vol.084 今村久美 / Kumi Imamura
NPOカタリバ代表理事 URL:http://www.katariba.net/
高校卒業後、慶應大学SFCに進学。高校時代には環境作文コンテストで全国4位に入賞したことも。2001年にSFCを卒業後、リクルートなどでアルバイトをしながらNPOカタリバを同じ大学生の竹野優花さんとともに立ち上げる。06年にNPO法人に。大学生が高校訪問をする「カタリバ事業」では 3500人のボランティアスタッフを抱える。
こんにちは!テトルの本村拓人です!! 全5回の配信でお届けするNPO法人カタリバ代表の今村久美さんインタビュー。今号は第4号です。 カタリバを設立し、いよいよ活動をスタートさせた今村さん。しかし、ビジネスとして成立させる方法は見えませんでした。事業化するためのヒントを求めて、彼女は100人の人に話をしにいくキャンペーンをはじめます。 成功者に会うたびに、「事業になりえない」「まじめに働きなさい」と批判され続けますが、あきらめません。それどころか"いつか見返してやるんだ"という反骨精神をエネルギーに変えて再び行動にでます。 叩かれても叩かれても、そのたびに微調整をしながら前進。これを支えるのはもちろん信念です。起業家にとって、もっとも大切な、この信念が、今村さんの最大の武器であることは間違いないでしょう。 今号では、挫折とチャレンジを繰り返す、今村さんのパワフルな行動力をお届けします!
私が高校生だったら感動する!と確信した
カタリバは、どのようなかたちで スタートをきったのですか?
最初は、FACEでプレゼンを行いました。高校生の可能性の扉は対話によって開くことができる、というような内容で話をしたんです。FACEはマスメディアの研究をしていましたから、ひとりの人間をメディアとしてとらえたときに、どんなアプローチができるかをまじめに考えてみてもいいんじゃないか、と言ったんです。でも、受け入れてもらえなかったので、結果的にFACEからは離れることになりました。
闘いがはじまったわけですね。
高校生に火をつけたい、と思うと同時に、カタリバをやっていく私にも火をつけたくて。そこからは地味に活動を続けて、大学生に会いたいという高校生を呼んできては、私の友達に引き合わせるみたいなことをひたすらやっていました。
高校生が先輩に、自分のやりたいことを語るんですが、大学生側もいいことを言ってあげようとするので、互いが自分を見つめ直すいい機会になるんです。やっぱりこれはすごくいいな、私が高校生だったら感動するだろうなって確信しました。高校生もすごく熱心に話を聞いているし、これは生産的な関係だな、と思ったんです。
小さなところからコツコツ重ねて行ったと。
メディアを利用したアプローチなんかも仕掛けられたのかもしれないですが、頭が悪いから思いつかないですし(笑)
高校生のときの私は、先生が何言っても、そっぽ向いているような子でした。でも、たとえ同じことでも、かっこいいなと思う先輩に聞かされると、すごく納得がいった。SFCに入学して最初にあこがれたのは学校や教授ではなく先輩でしたし、だったら...、と、出会いの場を作っていったわけです。
私が考えていることは、絶対に正しい
しかし、事業にはまだ、ほど遠いといった感じですね。
そうですね。だから、カタリバを立ち上げると同時に、プロジェクトについていろんな人に相談したいと思って、100人以上の人にアポを取って会いにいく活動をはじめました。当時はアルバイトをしていたんですが、合間を縫ってとにかく人に会いまくったんです。
どんな人に会いにいったのですか?
大きく3つのタイプに分けられると思います。まずは、100パーセント社会的に成功している会社の社長やコンサルタントの人。彼らの答えは全部同じでした。「そんなのビジネスにならないから、まじめに働きなさい」です。反対されるというより、否定されるレベル。しゅんとなりましたね、これは。
それから同世代の人たち。彼らは逆に、100パーセント共感してくれるんです。当事者はこの問題意識を共有できるんだから、潜在的なニーズはあると感じました。
そして親や先生ですね。「あんたに何ができるのよ」と言う先生もいらっしゃいましたが、子供たちとのコミュニケーションの取り方がわからずに困っている先生もいらっしゃいました。昔なら、不良になって、不満を表現していたのが、最近は内にこもってしまうためよくわからないらしいんです。
成功者から否定されて、よくくじけませんでしたね。
いえいえ、くじけますよ。友達連中にも、私がやっていることは言えなかったですもん。一時期は人に会うことすら怖くなって、批判しそうな人は極力避けていた時期もあります。自分が劣等感を持ちそうな人とか。
よく、復活しましたね。
だって、私が考えていることは絶対に正しかったから。私を否定した人たちに、いつか「私が言っていたこと、間違ってなかったですよね?」と言ってやろうと思って、自分を鼓舞しました。
なんだ、こっちから会いに行けばいいんだ
その頃、目標にしていたのは、どんなことだったんですか?
とにかくカタリバについて人に話してまわって、イベントをひとつ作ることです。 そうやって、相談を繰り返す過程で、私の話を「おもしろい」と言ってくれる企業の方が現れました。リクルートの進学情報ディビジョンの方です。「リクルートも、これからはもっと、自分のことを深く考えていけるようなメディアを作って行きたいと思ってる」と言ってくださって。
今村さんはリクルートで働いた経験があるんですよね?
はい。でもアルバイトですよ。社員ではありません。ひとつのプロジェクトメンバーに参加させていただきました。後から知ったのですが、3時間以上お話を聞いた後、「面白いからうちに関わりなよ。」とお声がけをいただきました。
でも当時の私は生意気だったので「やりたいと思えた仕事をやらせてください。」なんて言ってしまって......。ロクに社会経験もないのに、ありえないですね、今考えると。
今だったら、到底そんなことはいえません。世の中、雑巾がけから学んでいくべきものなはず。今ならそれを理解できます。
アハハ。確かにすごい発言ですね。
リクルートでは、進学ネットという高校生向けウェブサイトを高校生の情報の授業で利用する事業に携わりました。
まだその頃は、ISDNの時代です。インターネットの使い方がわからない人もたくさんいる時代。高校に導入してもらおうにも、先生がインターネットに慣れていない方が多かったので、生徒に伝わるわけがありません。
そこで、リクルートが講師代行を授業枠に送り込んで授業をしますよ、とプロモーションをすることになったんです。私は高校にアポを取って訪問し「私に授業をやらせてください!」といってまわる仕事をしました。
はじめて授業をやらせていただいたのは、茶髪で、ポケットに煙草を忍ばせているような生徒ばかりのヤンキー高校。からかわれつつ、一生懸命、話をしました。
すると、やっぱりみんな、本当に自分がやりたいことについてなど、先生や友達に言えない気持ちがある。彼らは学校外でイベントをやっても来てくれないようなタイプです。でも、そのときわかったんですよ。なんだ、イベントを作って来てもらうんじゃなくて、こっちから会いに行けばいいんだって。
●100人の人にアポを取って会いに行く
●いえいえ、くじけますよ
●「私に授業をやらせてください」と言い続けました
高校の先生と話をする機会が増えていく中で、今村さんは教育現場へ、そして聖域である教壇へと足を踏み入れます。まるで粘着質なジャーナリストのような彼女のしつこいアプローチ。そしてついに、高校へ入っていくことに成功します。いよいよ次号は最終回です。今村さんの思いの火が、全国へと広がっていく様子をお届けします!
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Wrote 2009.01.13 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>