vol.005 松村拓也 / Matsumura Takuya

NPOカプラー 理事長  URL:http://www.coupler.or.jp/modules/menu/main.php?page_id=8&op=change_page

1957年 東京生まれ、江東区で育つ

1981年 東京大学工学部建築学科卒
    (株)現代計画研究所入所

1985年 辰建設(株)入社

1996年 同社代表取締役就任

1999年 同社倒産、株式会社辰設立

2005年 流石創造集団 設立に参加 IID(世田谷ものづくり学校)校長就任
     株式会社スクーリングパッド 取締役就任

2006年 (株)なのに設立
    株式会社ものづくり学校取締役
    地域創業プロジェクト【せたがやかやっく】プロジェクトリーダー

2007年 クリエーションスクエアしぶや企画運営コーディネータ  
     NPOカプラー 理事

こんにちは! テトルの本村拓人です! 今回は、NPOカプラー代表、松村拓也氏のインタビュー(前編)です!

建設会社代表取締役時代に、倒産を経験、現在は、NPOカプラーを設立し、企業支援を行っている。
営利企業、非営利企業を経験している松村さんの言葉は、迷いがなく、力強かった。

NPOカプラーはどのような問題に対して取り組む組織なのでしょうか?

私はこんなことやりたい、という人に「もうやっちゃえよ」って言うために、カプラーという組織を作った。起業を支援するためのNPOです。起業を支援することにおいて僕の役割は起業を目指している人に、まずは崖っぷちに立ってもらって、僕が後ろから彼らを突き落とすこと(笑)が主な仕事ですよね。要するに、ここに来ていただければ、僕が背中を押してあげるよって事。 さらに言うと背中を押すシステムができたらもっと面白い。そうするともっと多くの人が「私の背中を押しください」ってくるかもしれないしね。

カプラーを設立する時に、様々な分野で起業したいという人たちと会ったんですが、その中でも行政書士になるっていうメンバーがいたんですよ。彼が面白いことを僕にいってくれた。僕がカプラーをつくるきっかけや経緯を説明すると、「渋沢栄一が最初に株式会社を作った時、松村さんと同じようなことを言っていましたよ」って言うんです。

もともと企業は公益の実現のために存在している。NPOも当然公益の実現のためにあると。事業の目的というのは公益の実現で、それを実現するためにはお金を稼げないとお腹もすいちゃうし、3日でつぶれちゃう。だからお金を稼ぐ。稼がないとガソリンも買えないし、ご飯も食べられない。企業はお金を儲けるのが目的ではないんです、本来は。企業は目的を達成させるために社員にメシを食わせるわけですよね。ところが、そういう(お金稼ぎが目的になっている企業)会社がだんだん出現して、みんなが真似してくるようになると、お金が目的だなんて錯覚をおこしてしまう人もでてくる。要するに何の為にお金を使うかが大切だと僕は思う。

ところがNPOの認証の際、本業以外にその他の事業をやっていいことになっていますよね。それで僕がNPOの申請に行った時にその他の事業は?って訊かれたんですね。僕はその他の事業なしで持っていった。そしたら、次に訊ねられたのが「お宅の法人はその他の事業はやらなくていいんですか?」って......「何を言ってるんですか?」って僕も聞いたんですよ。

だって「それは本業が儲からないから、その他の事業でお金を稼ぐなんていうのは法人とは違うじゃないですか?」って僕が言うと、スタッフは「それは正論ですが」と言いつつも、「普通みなさんは活動する為にお金がないから自動販売機で儲けますとか、そういうことをNPOは一般的にやってます」と。僕はあきれて「それは、そっちが間違っているでしょ?」って。その話をしたら、渋沢栄一が最初に会社を起こすときに、松村さんと同じようなことを言っていましたよ、とその行政書士を目指した彼が言ってくれたんです。

松村さんがいままで会社を経営されてきて、
営利企業として会社を経営することと、NPOの運営との決定的な違いは何ですか?

会社を経営している時は社員に給料を払うということが頭の中を占めていました。逆にNPOだとそれがないからある意味楽かもしれないですよね。今の話は正確ではないけど、企業の経営でお金を稼がなければならない理由の一つが、社員に給料を払う義務ですよね。

これは社会的な意義だと思うんです。僕は人を雇用するって事は企業の存在価値にとっても重要な意義だと思います。どんな会社でも、3万人の従業員を雇っていたら立派ですよ。会社はそういう目的を背負っていますよね。それがNPOを運営している今の僕と大きく違う部分ですね。

僕は(会社経営を)卒業したというか、ほかの人に会社経営はやっていただいて、僕は違うことをやりたいなって。要するに事業の目的が100%その目的に向かって仕事をしたいけれど、やっぱり人を雇用するって事がものすごい大きな比重なってしまって、3割から2割くらいしか本当に自分がやりたい事ができない。もうちょっと客観的って言うのかな、自分が直接雇用したりとかじゃなくて、社会に対して直接的な働きかけをするということに専念しています。

確かに企業が人を雇用する意義って言うのは社会的に見ても大きいな役割ですし、大きな意義をもっていますよね。
組織として比較するとき、非営利組織であるNPOカプラーというのは稼ぐ組織と捉えていいんですよね?

いや、稼ぎますよ。稼がないと何にもできないじゃないですか。 本業で稼いでいるNPOもいっぱいあるけど、審査に書類を出すときに言われるくらいだから、副業も多いと思うんだよね。僕は永遠に営利組織にある意味所属していて、一度も「営利なんていらない」と言ったことはないですよ。カプラーはね、ボランティア禁止なんですよ(笑)。みんな勘違いしてるんですよね。

ボランティアって「タダ」ってみんな思っている。ボランティアって辞書を引いたら自発的にやること、なんです。だから自発的に金儲けしているってだけ。 ただ、社会企業ってもしかすると企業が直接的な雇用や取引にもつ責任と、そこから波及する社会への貢献との二つに分けたときに、社会に波及する貢献度に着目した見方なのだと思います。

アメリカでNPOが日本よりも頻繁に作られると聞きましたけど、日本では認証を受けないとNPOという法人になれない。だけど、米国では任意団体だからみんな勝手に作れるわけ。だからアメリカ人が起業する時は最初はNPOで起業するらしいですね。最初は仕事も忙しいし、稼げないから最初から株主に配当なんてできないでしょ。だから株主に支配されないで「株主に配当できるな」という時期が来たら株を発行したり、公開を目指すという話は聞いたことはあるんです。僕は非常に自然だと思うな。

ただ、日本ではNPOがお金稼ぎをしているということ自体が、
否定的に捉えられてしまうことはありませんか?

いろいろな事が一緒くたになってしまっているんですね。社会貢献は人を雇うだけでも社会貢献だっていうこととか、NPOは利益をあげるとかあげないという頓珍漢な議論が一緒くたになっているのに、みんな「ねっ」ってやっちゃうのが僕は日本の悪いところだと思うんですよ。これは島国の悪いところかも知れないね。 米国をほめるわけではないけど。

アメリカではこうやって話をしている相手がインド人だったりドイツ人だったりするわけでしょう。それじゃ不適当なことで「ねっ」なんていってそれじゃすまないわけですよ。絶対にこいつら分かってないだろうなって思うから何度も確認するわけですよ。このコトバの意味は? とかね。それは多分当たり前のことなんですよ。そうやって確認しないと、文化も言葉も違う人たちが何を考えているかわからないでしょ?

あと、今は優秀な人に何かを託したりとか、すごい技術をあてにしたりとか、そういう雰囲気を感じるんだよね。そしたら後の普通の人は何をやっているの? って感じて仕方がない。 普通の人がすごくないと面白くないでしょ。

価値のあるものっていうのは誰にでもできること、です。最近だと、誰にでもできる希少価値が特化価値になっているけど、そうじゃなくて誰にでもできるっていうほうが、僕はすごい価値があることだと思う。そこにとても興味があって、たとえば今若い人が就職するのに悩んでいるとか、学校で何を勉強すればよいのか悩んでいる人、どうやって彼女を口説けばよいとか分からない人とかね。

それを本を買って調べたり、学校で先生から学ぶっておかしいと思うんだよね。そうじゃなくて普通におじさん、おばさんに訊けばいいじゃないですか。だから若い人が先輩に聞くことで、何か学べると思うんですよ。自分とそのおじさんとの間に何か共通点を見つけられればそのまま参考になるし、逆だと思えば反対をやればよいし。それは自分じゃないと分からないんだけどさ。

Word of power

●「もうやっちゃえよ」って言うために、カプラーという組織を作った
●何の為にお金を使うかが大切だと僕は思う。
●ボランティアって「タダ」ってみんな思っている。
●ボランティアって辞書を引いたら自発的にやること、なんです。
だから自発的に金儲けしているってだけ。

次号(明日配信予定)は、
松村氏の地域活性化にかける熱い思いを紹介します!!

乞うご期待!

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