vol.053 貝ノ瀬滋 / Kainose Shigeru

三鷹市教育長  URL:http://www.city.mitaka.tokyo.jp/a002/p110/g15/d11000001.html

1948年北海道生まれ。 中央大学卒。電気通信大学大学院博士課程中退。 東京都内小学校教諭、東久留米市教育委員会、都立教育研究所、東大和市教育委員会、 三鷹市立第四小学校校長などを経て、現在、三鷹市教育長。地域と学校をつなぐコミュニティスクールの草分けとして三鷹市で様々な教育改革を実施。 アントレプレナーシップ教育導入の先駆者。著書に『市民が考えた不登校問題-心の叫びに答える-』(共著・教育出版)、 『子ども・学校・ 地域をつなぐコニュニティスクール』(共著・学事出版)他

こんにちは! テトルの本村拓人です!! 今号も貝ノ瀬氏のインタビューをお送りいたします。

貝ノ瀬さんが今もっているゴールとして、七つの学校ができて、それは一つやりきったと。 貝ノ瀬さんは小さいモデルをまずつくって、次々にステップアップされているじゃないですか。三鷹市で今やられていること、このモデルはどこの地域でも適用できると思います。

これを東京都内でやることに僕はすごく意味を感じていて、島とかそういう地域では、手を取って共生していくのは、普通のことですよね。でも都会でやっているところにすごくインパクトを感じます。これをもっともっと地方の都市に広げて欲しいなと思います。

そこで、今後の五年、十年の貝ノ瀬さんご自身のビジョンでもいいですし、三鷹市のビジョンでもいいんですけど、ビジョンをお聞きしたいと思います。

ビジョンについては私自身これからまだ考えていかなければいけないところで、まだご披露するようなことじゃないんだけど、その時にこそ学校選択制がでてくるんじゃないかなと思います。

つまり、地域ごとにまさに特化した付加価値がつけられた教育が七つできてくるわけですよ。地区ごとに、地域の意向がみんなで考えられて、それこそ特色ある教育が始まると思うんです。

そのときこそ学校を選ぶということが本当の意味でできてくることかもしれないと思うんですよ。だから今学校選択性を導入しても、ただ建物が立派だとか、進学率がいいとかで選ばれちゃいますよね。

あとはネガティブな要素が多いですよね。この学校に行っちゃうとこうなるからとか。だからこっちの方がいいだとか。

そうですね。あとはそれから障がいがある子供たちのことをよく考えていかなければいけないと思うんです。

ですから中学校区単位で学園ごとに固定の、学級、通級の学級をつくる。障害のある子供たちがそこで学習できるような、あっち行ったりこっち行ったりしないですむような制度を作るといいと思うんです。

市政も当然そこに重なっていく必要がある。そのときには教育の問題を超えて、市政全体の問題になってくる。コミュニティを扱うと教育プラス生活の問題もでてきますよね。

コミュニティとして生活の中で生きていくには、子供たちのことだけじゃなくてお年寄りとか、もっと乳幼児とか、全部含めた市政を考えなければいけません。

市政がどうあるべきかが、コミュニティを基盤にして再構築されていくのかもしれません。ただ僕は今のところ、その辺は漠然としていて、まだそこまで考えていません。これから色々やりながら、考えることがでてくるとは思うんですけどね。

また色々とつながってくるんじゃないかなという気はします。就学前の子供も視野にいれ、義務教育後の教育を考えると、必然的に福祉と強い連携が必要となります。 そうすると教育委員会を超えなきゃいけない可能性がでてきますよね。

ここまで話していて感じたのが、貝ノ瀬さん自身の強みって、適切なところで適切なタイミングに、適切な人を巻き込んでいくやり方、巻き込み方だと思うんです。例えば行政を巻き込む、地域住民の方を巻き込むのってすごく難しいと僕は思っているんです。世の中にはそこで四苦八苦されている方が多い中で、これを非常にスムーズに行っているって言うのは、多分タイミングをしっかりわきまえられているんですね。

タイミングとね、キーパーソンをおさえなければだめなんですよ。地域だってキーパーソンがいるし、行政だってキーパーソンがいる。そこを抑えなければいけない。

だから最初は観察していて、キーパーソンを見つけて、自分の同志になってもらう。市政でいえば、私にとっては今の副市長。地域で言えば、島野さんとか、この方は今、夢育の理事長をしてもらっている人なんです。あとは今お好み焼き屋をやっている小沢さんとかね、他にもたくさんの方々が助けてくれていて、こういう人たちはみんなキーパーソンなんです。

そういう人たちを、本当に私心なくして、やっていく人かどうかも見る必要がある。この人ならって思ったら一挙に懐に飛びこんでいく。何やるにしても自分一人の力には限界があるんですよ。

やっぱり人と一緒にやる、同志になってもらうのです。そうしなかったら広まらないし、孤立してしまいますよね。

貝ノ瀬さんの場合ビジョンがすごくわかりやすいです。

そこが大事なんだと思います。そこがキーワードになっていくんだろうなと思います。わかりやすさですね。これはリーダーシップ論にもなると思うんですけど、わかりやすく語るというのはリーダーの大事な条件です。

わかりやすく語る。それも、不安げに語るのではなくて、信じて語るということです。これは必ず子供のためになるんですという確信を持って語るということが大事です。これは商売でも同じですよね。「これはどうなるかわかりませんけど、出資してくれませんか。」じゃ信頼されませんよね。これは必ず成功します、させますからってことじゃないと投資家も不安になりますよね。

読者の方で教育に対して興味を持っていらっしゃる方が非常に多いんですね。それでかつ、一度会社で働いてから教育機関に戻りたいという方が本当に多い。 そこで、そういった方たちにむけて、教育を目指す人間にということなんですけど、何か貝ノ瀬さんからメッセージをいただきたいと思います。

教育を目指す場合に、学校の教員になる人もいるかもしれない。この場合、社会人枠というのがありますから今の制度の中で教員免許をとって、各自治体の採用試験に受かれば、なれるわけですよね。

もう一つ教育を目指すというのは、例えば教員とか、学校がやっていることからはみでていて、しかし非常に重要で、かつ手付かずのところっていっぱいあるんですよね。

例えば、放課後の子供たちですよ。学校にいる間子供たちは学校にいる。放課後の子供たちはその学校に残っている子もいれば、学校で面倒を見てくれる人がいなければ、学校からでなければいけない。でも家に帰ったら親がいないということが多い。地域に出ても友達がみんな塾に行ったり、稽古事いったりして会えないと。ぶらぶらしちゃうんです。それで問題がおきることもある。

だから学校を舞台にして、あるいは学校じゃなくてどこかの公民館でもいいんですけど、放課後子供たちの面倒を見るという、そういう教育活動をする人も必要なのです。

その面倒を見るというのもね、ただ遊ばせて、座って眺めて遊ばせておくとか、そういうことじゃなくて、ようするに教育なんです。

子供を育てるという、先生の次くらいの感じでやるような教育の機能が必要なんです。これはビジネスチャンスにもつながるかもしれません。

地方にいくと、学童クラブも全然ない。金が無くて自治体もつくれない。だけど、親たちは地方だって、働きたいという人も多い。そうしたときに放課後の子供たちが安心していられるところ、そしてできれば時には宿題をみてもらったり、心の問題についても色々と相談できたり、そういう組織というか、NPOがいくつかできてきているけど、まだまだ十分じゃない。

つまり、学童クラブも包摂した地域子供クラブのイメージでしょうか。無論ボランティアでもいいのですが、これを市場と考えたら、全国的にすごく大きな市場なんです。

こういうのも地域のコミュニティの仕事というか教育なんです。塾やお稽古事とちがった学校教育の補完教育みたいなものなんですけど、これも必要なんです。必要だけど、手はつけられない。

だから私はこれ誰かやってくれる人がいないものか。私に余力があれば、自分でやってもいいと思っているくらい。

どこの世界でも必要なんだけど、手をつけられないということはあるんだけど、教育の場合はそこなんです。広い意味でそういうところの教育も担っていける人が増えて欲しいですね。  

それでこそ社会総がかりで子供を考えるということになるのではと思います。

Word of power

●タイミングとね、キーパーソンをおさえなければだめなんですよ。
●"この人ならって思ったら一挙に懐に飛びこんでいく。
何やるにしても自分一人の力には限界があるんですよ。"
●わかりやすく語るというのはリーダーの大事な条件です。
●社会総がかりで子供を考えるということになるのではと思います。

貝ノ瀬氏のインタビューは以上で終了です。

次号はエイトレント株式会社代表 中塚 克敏氏のインタビューを配信いたします!乞うご期待!

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