vol.074 田辺 大 / Tanabe Yutaka
フォレスト・プラクティス代表 URL:http://www.fpltd.jp/
1994年4月
中央大学法学部を卒業後、大手自動車メーカーに就職。
2000年1月
1年間の外資系ケミカルメーカー勤務を経て、外資系コンサルティング会社に就職。
2002年9月
エクアドルのコーヒー農園に訪問するなど、自ら見つめる4ヵ月の旅に出る。
2003年1月
日本初となる社会起業家を対象としたコンサルティング会社、有限会社フォレスト・プラクティスを設立。
2006年6月
盲ろう者や視覚障がい者のマッサージ師が定期的に企業を訪問して施術するオフィスマッサージ「手がたり」の運営を開始
2008年4月
障がい者マッサージ師と企業とを結ぶ、マッチングサービスを職業紹介会社と連携してスタート。
詳しくは↓
【社会起業家入門】
http://fp.cocolog-nifty.com/
こんにちは!テトルの本村拓人です!! フォレスト・プラクティスの田辺大(ユタカ)さんへのインタビューは、今回が最終回です。 「社会問題に直面したときに『なにかやらなくては!』という使命感にかられる社会起業家は、とても心が繊細なんです」と、田辺さんは語ってくださいました。そして同時に、「フロンティアを開拓しようとする人は、荒地に踏み出すわけですから、心身に深い傷を受けることになります」ともおっしゃいました。 繊細な社会起業家たちが苦難にぶつかった際、支えとなるもの。それを田辺さんは「起業家精神」と呼びました。社会起業家として成功できるか、それとも敗れるか。その大きな分かれ目が、この起業家精神にあるそうです。 最終回では、この起業家精神について伺いました。 社会貢献や社会起業に興味のあるすべての人にお届けします!
社会起業家のコンサルティングをしている田辺さんから見て、社会起業家の抱えている課題はどのようなものなのでしょうか。 戦略と戦術という話になってくると思うのですが、まず戦略とは何かというと「正しい土俵を選ぶこと」だと思います。 そして戦術とは「選んだ土俵で、正しくものごとを進めること」だと思います。社会起業家のみなさんは、よい土俵を選んでいると思います。つまり社会のニーズを掴んでいます。 先見の明があります。想いも強い。ただ、ものごとを正しく進めるのが下手だったりします。 もっとビジネスの手法について学ぶ必要もあるでしょう。
ビジネスができないと、 継続的な活動は難しいですからね。 それから、こういう事例もあります。 人権問題を扱うとある団体がありまして、すごく世の中に求められるサービスを提供していたんです。 家庭内暴力の被害者を支援するサービスです。 確かに、ビジネスとして考えることが非常に難しいジャンルで、チャリティの方向に考えがちです。
しかし、団体の維持費など確実に必要なお金もあるはずですよね。 そうですね。だから「その活動に共感してくださる方から、年間1万円くらいの会費なら無理がない範囲だと思いますので、ご負担を願い出てはどうですか?」と言うと「うちの団体が会費をもらうなんてとてもとても」と、おっしゃる。この場合の真の問題は、事業モデルではなくて、事業マインドであると思います。
そういった状況を打開するものがあるとすれば、それはなんですか? キーワードは起業家精神なんです。アントレプレナーシップ。これがすごい分かれ目で、あるとないとでは、天地の差ほども変わってしまいます。
そこまで変わってしまいますか。 社会問題に直面したことによってスタートする社会起業は、お金もない、人脈もない、知恵もない、ないないづくしではじまります。しかもまだ誰も手をつけていないフロンティアを突き進むことになります。一番最初に荒地に行くわけですから、心身に受ける傷も深いんです。
たとえば、どのような傷を受けるのでしょうか? まわりの理解を得ることにすごく苦労しますし、裏切りに遭うケースもある。売り上げが出せない状況下では、体力勝負であり、精神勝負でもあります。そのうちに極限状態に到達します。 限界がきたときに、倒れてしまうのか、それとも続けるのか。 これは自分との闘いになります。やっていて正しいのか間違っているのかもわからなくなるし、お金はどんどんなくなる、満足な結果が得られない......。 ところが、その状況を突破する人が出てきます。 その人を支えているのが起業家精神。言い換えると、自分を信じる力です。先ほどの人権問題を扱う団体では、お金をいただくべきで、そのお金に報いることができるように、責任を持って、リスクを背負って取り組む覚悟が大事だと思います。
フォレスト・プラクティスの今後の事業計画を教えていただけますか? 5年かけて、お店の数を全国で12店舗に増やそうと思っています。オフィスマッサージの拠点であり、よいマッサージを求めている個人のお客様にもサービスを提供できる場所です。 そして、障害者就労の機会を東京にとどまらず、全国に広げていきたい。一店舗あたりの売上目標を立てていますが、それが実現すると、上場が視野に入ってきます。
田辺さんがおっしゃると、すごく説得力がありますね。 若手の社会起業家の分野からは、まだ上場している組織はありませんが、そういうことをやると、社会起業家の認知度がさらに上がり、概念が一般に普及すると思います。 これから社会起業をやりたい人が参入しやすくなると思います。
社会全体に、変革を起こしたい。ということですね。 オフィスマッサージ事業としては、障害者と健常者がともに働ける社会作りを目指していますが、フォレスト・プラクティスとしては、誰もが新しいことに挑戦できる日本の社会というものに貢献していきたいんです。 そして、私より優秀な方はもっとたくさんいらっしゃいます。そういった方々が活躍できるような土壌を日本各地に普及させ、そしていずれは、日本と世界を社会起業で繋ぎたい。そう思っています。
●社会起業家は戦術をもっと学ばなくてはいけない
●起業家精神とは、自分を信じる力のこと
●誰もが新しいことに挑戦できる社会を作りたい
フォレスト・プラクティス田辺大氏のインタビューは以上で終了です。
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Wrote 2009.01.29 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>