vol.097 上野友紀子
株式会社フルハシ環境総合研究所 エコモチ事務局長 URL:http://www.ecomoti.jp/
2001年4月〜
インターネット・ビジネス・ジャパン株式会社
事業内容:WEBサイト制作、システム開発および管理・運用
IT技術者の育成およびITに関する企業教育全般
IT技術者の人材派遣および経営戦略における人材採用コンサルティング
資本金:1億円 売上高:12億円(2006年度) 従業員数:65名
担当業務:WEBディレクター、インストラクター2004年5月〜現職
最近の活動実績・著書等
2007年1月より、企業人のエコ・モチベーションアッププロジェクト「エコモチ」コンソーシアムを立ち上げる。月1回の研究会活動を中心に企業共通エコポイントシステムについて検討。コンソーシアムへは計35社約60名が参加。「エコモチ」の事業化を2007年12月より開始。エコモチWebシステムを 2008年4月より本稼動させる。
こんにちは! テトルの本村拓人です!!
多数の企業を巻き込みながら、動きはじめたエコモチ。
フルハシ環境総合研究所から外部へとこぼれ落ちたこのモデルは、もう感単に引っ込めることはできません。
なんとしても成功させたい。成功するように道筋を作ってやらなくてはならない。
上野さんの願いにも似た思いに、いよいよテストラングニングを通じて、ジャッジが下されます。
エコ活動に取り組むことで寄付を行い、モチベーションをあげようという、斬新なアイデアは、社員ひとりひとりの心を、そして企業の経営方針を、揺り動かすことができたのでしょうか?
コンソーシアム終了後には、テストランニングが行われたんですよね。
これはどのような形でスタートさせたのでしょうか?
テストランニングは、コンソーシアムに参加していただいていたレギュラー9社で実施しました。
モニターの募集を社内に呼びかけていただいて。味の素さんは、新入社員研修を終えた新人100名の方にご参加いただきました。
手応えはありましたか?
うれしかったのは、最後にアンケートを採ったところ、「意識が変わった」「意識とともに行動が変わった」、と答えてくれた方が80パーセントを超えていたことです。変わらないと答えた人のアンケートもよくよく見てみると、そもそも意識の高い人で、別にこれをきっかけに変わる必要がないような人で。 実は内心、このテストランニングにはすごく不安を感じていました。ずっと構想を練ってきたエコモチの仕組みが、もしかするとなんの効果も発揮しないかもしれない。テストランニングすれば、その結果がわかるわけですから。それは私だけでなく、コンソーシアムにご参加いただいたみなさんも同様だったと思います。 結局、ふたを開けてみたら好評だったことは自信になりました。ご参加いただいた方からは、「行動メニューの数を変えたほうがいい」とか、「紙にチェックするのはエコじゃない」とか、さまざまな意見をいただきました。「コンセプト最高!」とか、「背中を押してくれる企画だと思います」といったとてもうれしいコメントもいただきました。社員のみなさんを信じてもいいんだなって思いましたね。
CSR担当の方や会社の上層部の人たちも結果を受けて見直した部分があるかもしれませんね。
自社でエコ的な発想を加えた商品開発ができる手応えを感ることができたのではないでしょうか。
それはあるかもしれませんね。
NECパーソナルプロダクツ様には、「結果がよかったから、本格的にエコモチを導入しようと思う」とおっしゃっていただけました。
すごく効果があるということはみなさんに実感していただいたような感じですね。
ただ、コンソーシアムにご参加いただいた企業様の中で、実際に導入していただいたところは、NECパーソナルプロダクツ様と小林クリエイト様など10社くらいですね。
まだテストを重ねている段階ではありますが、まだ少ない印象です。課題はたくさん残されていますね。
導入のハードルになっているのは、どのような点なのでしょうか?
寄付先がバッティングしてしまうという問題は大きいですね。
それに、寄付先をいたずらに増やしてしまっても、今度は選ぶ難しさが出てきてしまいます。
たとえば100団体選べるとしても、すべての団体の概要を把握するモチベーションがみなさんにあるかどうかはわかりません。
なるほど。それでいまは10団体に寄付ができるようにしていると。
あと、10団体くらい増やしたいと考えています。
いまは国外支援が中心なので、国内の支援先として。社員のみなさんも仕事でお忙しいでしょうから、ちゃんと追っていただけるのはそのくらいかもしれません。
エコモチは、1ヶ月サイクルで募金額を集計しているのですか?
集計はシステムでいつでも瞬時に行われる仕組みです。
それを半年で区切って、募金は半年単位で行っています。
募金の金額は、どのくらいになるのですか?
そうですね、今年の4月から7月までで合計3万5000シードが集まりました。
1ヶ月あたり1万円ほどの募金額になります。
なるほど。意外に少ないな、というのが正直な感想です。
募金を集めるのは難しいことなんですね。
ただ、募金を集めることだけが目的というわけではないですが、シードが増えることは、みんながちゃんとアクションしてくれたという結果ですので、増えてくれるとうれしいですよね。
アクションの数が素直に募金に結びつくところはわかりやすくていいですね。
モチベーションに結びつけるところもおもしろいです。
ちなみに、この発想はどこから生まれたんですか?
フルハシ環境総合研究所が行うワークショップのひとつに、エコネーションゲームというものがあります。8つの国に分かれていただき、擬似的に生産活動を行う中で、環境と経済のバランスについて学んでいただくシミュレーションゲームです。
生産に力を入れるとたくさんお金が手に入るのですが、廃棄物やCO2が出てしまいます。途中、異常気象に見舞われたり、環境についての規制が施行されるなど、さまざまなイベントも起こります。
経済活動をするにも、ちゃんと環境対策をしていかなければ豊かになれません。
ご参加いただいたみなさんは、楽しみながらゲームをするのですが、その中にたくさんの気づきを得ていただくんですね。環境教育を行ううえで、この楽しむという要素は必須です。エコモチの仕組みは、そんな考え方から生まれてきたんですよ。
そしてこの気づきこそが、自ら行動するモチベーションになると考えています。
コンサルティング業務に携わってきたからこそ、モチベーションの重要性を知っているというわけなんですね。
それはありますね。
企業はいま、環境を考慮した経営やCSRへの取り組みなどを掲げていますが、個人個人にまでその意欲が浸透していくのはこれからだと思いますね。
社員ひとりひとりの環境配慮へのモチベーションが上がり、そのおかげで生き生きと仕事をしているような状況が作られれば、会社はより環境への取り組みを重視するでしょう。
そう考えると、個人に思いが染みこむことは大事だと思いますね。
ビジネスモデルとして、エコモチは収益を上げられていらっしゃるのですか?

社長の考えでは、エコモチにご参加いただく企業様の数はこれからどんどん増えていき、それによる安定した収益が得られる予定です。
でも、現場の担当者である私の感想を言わせていただくと、なかなか厳しいものがありますね。
エコモチを導入していただく企業様が増えることで収益が確保できればそれにこしたことはありませんが、それよりもエコモチをきっかけに繋がりを持たせていただいた企業様に、コンサルティングを行ったり、教育プログラムやサポートサービスなどを提供する環境を作るほうがよいようにも思います。
エコモチはその接点を増やすきっかけになればいいのではないか、と感じるんですね。
エコモチを導入していただいた企業様からは、どういう形で報酬をいただいているのですか?
入会していただいた企業様からは、会費をいただいています。
これはもちろん、寄付金とは別に、です。貯まったシード分の寄付金は、お預かりした金額をまるまる募金しています。
事前にきちんとご説明をさせていただいて、寄付金の中から運営費をいただくという方法もありますが、エコモチは100パーセント寄付することをポリシーとして謳っておりますので。
企業様にエコアクションを促す際に、注意しているポイントはありますか?
エコモチが促すエコアクションを正しく理解していただく、ということですね。
エコモチには、さまざまな行動メニューが用意されています。たとえば「ノー残業」。
ほかに、「食事を残さずたべる」や「エコ通勤」などもありますね。
植林活動のようにエコに直結する活動ではないかもしれませんが、たとえば仮に3000人が働くような企業で、全員が一時間残業する時間を減らせば3000時間が浮くわけです。
もちろん、電気の使用量などでコストダウンにも繋がります。エコアクションを起こすということは、面倒くさい作業が増えるのではなく、経費削減などに繋がるという認識を持っていただけるとうれしいですね。
なるほど。それは取り組む価値が大きいですね。
さらに社内にエコ意識が高まれば、環境に配慮した事業にも取り組みやすくなりますよね。
エコ意識が高まった人たちは、本業にもきっといい影響を及ぼしていくと思うんですよね。CSRへの取り組みも加速していくはずです。
●実は内心、テストランニングには不安を感じていました
●個人個人に意欲が浸透していくのはこれから
●エコ活動が経費削減に繋がることを知ってほしい
テストランニングで、合格点を見事勝ち取ったエコモチ。もちろんまだまだ改善の余地や進化すべき部分はあるだろうとは思いますが、上野さんはかなりの手応えを掴んだようです。次号は、そんな上野さんが、どのようにしてエコモチの運営事務局にたどり着いたのかを追ってみます!
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Wrote 2009.08.20 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>