vol.067 渋谷弘延 / Shibuya Hironobu

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局長  URL:http://www.savechildren.or.jp/

国際連合児童基金(ユニセフ)東アジア太平洋地域事務所特別顧問、国連広報センター所長、国際連合児童基金(ユニセフ)事務局長上級顧問等、国連機関の様々な役職を歴任し、現職。

こんにちは!テトルの本村拓人です!! 第1回となる今回から4回連続で、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンを紹介します。 世界120カ国以上で、子どもたちのために、「教育支援」「食糧緊急支援」「栄養改善」「医療保健」などさまざまな活動を展開する、セーブ・ザ・チルドレン。 日本では、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが、アジアを中心に救援活動を行っています。 ミャンマー、ネパールなどに日本人を常駐させて、地域に根ざした活動を展開、国際社会に対する情報発信力の高さには定評があります。 日本国内でも、徐々に活動が認知されてきたセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン。 企業や公的機関とのパートナーシップを強め、2001年には特定公益増進法人として外務省より認可を受け、団体としての社会的プレゼンスも高まっています。

子どもの理念権利を守る=NGOの産休制度から実現

渡辺

もともと広告代理店に10年ほどいて、PRからクリエイティブをやっていました。広告代理店は、言い方は変だけど、たくさんのクライアントを抱えながら、営利企業のために働いています。世の中に必要かどうかは置いて、そのものがすごくいいものだと思って、世の中に出していました。僕の中では、公共広告機構やNPOの活動などを世の中に伝えていくこともやりたかったけれど、それだけを代理店でやることはできないので、そうなればNGOでやった方がいいと感じ、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに入りました。

三木

私はもともと大学で農業を勉強していて、大学院まで進んで、バイオテクノロジーを勉強していました。そのときに食料問題に興味があって、世界の食料問題が何とかならないかと、様々な試行錯誤の後アメリカに留学しました。

現地で公衆衛生のプロジェクトについて勉強した後、ボリビアの日本大使館で、ほんの数カ月インターンをしました。そこで色々なNGOからきた申請書などを審査する業務に携わったのですが、そのときにセーブ・ザ・チルドレン・カナダの申請書がすごくできがよく、このプロジェクトを支援したい!と思わせるような内容でした。

アメリカにいるときに、セーブ・ザ・チルドレンから派遣された先生たちがいて、自分の中ではセーブ・ザ・チルドレンは、すごく親しみのあるものになっていきました。ちょうどその時に日本のセーブ・ザ・チルドレンのHPを見たら、東京事務所で人を募集していたので、自分の専門分野とは関係なかったのですが、応募し採用されました。学生上がりで、全く社会経験はないのですが...

渋谷

今、営業担当が一年産休だから。三木ちゃんには営業をやってもらっています。うちは社団法人ですので、給料は高くないけれど、福利厚生は一流企業よりはよいですね。

セーブ・ザ・チルドレンとは、子どもの権利を守るという理念から始まりました。途上国で業務をやっているのは、目的達成する手段にしかすぎない。だからその理念は、我々自身が実行しなくてはいけない。そういう点では、日本の企業に比べても恥ずかしくないように制度化しています。

僕は、元々高校の交換留学生でアメリカに留学して、そのままずるずると、帰国子女じゃなくて、"不国子女"というか、帰って来なかった。日本を出たのが東京オリンピックの年です。

不国子女ですか?初めて聞きましたよ(笑)

渋谷

43年前だね。アメリカに行った理由は、そのときは何となく...まだ18歳でしたから。まあ面白かったのだけど。確か、高校1年のときの宿題でショートストーリーを書いたのですが、先生に疑われました。

「16歳のお前がこんなのかけ書けるわけない!」と。つまりあの時代は今よりひどくて、年をとっていればモノを知っていて、若かったらバカって言われたのです。

「なんで人間の判断をそんなことで決めるのだ!」と私は頭にきた。そのときから日本の受験制度とかに反発して、国外に飛び出したのです。

オハイオの田舎で、朝は5時起き。そのときにホストファミリーのお父さんに言われたのが、「3日いても3週間でも3カ月でも3年いてもいいけど、お客さんじゃないのだから」と言われました。農場に住んでみると、そこ現地の生活はとても厳しく、物知りでなくてはいけないのだとわかりました。乳搾りのほか、トラクターの運転もあり、エンジニアでなければいけない。色々な要素がある。それをそこの7、8歳の子供達は自立して知っている...。

しかし、私は18歳なのに都会っ子だからわからないうえに何もできない。とても衝撃でした。 そこのお父さんの親友が作ったのが、CAREというNGOでは大御所で、共済の理念に基づいた開発活動です。

オハイオで教わった理念というのは、今はなくなりつつあるアメリカのいいところ。 アメリカって日本人の思っているアメリカと、時代と場所が違っていて、本当にいい人たちなんです。隣近所が自然体で、農業は助け合う。このような社会貢献を理論付けしないで、体で実行している。開拓時代の精神からきているんでしょうね。社会貢献とは、改めて話をするものではなく、子どものうちからそのように育ち、それが当たり前の生活基準になっています。

私のホストは、そういったアメリカの運動で、国中をまわっていて、話すのがうまかった。90歳を超えたのかな?そこで私は育ったようなものです。

意思表示がしっかりとできない日本人

渋谷

日本人はどちらかといえば、自分のしたいことを意思表示する前に、どうすれば他人に迷惑かけないかを考える。日本の社会体制は、他人に悪く見られないようにとか、迷惑かけないようにとか考えてしまう...それは悪い事ではないのですが。向こうオハイオでは、お母さんに家から車でどこかに連れて行ってもらわない限り、どこにも行けない。お母さんに迷惑かけちゃいけないからと、それで行きたい場所があってももじもじしていた。そのときにお母さんに怒られました。「あなた18歳にもなってどうして自分の意志をはっきり言えないの?行きたいの?行きたくないの!!」とね―。

日本人は自分で物事を決めない。とかく人の面を見ながら行動する。「間違いをしないように・・・」と。つまり自分なりの考えを、自分で意思表示するということが、大事なことだとわかりました。 必ずしもインディビジュアリズム個人主義ではないけれども、社会で生きていくにはそれが必要だと思います。これを深く掘り下げると、色々な理由はあるけど、それが日本人には欠けている。だから国際機関に出入りしているわけですが――。

自分が国際機関で通じるのは、英語がうまいからではないと思います。国際機関で日本人として成功する人は、帰国子女が多いけれど、それはコミュニケーションのキャパシティがあるから。国際組織の競争の中で、自分なりの考え方をアプローチ、意思表示をできる人なら、国際機関の核に入っていけると思います。

そうなると結局、脱日本派になっちゃう。日本が嫌になってしまう。日本の社会で国際的活動をするということは本当に大変なことなのです。矛盾もある。5年10年なりを海外で経験すると、実態もわかってくる。それも一つのギャップがあるわけです。その矛盾によるギャップを穴埋めしながらやっていかなくてはならない。

それの考え方がNGO、政府機関、国際機関、企業のいずれであろうが、非常に重要なことなのです。それがない限り、僕はあまり日本が国際社会で変わる・変わらないという議論も飽きるし、したくもないし、意味のないことだと思います。

日本の部落差別の問題も、国がだらしないからなくならない側面もあります。日本では江戸時代にさかのぼると庶民文化があり、年金問題等社会のひずみからくる問題は多々あるが、しっかりとした市民社会ができている。ただ国際的に見た日本というのは、充実した独特の社会体制を持っている。歴史的に第三セクターの必要性がなかった。

25年ほど前から、環境運動に携わって、外からも日本のことを見たし、いろいろやってきましたが、それがきっかけになって、今はほとんどの企業の社会貢献は、環境絡みです。それは日本人の賢さでもあると思います。環境っていう問題は対面しなくてはいけないことであって、他の国に比べて、日本人の環境に対する関心も深いし、技術もあるし同時に儲かる。やはり日本人独特のスマートさがあるからほとんどの企業が、社会貢献云々として、環境から始まっているのですね。

もともとNPO・NGOは理想を持った人たちが始めた。それとの結合で、今なんとなくあるけれども、バングラディシュのNGOや、三木ちゃんがボリビアで見た本当のプロフェッショナルなNPO・NGOグループというのは、日本にはないといっても過言ではない。

それは日本を非難している訳ではなくて、歴史的に見たら必要性がなかったから育たなかっただけで、じゃあ将来育つ必要あるのかな?というところで賛否両論はあります。僕は僕なりの見解を持っていますが。このような考え方は、日本から生まれてきた訳ではない。

どちらかというと輸入理念です。良い悪いは別にして、日本人のスマートさは、表現が海外ゆずりであっても日本化する。日本で通じるためには、そうしなくてはいけない実態もあると同時に、日本人独特のスマートさで日本化してしまう。

これは悪い意味ではなくて、深い話をすれば、ニューヨークタイムズで、毎年100人世界で一番影響力のある人を選ぶ特集をしていますが、それに日本人では今年。京都大学のバイオテックか何かの先生一人だけ選ばれていました。もちろん政治家は選ばれていませんけどね。

小泉さんがあと5年くらい首相だったら、100人目位に掲載されるかもしれませんが、それはなぜかを考えなくてはいけない。それは日本を非難するわけではないけど。世界という世間がある中で賢さもある日本人がなぜかその流れに入っていない。日本人は総括的に、憧れで国際人になりたがる。けれど長い島国の歴史があるから、独特のものを作ってしまう。欧米人で勉強している人は、知識は国際的にも持っているが、なぜか、日本を外からみると全く見えないみたいです。そういうことで自分は、よく欧米人とケンカをする。「お前らわかってないなあ!」って。これでは、やっぱり流れには入っていけない。

それがなぜかこれは、深い問題です。コミュニュケーションの問題ではないと思います。いま中国でチベット問題が話題になっていますが、やっぱり中国は大陸性だから、世界の文化に通ずるところがある。異文化的に見ると、日本は一つだけ火星人的で、外れている。グレゴリー・クラークや、世界的にベストセラーの「日本の権力構造」のウォルフレンは、私から言わせると初めて日本を説明できた外国人です。

私自身、この10年、20年で日本に来る回数が増えました。一時は10年間くらい一度も帰国しなかった時期もありますが、いろいろ見てみると、日本の若い人たちの中にも「何かしたい!」と、それなりに理念を持った人がいますね。

流行の言葉で、「人材育成」なんてあるけど、あれはとんでもない話。探せばいるのです!探さなくてもいます。日本にはそのような人たちを使いこなす場がないだけです。日本はインアウト社会ですから。

Word of power

●自分で物事を決める!
●時代の流れと歴史から原因を見つける
●『何故』を意識して社会を見物する

次回は、今、NGO・NPOに携わろうとする人たちに求められていることなどを伺っていきます。次回もお楽しみに!!

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