vol.033 寺井元一 / Terai Motokazu

NPO法人KOMPOSITION代表理事  URL:http://komposition.org/

1977年9月13日
兵庫県生まれ
1984年
父親の転勤で沖縄県那覇市に転居。3年間過ごす。網膜剥離発症。
1990年
私立灘中学に入学。落ちこぼれる。アトピー性皮膚炎発症。
1995年
阪神大震災に被災。ゼロから勉強をはじめる。
1996年
私立灘高校を卒業。1年間の浪人生活に突入。
1997年
早稲田大学政経学部に入学。学生時代3年間、代議士事務所で学生スタッフとして従事。WEBの企画立案などに関わる。
2001年
早稲田大学院政治学科に入学。若者の価値観と投票行動の関連を研究する。 同年、学生団体kompositionを設立。
2002年
NPO法人komposition-standard(後にKOMPOSITIONに改称)を設立。
2004年
早稲田大学院政治学科を中退。のち、現在に至る。
詳しくは→ 

【ALLDAY】http://alldaymag.com/

【LEGALWALL】http://legalwall.komposition.org/

【寺井氏個人Blog】http://d.hatena.ne.jp/teraiman/

こんにちは!! テトルの本村拓人です! ! 今号もNPO法人KOMPOSITION代表の寺井元一氏のインタビューをお送りいたします。 『インターネット』の普及により、生活者主権の国家が形成されつつある。例えば、『ブログ』というツールを手にしてから生活者の消費活動における立場はさらに向上した。そして、現在同メディアに対して何らかの形で関わっている人々が三千万人ともいわれている。 勿論、この数字が正確かどうかは議論の余地がある。しかし、ブログを通して情報をInput・Outputしている生活者は日々増加しているのは事実であろう。企業にとって商品開発等の最大のヒントは常に現場にあり、私たち生活者の中にある。その現場を作るのが生活者と考えれば至極当然のロジックだ。今後この資本主義の中で勝ち残る企業や個人は資金力ではなく、やはり、情報、特に生活者視点に近い立場で社会を捕らえられることが望まれる。

生活者が情報収集能力を向上させた背景にインターネットという革新的な発明を避けては語れない。企業の本質的な姿勢も表面的であればあるほどすぐに暴かれてしまう現代は時に恐ろしさすら感じる。生活者が情報を握れる時代は、生活者サイドが企業の商品や製品の価格を支配できるようになる。今後企業の社会的責任が本質的かどうかは生活者の意志に委ねられる。

企業のそもそものあり方は公器の産物として社会矛盾や課題に対して全うに取り掛かる姿勢が自然だとされた。勿論、そこに株主という概念が強さを増したのは時代の流れであり、それ自体を否定する必要はナンセンスであるとも感じる。

私が述べたいのは多くの企業のサービスや商品を提供する先は我々生活者であり、隠すことのできる情報がより酸くなってしまったという事実に全うにならなければ新しい道は切り開かれないという根本的なことだ。

そして、時代をLeadするのは他でもない我々生活者であり、今求められているのは我々の主義主張をまとまったかたちで社会に還元させる仕組みであり、プラットフォームである。その先駆者として寺井氏をはじめた非営利団体は生活者のニーズに対して至極全うに価値を提供している。経済活動の末端である生活者と手をとり続けるNPO、NGOと企業との連帯は今後進むはずだ。

LEGALWALLについてもお聞かせ下さい。

LEGALWALLっていう名前自体、もう一般名詞に近い感じだと思います。つまり合法的な壁画スペースの総称です。ただし、こういう協賛があるからとか、こういう依頼があったからやりますという活動は、LEGALWALLである以前にイベントだと理解しています。千歳烏山についても、厳密にはLEGALWALLではない。

それは、千歳烏山に関しては行政からの依頼を受けた仕事だからです。相手ありきのものは、当然のことながら予算が確保されるかわりに制限がついてしまいます。例えばアーティストを誰にするか、絵柄をどうするかなどということですね。でも、僕らの考える本来のLEGALWALLというのは、できるだけ制限がないことを目指したものなんです。それは、アーティストの支援として場を提供するというのが目的だからですね。

ですので、僕らのLEGALWALLというのはビルオーナーからの絵に対するリクエストは基本的に受け付けず、しかし低予算で、かつ同じ壁で数多く描き替えが行われていくものです。もちろんオーナーに不満があれば、それはKOMPOSITIONが対応して、消します。そういう事例は、僕らのアーティスト選びと、アーティストの実力が不足していた証明だと思います。望ましくはないですけど、アートについての嗜好が十人十色である以上、避けられるものでもないですね。

アーティストとKOMPOSITIONの関係も対等で、ギャラを払ってお願いするわけでもなければ、僕らが偉そうに提供してあげるものでもない。お互いに望んだ場合、お互いの善意をベースに実施するものだと考えています。アーティストとの金銭関係もあまり考えていない。僕らの中でLEGALWALLは壁を預かって、色々なアーティストに提供していくことによって色々な可能性だったり成果が出現するというものなんです。

千歳烏山のような事例がスケールアウトしていけば、事業としては利益があがります。ただ、それは僕らの本質ではないですね。そういう事例も非常に面白いしやり甲斐がありますが、10ヶ所でそういうお仕事をやらせていただくより、1000ヶ所で自主運営のLEGALWALLを持てるほうが魅力的ですね。そうやってボトムアップで活動したほうが、できるだけ多くのアーティストに、高い自由度で、何度も場所を提供できると思いますから。そういう趣旨からは、自分たちの活動がいわゆるLEGALWALLとして、単に壁画を描くことで一緒くたにされるのも辛いところがあって、活動名自体を改めて付け直そうかとも考えています。

様々なことをやられてノウハウがたまってくると、KOMPOSITIONにしかできないことが明確になってきたんですね。これは今後のKOMPOSITIONの事業が寺井さん自身見えてきたということですか?

そうですね。計画が見えるものも、逆に見えないことがはっきりわかったものもあります(笑)。要は自分がどうKOMPOSITIONを良くできるか、自分達のサービスが何なのか、自分でもどこか見えていなかった。最近は昔に比べるといろんなことが見えてきている気がします。 今年の夏くらいからやっと経営というか、事業化してやっていこうという決意ができて。これからどこまで、どのぐらいのペースで成長できるかは今後の課題ですけれども、手応えを感じてます。最終的な年間予算も2006年の2100万位から、今期は倍近くになるんじゃないでしょうか。

何が変わりました。その変わりは何なんですか。

まずは個人としての気付きが大きかったですね。何かというと僕自身がどういうモチベーションの持ち主か、役割かということについての気付き。NPOを始める人間なんて、だいたい変なモチベーションがある。一般的な職業選択だったら普通は大企業とか役所を目指すでしょ。もしくは何もしたくない、寝て暮らしたいとかいうはずなのに、わけもわからず動いているわけだから、やっぱり変だと思います。

僕はカオスをつくりたいみたいな話をしたけれども、僕の根本にあるモチベーションは、人にやれないことをしたい、不可能を可能にしたい、みたいな部分なんだなって昨年秋くらいに実感しました。今さらですよね。それを知ったのは自分にとって実はすごく辛いショックなことでもあったし、成長でもあったと思います。

実は僕はいま、もうLEGALWALLを統括してないんですよ。LEGALWALLには担当者が別にいます。インターンから上がってきた、新しく入社してくれた人で、僕は彼女からヘルプ依頼を受けたりリクエストを受けて対応する、サポートしていく立場になってるんです。もちろん僕はKOMPOSITIONとしてどうすべきかということを決める立場にあるけれども、LEGALWALLについて彼女の方が僕より優れているのがわかっていて、すごく信頼しています。

そうなった理由だけど、僕の場合、さっき言ったようにモチベーションが変じゃないですか。不可能を可能にしたいという。だから活動が成り立ってくればくるほど、僕のモチベーションはさがっていくんです。だからLEGALWALLに関していうと、今から思うと始めた瞬間が一番モチベーションが高かった気がする。これが、僕が絵が好きで始めた人だったならばモチベーションはさがらなかったんだと思います。でも率直に、僕は好きなモノがあまりないんですよ。別に特定な何かを好きなんじゃなくて、エキサイティングな何かみたいな、不可能な何かを可能にするみたいなことが好きなんです。

そういうことを秋に気付いて、一度ガックリきて、それから考えてみた。もう僕はポジションを下げて、経営ということを真剣に考えなきゃいけない、仲間を誘ったりサポートしたりする縁の下の立場であるべきだし、脇役になるべきと思ったんです。つまり僕は、自分をLEGALWALLの担当者として不適格だと思い、自分で自分をクビにせざるを得なかったんですけど、それが本当に良かったんです。視野の広がりも、組織の強化も、すべてそこから学びが始まった気がします。今の自分の役割というのは、代表権をもっている人間として当然引き受けるべきことはもちろんとして、周りをサポートしてKOMPOSITIONの仲間が120%の力を発揮できる環境をつくるための先頭に立つことですね。この半年で、組織の力は本当に一人一人のメンバーの総和なんだと痛感しました。

現在、今一番力をいれている事として、寺井さんにしかできないことをやってるわけですよね?ある種自分で動いてやっている。そういうところの分野ってどこの分野に当たるんですか。 やはりKOMPOSITIONというチーム、組織を良くすることですね。アイデアについては焦ってなくて、例えばトライアル案件っていうのがあって、それはWeb上でも少しずつ出しています。こういう案件、アイデアは放っておいてもある程度、いろいろとでてきます。社内にそういうスキルが非常に高い仲間もいるし、僕らのやっていることってすごく守備範囲が広いですから。だけど僕が今一番、力を割かなきゃと思っているのは、社内に理念や、価値観や文化をしっかり根付かせていくことですね。 細かい試行錯誤や合意形成から、今後のビジョンを話すことまで全部が重要です。僕がいよいよ裏方になっていくことを前提に、周りの人間が生き生きと活動できるガイドラインを作っていくとか、そういうことですね。社員が生き生きすれば、絶対に成果はついてきます。あとは、KOMPOSITIONをコミュニティーとして、実験室として、プラットフォームとして成長させることですね。そうなればすごいエネルギーが常に集まって、発散されていくようになると思う。そういう意味で今はある程度社内にむいてます。社外に向く部分はリクルートです。いい仲間と出会いたい。 あんまり美談でもなくて、元々任せるのが好きな人間じゃなくて、ついに壁にぶち当たったんですね。だからすごいショックだったけど、やはり心強い仲間がいたから頭を切り替えられたんだと思います。例えば今のLEGALWALLの担当について言えば、僕じゃなくて、LEGALWALLを形にするのは絶対この人だろうなと思ったんです。脱帽というか、信頼というのはそういうことですよね。そういう仲間は本当にもっといてほしい。そうじゃないと僕らのやっていることは広がっていかないんですよ。タイミング的に今はそういうタイミングです。ちょうど三十歳にその時期がきたんですね。

今この時期は経営者として、すごく面白いんじゃないですか?

面白いし、充実感もあります。外からどう見えていたかはわからないけど、この一、二年間のKOMPOSITIONは僕たちなりに悩んだり、忍んできたみたいな感覚があって、今はいよいよ前進している感じがします。あとはもうちょっと自分たちのことを、知って欲しい人に知ってもらえたらいいかな。

Word of power

●人にやれないことをしたい、不可能を可能にしたい
●自分で自分をクビにせざるを得なかったんですけど、それが本当に良かったんです
●組織の力は本当に一人一人のメンバーの総和なんだと痛感しました
●社員が生き生きすれば、絶対に成果はついてきます

寺井氏のインタビューは以上になります。

次号より日本環境教育フォーラム事務局長、大黒栄二氏のインタビューをお送り致します。

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