vol.112 池田正昭
NPO法人アースデイマネー・アソシエーション発起人
1961年神戸市生まれ。博報堂でコピーライターとして活躍した後、
1996年より同社が発行する雑誌『広告』の編集部へ異動。
2001年には編集長となり、fsd(フューチャー・ソーシャル・デザイン)シリーズを手がける。
同時期に、地域通貨「アースデイマネー」や、国産間伐採割著の普及を図る「アドバシ」、「春の小川」再生などの活動をスタートさせる。さらに複数のNPOを立ち上
げるかたわら、ミュージシャンの坂本龍一氏らと共に森林保護を訴えかける「more trees」設立に参加。
2008年6月より、港区エコプラザの管理、運営にも携わっている。
こんにちは! テトルの本村拓人です!!
今回から2回にわたって、地域通貨「アースデイマネー」を発行するNPO法人アースデイマネー・アソシエーションの発起人である池田正昭さんにご登場いただきます。
アースデイマネー・アソシエーションのほか、「春の小川」の再生を訴えるNPO法人渋谷川ルネッサンス、国産間伐材割箸の普及を図るアドバシなど、多彩な活動を展開する池田さん。環境問題や社会貢献で調べれば、すぐにその存在にたどり着く、いわば世界の未来を切り開く重要なキーパーソンです。
そんな池田さんに、そもそもどのようにしてそれらの活動がはじまっていったのかについて、お伺いしました!
【エコプラザ】www.eco-plaza.net/
【アースデイマネー】www.earthdaymoney.org/
【more Trees】www.more-trees.org/
近頃、環境問題への意識や社会貢献への関心が若い人たちの間で高まっていると感じています。このような人たちに池田さんは大きな影響力を持っていらっしゃると思いますので、今日はどうしていまのような活動をするようになったかなどをお伺いしたいと思っております。 環境問題への意識や社会貢献への関心が高まっているんですか? 僕の周辺では、そういった話はあまり聞かないのですが...。それに、僕にしても、「エコ」に対してたいしてそれほど高い関心を持っているわけではないんですよ。
そうなんですか? それは意外ですね。地域通貨のアースデイマネーも渋谷川の再生プロジェクトも港区立エコプラザの運営も、すべてエコや社会貢献の匂いがするのですが。ほかにも「打ち水大作戦」を立ち上げられたり、坂本龍一さんがはじめた森林再生活動「more tree」に参画していたり、いろいろやっていますよね。 たしかに、いくつかの「エコ」な活動を手掛けているのですが、いろいろな人と出会ううちに、その流れの中で生まれてきたものがほとんどなんです。本当にやりたいと思ってはじめたのは、アースデイマネーだけなんじゃないでしょうか。
それでは、そのアースデイマネーについてお伺いします。この地域通貨システムは、どのような経緯ではじまることになったのでしょうか。
僕は大学を卒業した後、コピーライターになりてくて、広告代理店に入社しました。動機は、華がある職業で、女の子にもてるらしいという噂だったから。まあ、不純ですよね(笑)。もちろん、コピーライターとして食べていけたら、という想いもあったのですが。 入社して、念願どおりコピーライターになりましたが、泣かず飛ばずのキャリアを10年過ごした後、会社が発行している雑誌「広告」の編集の仕事にうつりました。 1999年の、たしか5月頃のことでした。当時愛読していた「批評空間]という雑誌に掲載されていた地域通貨の論文にたいへん衝撃を受けたんです。これは本当に世界が変わるかもしれないと思いました。寄稿していたのは西部忠さんという方ですね。当時は北海道大学で助教授をなさっていました。 さっそく僕は、西部さんに会いに行って、たっぷり地域通貨について取材して雑誌に記事を掲載しました。"自分たちでお金を作ることができるんだぜ"ってことを広めたくて。実際に、地域通貨を立ち上げる人が現れるのを期待して。しかし、人に伝えるだけでは飽き足らなくなって、オレがやりたいぞ!と思うようになった。それがアースデイマネーに繋がっていくんですね。
池田さんは、地域通貨のどのような部分にそれほどの魅力を感じたのでしょうか。
いまでは地域通貨といってもそこそこ当たり前になってしまっていて、たいした驚きはないのかもしれませんね。でもその当時はまだ、自分たちでお金を作るという発想自体がありえない話だったんですよ。 西部さんの論文には、カナダで実際に地域通貨を流通させているマイケル・リントンのモデルケースが非常にわかりやすく具体的に解説してありました。「批評空間」は、固い論文が中心の雑誌だったのですが、西部さんのテキストは具体論で読みやすかったですね。記事を読んでいるととてもワクワクして、結局その翌年にはマイケル・リントンに会うためにバンクーバー・アイランドにまで行くことになりました。
なるほど。それがきっかになり、自らも地域通貨をやろうと思った、と。
西部さんの論文に衝撃を受けて、いてもたってもいられなくなったあの頃が僕の原点ですね。そのワクワク感から誕生することになったアースデイマネーですが、着実に発展していっているものの、当初イメージしていたものとはかなり違ったものになりましたね。
イメージしていたのは、どういったものなのでしょうか?
もっと、メディアとしての機能を持たせたいんですね。せっかくアースデイマネーを通じて人と人が出会うような場が少しずつ作られているのですから。 それから、現状の貨幣経済を否定するつもりはないですし、もっとそこに混ざり込ませていきたいんですよね、取り引きの手段として。いま、日本での貨幣経済は「円」で動いていますが、なぜそれが根付いているのかというと、ほかに選べるものがないだけだからです。しょうがないから使っているんですよ。
アースデイマネーの通貨単位は「r(アール)」ですよね。マイケル・リントンさんの地域通貨と同じ仕組みを取り入れているのでしょうか?
僕がやりたかったのは、マイケル・リントンのLETSという通貨システムなんですが、それは「r」とは似ても似つかないものですね。設計思想がをまったく異なっているんですね。
LETSのすごさというのは、どういったところにあるのでしょうか?
お金がいらないところでしょうか。手段と目的が入れ替わるというか、なにか欲望のありようとはなんなのかということを、根源から問い直すような仕組みなんですよ。要するにお金がなくてもほしいものが手に入れられ、やりたいことができるようなシステムなんですね。 たとえば、ほしいものがあって、「これください」と言うと手に入るわけです。お金は払わなくていい。仮に売り主が5千円で売りたいと考えていたなら、その人の通帳がプラス5千円になり、反対に買った人の通帳はマイナス5千円になります。プラスマイナスは0ですね。そんなふうにいろんな人がどんどん取引きを行なっても、その社会全体としてみればプラスマイナス0のまま。売るばっかりの人、買うばっかりの人がいてもいい。売るだけの人はどんどん通帳が黒字になっていき、買うだけの人はどんどん赤字になる。それでもかまわない。通貨の総量は減りもしないし増えもしない。プラスマイナス0のまま。ほしいものはなんでも手に入るから、困っている人がいない。それで社会が成り立ちうるというのが、マイケル・リントンが提唱したLETSなんです。 本人に時間があって、やる気もあって、体力もあるのであれば、なんだってできるんですよ、その世界では。リントンは、お金がないから何もできないなんていう事態が起きるのはおかしいと言うんですね。
●モテたくて博報堂に入社
●地域通貨は世界を変えると思った
●時間と体力さえあれば、なんでもできる世界
次号では、自由な発想で多彩なプロジェクトを仕掛ける池田さんが、どういった考え方をベースに仕事をてがけているのか、また、フリーランスで活動する意味についてなどをお伺いします!
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Wrote 2009.02.10 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>