vol.050 貝ノ瀬

三鷹市教育長  URL:http://www.city.mitaka.tokyo.jp/a002/p110/g15/d11000001.html

1948年北海道生まれ。 中央大学卒。電気通信大学大学院博士課程中退。 東京都内小学校教諭、東久留米市教育委員会、都立教育研究所、東大和市教育委員会、 三鷹市立第四小学校校長などを経て、現在、三鷹市教育長。地域と学校をつなぐコミュニティスクールの草分けとして三鷹市で様々な教育改革を実施。 アントレプレナーシップ教育導入の先駆者。著書に『市民が考えた不登校問題-心の叫びに答える-』(共著・教育出版)、 『子ども・学校・ 地域をつなぐコニュニティスクール』(共著・学事出版)他

こんにちは! テトルの本村拓人です! ! 今号も貝ノ瀬氏のインタビューをお送りいたします。 教育現場だけでなく、 よい仕事をする為には"透明性"が重要である。 最近では、食品関係の企業で問題が多発しているが、 それも、透明性のある"健康的な精神"で仕事をしていなかった結果だと言える。自分自身はどうだろうか?自分の会社は? 人の振り見て我が振り直せ!

地域の方々を先生方のアシスタントにして授業に参加してもらう。そのような新しいモデルを作られている。 過去にないようなモデルを作る場合、本当に様々な障害があると思うのですが...

障害はありました。一番の抵抗勢力は、やはり先生方でした。意外だと思うかもしれないけど、学校の先生って自分の授業を見られるのをすごく嫌がるんですよ。普通プロだったら、「どうだこんなにうまい授業してるんだぞ。」となるんだけどね。

学校の先生は、三鷹に限らず全国に共通していて、自分の授業を見せたがらない。恥ずかしいというよりも、誰かにチェックされるというか、そんな風に思うのかもしれないですね。昔は教育権を盾に取って校長も授業に入れないようなこともありました。先生方は地域の人が入ってくることについて、子供が落ち着かなくなると言いながら抵抗するんです。今でも授業参観日を増やそうとするとすごく抵抗がある。

これからは開かれた学校にしなければいけない。これは別に学校だけじゃなくてどこもそうなんだけど、オープンマインドで、透明性を高めていかなければいい仕事はできない。

例えば医者の世界だってそう。カルテを開示するとかね。学校、公教育はまさにそう。何をしているかわからないじゃ困りますよね。そういう意味じゃ逆にいつでもどうぞ、というくらいにならないといけない。だからそういうことを先生方に説得していったんですけれども、なかなか一挙には難しい。

それで夏休みに一人ずつ説得しました。大勢いる中でいっぺんに説明すると、みんな人の顔をみながら賛成反対言うわけですよ。ところが一人だったら、その場自分自身で決めなきゃいけない。

一対一になると、対面だからいくら反対でも初めからけんか腰にはできませんよね。そうすると、すごく反対していたとしても、結果的に積極的に賛成はしませんけど、反対もしない位に落ち着くんですね。

夏休みになると、先生方は大体最低一人は日直で学校にいるんです。あとはみんな子供がいないから、研修にいったり、休暇とったり。その時に夏休み全てをかけて、先生方に、校長室で一人一人説得しました。個人個人誰にも相談させずに、全員のOKをとりました。中には積極的に賛成する人もいるんです。「やりましょう、やりましょう。」って。

それで九月の一日が始業式で、全員が集まる。そのときに臨時の職員会議を開いて「皆さん方に、おはかりしたら、みんな快くやりましょうって言ってくれましたので、みんなで力をあわせてやりましょう。」と宣言したんです。そうすると、みんなお互い校長に説得されたんだなとそのときにわかる。相談させると水が低い方に流れていっちゃうこともあるのです。

個別で説得して、結果的に全員のコンセンサスをとったんですね。策士ですね。(笑)

次に保護者を体育館に集めて、こういうことを始めたいと説明しました。先生の力だけでは限界があるので、みなさん方のお力を是非お借りしたいと。先生方だけではできないということではなくて、もっとよりよくしたいと説明しました。

だけども真っ先に手が挙がった質問の中では、勉強を教えるのは先生方の仕事で、それを保護者の私たちに手伝えというのはおかしい。それで給料もらっている先生がなんでそんなことを言うんだと、言われました。

だから先生方が十やる仕事を八に減らしてみなさんに補ってもらうということではなくて、十やる仕事は十やる。その上で、保護者の方々にあと二を足してもらいたい。そうすると十二の教育効果が同じになるという話をしました。

もう一つ伝えたのが、これは私の信念のようなものなんだけれども、保護者の方々自身が直接的、間接的に教育の当事者なんだと。私たち教員はまさに直接的に教育の当事者だけど、保護者の方々も地域に住んでいる以上、広い意味で教育の当事者なんだと。地域が悪くなって、地域が荒れてくれば、学校だって当然荒れます。そうするとそこに住んでいる子供たちは、その地域から通ってるわけだから、影響を受けますよね。だから無関係じゃないんです。

学校をよくしようとするならば、保護者の方々も、この学校をよりよくしようという気持ちになってもらう。一緒になってやってくれなければ、よりよい子供は育たないんです。そういう意味では地域の保護者の方々も教育の当事者なんです。

この考えの延長でいくと、三鷹は学校選択制をやらないわけです。地域にすむ、地域にある学校をよくしていこうというのが、地域に住む人の義務、責任だという風に訴えている。そこにある学校がだめだから、じゃあ隣の学校に子供をいかせるとか、そういうのじゃない。だめだったら学校にのりこんで、一緒に先生方と学校を立て直そうと、こういう気持ちになってもらいたいんです。

地域にすむ人は、地域の主権者として、その中にある学校や子供の教育に責任を持ってほしい。そして、改善のための提案もしてほしい。まさに、「オラが学校」の意識をもってほしいのです。

Word of power

●オープンマインドで、透明性を高めていかなければいい仕事はできない
●保護者の方々自身が直接的、間接的に教育の当事者
●まさに、「オラが学校」の意識をもってほしい

貝ノ瀬氏のインタビュー(四号)は以上になります。

次号も引き続き貝ノ瀬氏のインタビューをお楽しみください!

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