつけるのは、「良心」であり「志」なのだ、と森さんは教えてくれました。 確かに、同じ方向を向かっている者同士ならば、手を取り合って、肩を貸しあって、どんどん前に進んでいけるはず。 出し抜いたり、出し抜かれたりするこを考えずに、必要に応じて笑顔でチームを組むことができます。 「よりよい社会を築きたい」という「良心」や「志」で、ネットワークされた個人や企業が何を生みだしていくのでしょうか? 今号は「オルタナ」に託す森さんの想いをお届けします!

同じ価値観を持つ者同士は合意が早い

「オルタナ」とは、どのような雑誌なのでしょうか。

「オルタナ」のウェブサイトの「オルタナとは?」というところに、『環境と社会貢献と「志」のビジネス情報誌』と記載しています。そこではミッションをも3つ掲げています。

ひとつは、環境や健康、CSR(※企業の社会責任)など、新しい(オルタナティブな)ビジネスの価値観で動く企業を積極的に報道する。 もうひとつは、こうした企業と連携し、コミュニティをつくり、相互交流を図る。 そして最後が、私たちの社会に新しいビジネスの価値観を植えつける、ということですね。

最近は、社会貢献を考える企業や人が、非常に強く結び付いているように感じています。これはどういうことなのでしょうか?

たとえば、パタゴニアのような会社をひとつ知ることで、ネットワークが広がるということはありますね。リチャード・セリーニというアメリカのジャーナリストの方がいて、彼が「ゴート・クラウド」という本を書いています。"山羊の形をした雲"ですね。自然の象徴が山羊であり、社会に対する漠然とした思いを雲にたとえて表現しています。

これがなにを意味するかというと、つまりね、共通の価値観ということです。山羊のような雲が空にたくさんあって、ひとつひとつがくっついたり、離れたりしている。その動きを彼はゴート・クラウドと名づけたんです。ビジネスをするにしても、社会問題に取り組むにしても、同じ価値観を持つ者同士は合意が早いので、すぐに動けるし、結びつきも深くなるんです。

「良心」と「志」を数値化......!?

それを具体的にご説明いただくと、どのようなことなのでしょう。

たとえば、「オルタナ」は大川印刷さんに印刷をお願いしています。ここは日本でもっとも環境に配慮した印刷会社の一つひとつなんです。印刷には、揮発性の有機化合物を含まないインクを使っています。揮発性のものは科学物質過敏症などに良くよくないとされていますがので、大川印刷さんの印刷物は環境に優しいわけです。それを知って、「オルタナ」の印刷をお願いしようと決めました、すぐに思いました。

それから、ハーブやアロマテラピーを販売する「生活の木」という会社があります。ここは、大量生産・大量消費には向いていないけれど、素晴らしい価値を持つ商品を取り扱っています。生活の木のカタログには、「オルタナ」の広告が、そして「オルタナ」には、生活の木の広告が載っています。生活の木の代表の方と意気投合して、すぐに「互いに広告を載せよう」となりました。

そのような共通の価値観を、言葉で言い現わすと、どういうことになるのでしょうか?

「良心」と「志」でしょうね。青いリンゴのような青臭い言葉です。経済誌などではなかなか使えない言葉でしょうね。理論武装されていませんから。20世紀の経営のモノサシとは、売り上げや利益、ROE(※株主資本利益率)だったりしますよね。でも、21世紀の経営のモノサシしである「良心」や「志」は数値化することができません。でも、良心や志の数値化はいつか取り組んでみたいことなんですよ。

九州の大学におもしろいことを言っている先生がいます。興味のあるものが写った写真を見ると、人は瞳孔が開くらしいのです。では、それを利用して、経営者にいろんな写真を見せて試してみればどうか、と。車やお金、いい家、そして幸せそうな社員の笑顔。それらを見せたときの瞳孔の開き具合から、経営者の良心や志が分かりわかりそうですよね? まぁ、半分、冗談みたいな話なんですが(笑)。

社会貢献に取り組むことでリスクを回避

現在、社会貢献などに注目が高まっている理由はどこにあると思いますか?

それはいまの社会が問題だらけだからですよ。食品偽装などもそうですが、誇りを持って取り組めないビジネスが多すぎる。不祥事には、モラルやモチベーションの低下といった背景があります。なぜ、それが起きるかと言えば、経営者が従業員に何が正しいかをしっかりと教えていないからなんです。

コンプライアンス(※法律や規制などのごく基本的なルールに従って活動を行うこと)について考える記事って多いでしょう?でも、コンプライアンスを教えてあれこれ規制するより、"こうしたほうが正しい"というあり方を教えたほうがいい、と僕は思っています。

前向きに、自発的に考えることができそうですね。

「こうすればみんなが幸せな気持ちになれますよ」ということを教えていけば、つまらない不祥事は起きないと思います。

「オルタナ」の7号で、「環境・CSR経営 世界ベスト77企業」という特集をやりました。そのなかで紹介している白井グループは、産業廃棄物を扱っている企業です。この会社の社長はパタゴニアが大好きで、「地球をカッコよくする!」をモットーに、CO2の削減などに取り組んでいます。ほかにも、月に一度、海辺でゴミ拾いをしているんですね。とても楽しそうですよ。

この特集で紹介した77の企業は、僕の知っている限りでは、不祥事とは無縁です。社会貢献に取り組むことが最大のリスクコントロールにつながっているわけなんです。

Word of power

●同じ価値観を持つ者同士は合意が早い
●青りんごのような青臭い言葉
●社会貢献に取り組むことがリクス回避になる

森さんが編集長を務める「オルタナ」とは「オルタナティブ」を略した言葉。「オルタナティブ」には「既存のものと取って替わる新しいもの」という意味があります。これには、メインストリームに対して反発する意味合いも込められています。

次号は、常識を疑い、新しい価値観を創出しようとする森さんのスタンスについてご紹介します!

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