vol.107 辰野まどか

NOMAD global代表  URL:http://www.nomadglobal.jp/

こんにちは! テトルの本村拓人です!! 全3回にわたってお届けするNOMAD global代表、辰野まどかさんのインタビュー。今回は第2回目です。 Whose real is it!?の取材を通じて感じるのは、海外に出たことがその後の活動や事業のモチベーションになっている人が少なくない、ということです。それはとてつもなくうらやましい経験だと思うのですが、ポンと海外に飛び出していける身軽な人ばかりでもないでしょう。いろんな制約があって海外に行けない人は、海外を旅するということが意味するところを考えて、その代替を探してみるのも手かもしれません。 さて、第2回目となる今回は、辰野さんがいったいどのような視点で活動し、自分の中に変革を呼び起こしていくのかについて伺いました。好奇心を持って行動を続けていくうちに、おもしろい出来事というのは、やがて向こうから近づいてくるようになるのかもしれません。

新しい何かに対する好奇心が人の心にスイッチを入れる

NOMAD globalでは、どのような活動をされているのでしょうか。

経営者の方や社会起業家の方にコーチングやセルフ・ブランド・コーディネーティングを行ったり、グローバル教育という観点からワークショップを開催したり、研修・通訳執筆・コーディネートをやったりもしています。おもしろそうなことをどんどんやっていこうというスタンスです。 2008年5月には、横浜で行われたTICAD(アフリカ開発会議)に参加しました。アフリカの首相たちや日本の政治家、大企業の社長などが集まっていて、数々のミーティングに同席しました。私はその中で海外の企業のエグゼクティブ・アシスタント的な立場だったのですが、そこで触れた首脳陣の会話は興味深かったですね。モナコでは、世界のセレブが参加する舞踏会にも顔を出させていただいたのですが、そこでは金銭的に桁違いの趣味や文化に関する話があちらこちらで飛び交っているわけです。 TICADでも、モナコでも同じく桁違いな話を耳にするわけですが、私にとっては、周りにいる使命感を持って頑張っている人たちと彼らは同じです。政府も、企業も、NPOやNGO、そして貴族さえも。フィールドや役割が違うかもしれないけど、彼らが繋がることで、掛け算のように面白い化学反応が生まれるのではないか、と思うようになりました。 全員とは言いませんが、いろんなフィールドの人が繋がり、もっと交わっていけば、世界はいまよりよくなっていくんじゃないかって感じるんですよ。そして、日本自体も、もっと世界と交流して世界に貢献できるような国になれればいいのにって...。日本×(   )って面白い化学反応が起きそうじゃないですか。このように感じている人って、私だけではないと思うんです。そういった人たちと繋がって、ゆくゆく、何かおもしろいことがしたいんですよね。

辰野さんは、活動していくにあたって、どのようにアンテナを立ててらっしゃるのですか?

コーチングではバリューという言葉を使うのですが、こうしたいとかではなくて、自分にはこれがあるとワクワクするというものを持ってくださいね、とクライアントには伝えています。ちょっと恥ずかしいですが、自分の中にエキサイトできることを持つってすごく重要なんですね。開拓精神であったり、何か新しいものに対する好奇心。人の心のスイッチを入れるのは、そういう感覚ではないかと思っているんです。 私は、そのきっかけになるものに興味があるんですよ。Up with Peopleしかり、TICADしかり。単なる知識として知るだけではなく、化学反応を起こしてお互いに学び合える方法を、中に入って探していけるような環境が好きなんですよ。

知識として勉強するのと、中に入って学んでみることは違いますか。

離れていては見えなかったものが、近づいたら見えてくるということはたくさんあります。人種の違いを感じていた人とも意外なほど分かり合えるし、ちゃんと話し合うこともできるんです。言葉がうまく通じなかったり、交わる手段がなかったり、集まる場がないというだけで、実はお互いに求めているものは一緒だったりするんですよ。 たとえば、自殺しようと思っている人も、そのときには死以外の選択肢が見えなくなっているのかもしれませんが、他の人と交わって発想に新しいものが生まれてくると、人生の見え方が違ってくることだってあると思う。そういう体験を私は伝えていきたいんです。 私の行動指針は、このワクワクに加えて、コントリビューションとコネクションですね。コントリビューションとは、貢献する、という意味ですが、まわりにとっても自分にとってもエネルギーが上がりそうだなと言う場作りに関われること。そして、コネクションとは、つながりのことですが、そのつながりによって新しいものが生まれるのではないかと予感させる出会いを大切にしています。決してただ単に、仕事のためにつながりましょうよ、というものではありません。

おもしろい人から、おもしろい人を紹介してもらおう!

では、そういう気持ちを持ちつつ、おもしろい人や場面に出くわすコツはあるのでしょうか?

それはその人のアンテナ次第じゃないでしょうか。ただ、ワクワクしているかどうかには敏感であるべきだと思います。そして、なんでも体験してみること。私は、合コンなんてつまらないと思っていたのですが、一度体験してみないことには判断がつかないので、参加してみたことがあります。結果、やはりワクワクは感じられなかった。でも、そのように一度は参加してみているんです。食わず嫌いはやらないようにしています。

会いたい人に会うことって、しかし簡単ではないように思うのですが。

ところが、おもしろい人って、芋づる式に見つかるものなんですよ。一人、おもしろい人を見つけることができたら、その人がおもしろいと思っている人をご紹介いただくんです。すると、興味深い人と連鎖的に出会うことができるんですよ。

なるほど。辰野さんが最近取り組んでいることがあれば、教えてください。

中国で行われたGIFTというプログラムに、最近、参加してきました。私がこれまで取り組んできたNPOやNGOには、投資の対象になろうという考えがあまりなかったのですが、それを持ち込もうとしている団体で、すごく刺激的でした。

投資、ですか?

そうです。いま、NPOやNGOにお金が流れるのは、彼らが"よいことをしているから"であり、その活動を"応援したい"という気持ちがあるからなんですね。同情的な面があるんです。しかし、自分のいままでの活動から考えると、それだけではいけないと思うんですね。お金があつまらなければ、運営はたちまち息詰まってしまいますから。 なにが重要かと言えば、突き詰めていけばコンセプトなんですね。そういった意味では、非営利団体であるNPOやNGOの活動も営利組織である企業の活動も同列です。コンセプトに魅力がないと、継続しないんです。そんなふうに思っていたときにGIFTというNPOに出会ったんですよ。 GIFTとは、Global Institute For Tomrrowを略した言葉で、マレーシア生まれのインド人、チャンドランが立ち上げたプログラムです。チャンドランはもともと環境コンサル会社のチェアマンをやっていた人なのですが、ビジネスの世界でも大きな成功を収めており、要するにバリバリに切れる人なんですね。

環境コンサルをやっていたとなると、活躍の場は多そうですね。

そうなんです。彼は、香港の大学でMBAコースも教えていて、CSRのプロフェッショナルでもあり、政府にもアドバイスを行っています。その彼が挑戦しているのが、援助漬けになっているNPOやNGOの体質や、"よいことをしているのにお金がないなんて、かわいそうだから援助しなくては"という周囲の考え方を変えたい、ということだったんです。

一流のビジネスマンが集まるNPOプログラムに参加

チャンドラン氏とは、どこかで接点があったのですか?

就職活動を応援するジョブウェブの代表の佐藤孝治さんという方は、大学時代からレストラン&バーの立ち上げなどでお世話になっている方なんです。ジョブウェブはGIFTとパートナーを組んでいて、佐藤さんとチャンドランも仲がいいんですね。それで私もチャンドランにお会いするきっかけに恵まれ、プログラムに誘われたというわけです。

なるほど。さきほどおっしゃられていた芋づる式ですね。

そうそう。それで、すぐ「行く行く」って言って。もうね、中国の砂漠の果てまで行ってきましたよ。

どんなプログラムだったのか、ご紹介いただいていいですか?

だいたい10ヵ国くらいから、全部で22人の方が集まるプログラムに参加しました。参加者の顔ぶれは、大きな規模を誇る会社の稼ぎ頭であるマネージャークラスなど、いわゆるスタープレイヤーばかり。30代の方がほとんどではなかったかと思います。 GIFTはアジアをターゲットにしたプログラムなので、参加者もインドやマレーシア、シンガポール、中国など、アジアの方がほとんどなんですが、まず、この点が私にはおもしろかった。なぜなら、いままでグローバルリーダーと名のつく機会は、ほとんどアメリカ主導で作られていると感じていたからなんです。 3週間かけて行われるプログラムで、最初の一週間は北京で徹底的な座学を行いました。アジアの現状や社会問題に対してどのような施策が有効かといったことを徹底的に話し合うんです。これも興味深い点ですが、NPOやNGOが活用しそうな安ホテルには宿泊しません。超一流のホテルに泊まるんですよ。ご飯も贅沢で、「これで本当にいいのかな?」って戸惑ってしまうくらい。

清廉潔白なNPO、NGOのイメージを覆す内容ですね。 チャンドランはネットワーカーで、さまざまな企業のトップと繋がっています。そのため講座を開くゲストスピーカーにもすごい人たちが出てくるんですよ。中国のCSRのプロや、メディアに強い影響力を持った方がいろいろな話をしてくれるんです。さまざまなカテゴリーの代表格のような方が次々に登場し、そういった方々の話を聞きながら、最初の一週間を過ごすんです。 チャンドランは、「社会問題を事業で解決するためには、行政や企業、市民団体を巻き込むのは当然として、そこにメディアも加えなくてはダメなんだ」と説明しました。私も同じように考えていたのですが、メディアという視点は抜けていたので、ここでも意外に感じましたね。

Word of power

●近づいたら見えてくることはたくさんある
●なんでも体験してみること
●すぐ、「行く」って言って、砂漠の果てまで行ってきました

NOMAD global代表、辰野まどかさんのインタビューは次号が最終回です。これまでに体験したことのないGIFTというNPOの新しいスタイルに、辰野さんは刺激を受け、ワクワクのアンテナはビンビンに立ちっぱなし。そんな彼女がGIFTから受け取り、次へとつなげて行こうと思ったものとは!?

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