vol.065 佐々木文平

合同会社街オリ 代表  URL:http://machiori.jp/

1993年4月~1999年3月 筑波大学附属駒場中・高等学校 在学、在学中、米国ペンシルバニア州の公立高校に1年間留学
1999年4月~2003年3月 東京大学 経済学部 経営学科 在学
2003年4月~2006年9月 マッキンゼー・アンド・カンパニー 勤務 在籍期間の半分、英語で仕事をする国際プロジェクトに従事
2006年10月~ 合同会社街オリ 代表


いきなりですが、あなたは自分のふるさと、あるいは今お住まいの地域の魅力をひとことで語れる自信はありますか?
案外、故郷やいま住んでいる地域の魅力は、普段、すんなりとは答えづらいものです。

今号からご紹介する合同会社街オリ代表の佐々木文平さんは街の魅力を『こだわり』をもって伝える場を提供している。
インターネットを介して、その街の伝統、文化という独自の切り口で 情報提供をしているだけでなく、現在一番力を注いでいる『文化のココロ』では 直接現地の人たちと語り合える場も提供している。さらに、人材開発事業を手がけることで持続可能な地域活性化事業も推進している。

このように、佐々木氏が繰り出す事業からは本質的に地域の魅力を引き出し、
永続的な発展を目指す志が随所に垣間見れる。
今回から、3回にわたって、街の魅力を発信、共有しながら地域を活性化する実業家、佐々木氏に迫る。

第1回目は、街オリが進める地域活性化に関するお話です!

地域活性化で起業を決意!

今やられているとことと、それまでの経緯を教えて下さい。

街オリの活動を端的に表すと、地域の活性化と観光の促進です。具体的な活動として現在三つの柱がありますが、その一つがインターネット上の情報発信である「クイズで小旅行」です。ありきたりの情報発信の形ではなくクイズ形式で歴史などの街の物語をたどれるよう工夫をしています。事業としてこれ自体からの収益は期待していないのですが、街オリを多くの人に知ってもらうツールとして、またクイズを作るにあたって、取材に行き、地域の人々と関わることができるため、地域の人との関係作りの道具として活用しています。

街オリのクイズで小旅行のサイトですが、東京都だけでなくほかの地域も拝見しましたが、ユーザー側の投稿もできるのですか?

クイズで小旅行のプログラムは、誰でも投稿できる仕組みを作っています。地図を組み合わせたクイズをウェブで発信するためには、通常、HTMLはもちろん、いくつかのプログラミングも必要になってきます。しかし、そうした知識がない方でも発信できるように、ブログ形式で簡単に投稿できるようにしています。 とはいえ実際にやってみると、クイズの文面を作るのには結構ノウハウがいることに気付きました。面白いクイズに仕上げるには、地域についてどのように物語を作り、1つ1つのスポットにどのようなメッセージを込めるかがすごく大切なのです。そんなこんなで結局、現在は大半のクイズを我々が作成しています...。本当はユーザー側から、クイズを作りたい人がたくさん出て来てほしいです。その人たちが街の物語を面白く伝えるスキルをつけられることをお手伝いし、ユーザーが各地域に根ざして作っていくのがベストですね。

サイトは、これからさまざまなトピック、カテゴリーが出てくるでしょうが、ユーザー参加という軸はブレないのですね?それでは他のサービスについても教えてください。

2つ目は「文化のココロ」です。これが特に力を入れていきたいことなのですが、一言で言うと地域におけるワークショップ。観光といえば、ただその土地を訪れて、きれいな景色を見て、美味しいものを食べておしまい、というパターンがほとんどですが、本当のその地域の魅力は、土地の人に触れ、その文化を語り合うところにあると思うのです。そうした場を提供する仕組みが「文化のココロ」です。例えばワイナリーや酒蔵などに行って、ただ見学して終わりではなく、オーナーや従業員と語り合える場を、ファシリテーター(場作りの役割を担う司会)をつけて実現する。それにより深く地域・文化を知ることができ、自分の内面にもさまざまな気付きが生まれる、そうした場を提供していきます。ここから発展させて、参加した人の会員制組織なども作り、地域・文化と人々の絆を広げていきたい想いがありますが、「文化のココロ」は「街オリ」立ち上げ以来ようやく1年半かけて、端緒についたところ。本当にこれからですね。

3つ目は「人材育成」と「組織開発」。地域が本当に魅力的であるかどうかは、結局はその地域を織り成す人にあると思います。"街づくり"が"人づくり"と言われる所以ですね。魅力ある地域の形を外から提案しても、一過性に終わってしまい、残らない。とにかく地域に根ざした人が育つことが大切なのです。具体的な事例としては、宮崎県のとある市において、「健康な街づくり」のプロジェクトに半年間ほど関わりながら、会議を通して人材を育成することに関わりました。また現在、企業研修を数多く引き受けていますが、これも根っこは同じだと考えています。

以上3つが大きな柱ですが、あともう一つ、"デザイン力"というのも押し出していきたいと考えています。センスを地域に持ち込むのはすごく大切ですし、それをお手伝いできれば本望だと思っています。

ちなみに私自身、センスの良さというのが非常に好きで、以前からデザイン分野でも貢献したいとい夢はあったのですが、実際に押し出すことがいま出来るのは、最近デザインセンスが抜群の子が一緒に仕事をしてくれるようになったからです。このような形で、街オリを種々の才能を持った人が集まりその力を活用できる「場」に作り上げてゆきたいというのが現在の想いです。

なるほど。佐々木さんがそもそも起業しようと決意したきっかけを教えてください。

まずなぜ起業したのか、そしてなぜ"地域作り"なのかという流れになりますが、起業に関して、ひとつ大きいのは父親の影響です。父親は銀行勤めでしたが、私たちが小さいころから起業したいと常に口にしていて、最終的に支店長まで勤め上げたあと55歳になってから起業しました。そうした父の姿を見て、「起業はするもの」と、何となく刷り込まれていたのだと思います。

あとは自分自身、学生時代から何かを自分で打ち出してやるのが好きでしたし、「起業に向いている。」とまわりからも言われ、自分でもそう信じていました。就職先を選ぶ時も、起業に向けたキャリアとして一番どこがいいかと考えました。就職活動中、「起業するなら今やれば?」とまわりから問われることもしばしばありましたが、その時はすぐ目の前に見えているものがなかったし、社会人としてやっていけるスキルも身につけたかったのです。そこで、最適だと判断したのがコンサルティング会社。そして、マッキンゼーを選びました。

起業家精神はお父様の影響もあったのでしょうが、アメリカなどに行かれ、つかんで来たことは何かありますか?

起業に関しては特には無いです。起業したいというのは、留学前から言っていましたし、アメリカで勉強した土地も、起業家を目指すような志の高い人たちが集まる場所ではなく、いわゆるごく普通の保守的なアメリカ人が集まる地域でしたので、そこと起業家とのリンクは無いですね。むしろアメリカに行ったことは、地域活性化を活躍の舞台にしたいという思いにつながりました(次号のメルマガで詳しくお話しします)。

既存の組織に属して活動することと、自分で会社を立ち上げて活動することで大きな違いはありますか?

大きな違いはやはり根本的に「何をするのか?」を自分で決める点が全く違う。特に私は、自分で決めたことは本当に頑張れる。テニスをやると自分で決めたら、真夏の3時間サーブだけをひたすら打ち続ける!というのだって例えばですが、そのように突っ走れる方なのですが、逆にマラソン大会のように「これをやれ!」と言われたものに対して強いやりがいを見いだし、結果を出すというタイプではないのです。

もちろん既存の組織に属しても、自分が任せられている仕事に対して、自分が何をしなければならないか、自分で見出さなくてはならないと思います。ただ本当にファンダメンタルな部分で、他の人の決めた仕事が降って来るのか、それとも自分達で仕事を取りに行くのかでは、全く違う。起業した今は、ファンダメンタルな部分で仕事が降ってくることはなく、自分達から取りに行くのです。もちろん、その中で例えば、お客様から1つ仕事をいただいたら、お約束したことは義務としてやりきらなければいけないわけですが、もともとの根の部分を自分で決めたものですし、信じられるので、全く苦にならないです。

カッコイイです!マッキンゼーでは具体的にどのような仕事をされていたのですか?

マッキンゼーの典型的な仕事は、3カ月〜6カ月を単位でクライアントの1つのプロジェクトに参画することです。プロジェクトとはいわゆるルーチンを回すことなのではなく、変革を起こすための動きです。中期経営戦略策定から、オペレーションで普段やっている手順を変えるまで、幅広く経験することができました。

Word of power

・ 地域の魅力に触れることも、地域の魅力を作ることも「人」が基軸
・ 起業の精神は、自分の経験の中にある
・ 根本的な「何をするのか?」を自分達で決めるか否かが既存の組織に属して活動するか、
  自分達で会社を立ち上げて活動するかの違い

次回は、佐々木さんが「街オリ」をつくるうえで、なぜ事業性のある合同会社で行うことにしたのかなどをお聞きしました。
今後の事業の方向性、実際に地域を訪れて感じたことなど、「街オリ」の活動内容などじっくりお話しいただきます。

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