vol.120 谷口奈保子
NPO法人ぱれっと創設者/前理事長 URL:http://www.npo-palette.or.jp/
こんにちは! テトルの本村拓人です!! 全3回にわたってお届けするNPO法人ぱれっとの創設者で前理事長の谷口奈保子さんへのインタビュー。今号はいよいよ最終回です。 今号は、ぱれっとの今後の展望や、行政や企業など、周囲の団体との関わり、また、近頃の社会の様子について谷口さんが感じていらっしゃることなどをお伺いしました。 谷口さんが創設したぱれっとも、設立から20年以上が経ち、世代交代の時期を迎えました。創設組が築きあげた理念はうまく継承されるのか。組織が長く継続的な活動を行うための重要なターニングポイントが訪れたのです。 果たしてぱれっとは今後も続いていくことができるのか。谷口さんが、不安と期待に揺れる心を話してくださいました。
ぱれっとの今後の展望をお聞かせください。
目標は変わりません。障がい者と健常者が、当たり前のように一緒に暮らしていける社会の実現です。また、なんだかんだと言いながら、私は創立者として、あるいは理事長として、団体を引っ張る立場にありましたが、退いてもいいかなという感触は感じています。 おかし屋ぱれっとを作って2年目のことなのですが、障がい者団体の全国組織である「手をつなぐ育成会」という渋谷区の親の会からある提案があったのです。それは、傘下の作業所になるなら、年間500万円の人件費を出そう、というものでした。その提案を受けて、私たちはどうするべきか話し合うことにしたんです。 500万円あればずいぶん助かります。たまり場ぱれっとの運営員と、おかし屋ぱれっとの親の会で、話し合ったのですが結論がでません。私はどうしようかと思ったのですが、「どっちに転んでも文句は言わないから」と席を外すことにしたんです。「1時間くらいしたら戻ってくるから、そのときまでに決めておいてね」と。
500万円は大きいですから、なんとしても手にしたいところですよね。
そうですね。ところが、1時間半くらいして戻ってみると、「もらわないことにした」と言うんです。みんな泣きながら討論していたようで「もらいたいけど、ぱれっとの色でスタートしたんだから、そのカラーを大切にしたい、もっと冒険がしたい」って。お金じゃなくて、理念をとってくれたんですよ。 「あなたがたが出した結論ですよね。じゃあ、その言葉に責任を持ってくださいね。大いにやってくださいよ」って、私は心の中でにんまり。もらったほうが楽に決まっていましたけど、楽をとらなかった。そのことが誇らしかった。23年やってきたけど、間違っていなかったなって思いました。 ぱれっとでは、10のうち、8から9くらいは、みんなで話し合って決めているんです。私が全部決めちゃったほうが、早いし楽ですよ。でも、できるだけ、判断はみんなに任せようと思っています。順風満帆ってわけじゃあないけど、そういうことができていれば、大丈夫かなって思います。
行政や他団体との関わりについては、どのようなお考えをお持ちなのですか?
行政はいつもそうですが、遅れをとっていますね。とんでもないなって思うような発想をするところも少なくありません。でも、行政にしても、場所によって考え方に格差がありますからね。若い人がもっと国や県の議員になれば、変わっていくかもしれません。やっぱり、体質が古いところはなかなか変わらないですよ。 でも最近はね、たとえば経済産業省の人などが、ウチに視察に来てくれたりするんですね。聞きたいことがあります、と足を運んでくれるってことは、遅れをとっていることに気づいているってことなんじゃないでしょうかね。向こうから歩み寄ってくる機会は確実に増えたと思います。
そういった行政とのネットワークはどのように構築していったのですか?
これまではそんなものはなかったですよ。昔から政党とか嫌いでしたし、議員さんに頼るなんてことはしませんでした。やり方としては下手なんですけどね。そういった意味で、企業も好きではなかったのですが、だからと言って同じような団体だけで集まっていても何もかわりませんから。だから、異分野の人と繋がる機会は大切にしたいと思っています。
同じような団体が集まってもやはりだめですか?
だめだめ。不自然でしょ。宗教じゃないんだし。マイノリティだけが集まって何か言ってもどうしようもないですよ。ぱれっとのミッションは、障がい者を社会のいろんなところに散らばらせることですしね。
近頃の社会を観て、感じられることはどのようなことですか?
景気が悪いからこそ、アントレプレナーに賭けようという風潮はあるのかもしれませんね。行政も支援などのかたちでお金を出すようになってきたりね。若い起業家ががんばれるような社会なら、私は楽観視していられますね。マイクロクレジットの話など、本当に驚きましたしね。ああいういいモデルをまねて、すばらしいサービスがどんどん生まれてくればよいのではないでしょうか。
若者、がんばれ、といった感じですね。
その通りです。私がぱれっとをはじめたのは40歳のときですよ? いま30歳くらいの人なら、あと30年がんばれるわけじゃないですか。私なんてはじめたときから20年しかがんばれないことがわかっていた。だから、可能性はいくらでもありますよ。
谷口さんは、ずいぶんたくさんの人を巻き込んで活動を続けていらっしゃいます。この巻き込むということのコツなどがあれば教えてください。
なんでしょうかね。何か不満を感じるようなことがあると、「ねぇ、ちょっと、どう思う?」って人に言わずにはいられません。そういうところからはじまっているような気はしますね。結局、人が好き、なんですね。ひとりじゃ何もできないことは知っているし、人が好きだから、みんなで活動したいんですよ。
aそれにしても、タフですね。
反対されると、かえって力が湧いてきちゃうところはありますね。それにね、本当に困ったときは、不思議と助けてくれる人が現れるものなんですよ。
●お金じゃなくて、理念をとってくれた
●行政のほうから歩み寄ってきてくれる
●助けてくれる人は現れるもの
NPO法人ぱれっとの創設者で前理事長の谷口奈保子さんへのインタビューは以上で終了です。
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Wrote 2009.04.16 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>