vol.124 平田 裕之
エコアパート代表 URL:http://blog.canpan.info/eco-apa/
1973年7月 東京都に生まれる
1995年4月 高千穂商科大学商学部在学中、アメリカ、カリフォルニア州ハンボルト大学に留学。野外教育NPO、LEAPに激流下りのガイドスタッフとして参加する
1998年7月 帰国後、巨樹と川と人のつながりを訪ねる日本縦断の旅を慣行。
2002年9月 六町エコテラス事業(コミュニティガーデン)を、NPO足立グリーンプロジェクトとして手がける
2007年11月 東京都足立区のエコアパートが完成。現在は、地球環境パートナーシッププラザに勤務中。
こんにちは! テトルの本村拓人です!!
今号から3回にわたって、「畑がついてるエコアパート」を管理、運営する平田裕之さんにご登場いただきます。
エコアパートは、文字通りエコな仕組みがたくさん取り入れられた環境にやさしいアパートです。
そして同じく文字通り、アパートに畑がくっついているユニークなアパートです。
車を筆頭に、環境に配慮した商品が奨励され、また、売り上げを伸ばす時代になりました。
住宅ももちろん例外ではありません。
エコアパートもこのような時代の流れをキャッチして建てられたものではありますが、単なるエコな発想とアパートの域に留まりません。
人との繋がりを意識し、自然と親しむことのできる仕掛けが取り込まれており、
いわば社会変革を実現するための実験的な装置としても機能しているのです。
みなさんがもし、アパートを作る機会を与えられたら、どんな建物を思い描きますか?
たっとひとつのアパートに地域を変えていく力を与えるなんてこと、できると思いますか?
このインタビューでは、平田さんがエコアパートに込めた想いに迫ります。ひとりの男の無謀とも言える挑戦のストーリーをどうぞ。
平田さんが手がけたエコアパート、話題になってますね。
このエコアパートには、どのようなエコな仕掛けがあるのか教えていただけますでしょうか。
エコアパ全体を貫く考えにパッシブデザインというものがあります。
パッシブとはつまり受動的という意味で、自然の力を活かしましょうということですね。
対極の言葉、アクティブは、たとえばエアコンなど機械の力で快適な環境を作り出そうというものです。
ソーラーシステム《そよ風》ひとつとっても、ユニークですよね。
ソーラーシステムはパッシブデザインの象徴的な機能のひとつです。
部屋の温度は天候によりさまざま。
エコアパートは、たとえば夏の場合だと、
夜間の金属屋根により放射冷却現象が起きるのですが、そのときに発生した涼風を取り込みます。
そうすると朝、涼しいんですね。
逆に、寒い季節には屋根から熱を取り込み、その熱を基礎コンクリートに蓄熱します。
熱の貯金をしておくと、夜になっても暖かい、と。
そういう小さな技術をたくさん取り入れているんですね。
たとえば2階建ての2階だと、夏は暑いし冬は寒いしで、落ち着けませんよね。
僕が住んでいるウチがまさにそうですね。
以前、明星大学にヒートアイランドに関する調査をしてもったのですが、
ウチは35~6度あり、エコアパートは32度くらいでした。
32度ですか。想像していたより暑いような気もします。
私もそう思いました。
でも、同じ32度でも、人間が感じる暑さには湿気や風の通りも大きく影響しますから、体感はかなり異なるようです。
なるほど。《そよ風》のほかに、どんな仕組みがあるのか教えていただけますか?
たとえば窓は南面についているのですが、冬の斜めから入る日射しを取り込みやすくしてあります。
そして取り込んだ熱は土間に蓄熱できるようになっています。
逆に、夏の日射しは長いひさしでうまく遮断できるようになっている。太陽の動きや性質をうまく計算して作っているんですね。
それから、風が通るように南北に窓が配置されていて、さらに天窓があり上下にも風の流れを作っています。
....そのあたりの話は、僕が書いた本『畑がついてるエコアパートを作ろう』を読んでいただいたほうがいいかもしれません(笑)
きちんと説明しようとすると、2時間はかかってしまいますので。
エコ住宅といっても、いろいろな方法があると思うのですが、自然のもつ特徴を活かしつつ、
素材のところから細かく組み合わせていると考えてください。
エコアパートが他のエコ住宅と決定的に違うところがあるとすれば、
それはどこなのでしょうか?
建物だけで完結しない設計といいますか、場外乱闘できるような仕組みを作っているところですね。
ハコが環境に配慮していればよい、というのではなくて、ハコの外、つまり周辺地域や、さらに言えば地球環境との繋がりが感じられるということです。
その考え方は、足立グリーンプロジェクトを立ち上げ、コミュニティガーデンを6年間運営した経験からたどり着いたものです。
パッと出てきたものではありません。
場外乱闘、とは、どういうことなのでしょうか?
環境に配慮された住まいの提供だけでなく、そこに住まう人がいかに活き活きと、周囲の自然や環境、社会と調和して暮らせるかを考えているということです。たとえば、エコアパートの横には東屋(あずまや)があるのですが、エコアパートで暮らす住民は、かならずその前を通るように設計されているんですね。すると、そこに住まい手同士のコミュニケーションが生まれます。
「障子が反っちゃった」とか「うちの子供がうるさくてすみません」といったアパート内の話だけでなく、「これ、たくさんもらったから食べる?」なんてやりとりも出てくるんですよ。住民同士が顔の見えるコミュニケーションができるように作っているんですね。
なるほど。そういったコミュニティの面ばかりでなく、
アパートビジネスとしての成立にも非常にこだわられていますね。
普通にアパートビジネスとして運営しているので。
おもしろい試みをしたいとは思っていたけれど、"遊びでしょ?"と言われてしまう範囲では全然意味がないと考えていました。
社会的な意義があり、経営としても成り立つものでなくてはなりませんでした。
お金をかけて、究極のエコハウスを建てることはそれほど難しいことではないと思います、経済性を無視したレベルでね。
でも、アパート経営の場合は建てるのに費やしたコストを回収するのが前提ですから、
収支がつりあってないのなら、"だから何?"みたいなことになってしまう。
社会に対して、"こういう解決作がある"、"こういう考え方がある"ってことを経営的にもちゃんと示せるものでないと。
提案の仕方としてはトリッキーかも知れませんが。
ビジネスとして考えるなら、普通のアパートを建てるという選択肢もあったと思います。
エコアパートを選ぶほうが、リスキーな選択だったのでしょうか?
リスキーだと思いますよ。
木材ひとつにしても天然素材を使っていますし。手入れをちゃんとしないと悪くなっちゃう。
普通はなるべくクレームの来ない家作りを考えるものなので天然素材は使いません。
住まい手が選べず、そしてついの住み家ではない。セオリーで考えるとありえない建物だと思います。
しかし、コンセプトは100年持つ家、なんですよね。
100年かどうかはわかりませんが、耐震はしっかりしていますよ。
そこはエコ以前の問題として取り組みました。
構造は至ってシンプルで、昔の日本家屋をイメージしていただくと近いかと思います。
シンプルだから頑丈なんです。
そういうアパートを作ろうと思った発想の原点は、どこにあるのでしょうか?
二十歳くらいの頃、アメリカで激流下りのガイドをやっていたんです。
野外教育学と言って、子供たちに自然の中で遊びながら学ぶ機会を提供するようなことをやっていたんですね。
たとえば、川下りのガイドは、仕事を終えたあと30分くらい必ずゴミ拾いをするんです。使わせてもらった場所を清掃するんですね。
ほかにも、年に2、3回、ゴミ拾いをするためだけに川下りをしたりね。
そうやって、自分の遊びのフィールドをどうやって守るかということを考えながら、環境について、自然の生態系について、学んだんですよ。
そしたらあるとき、ガイドの仲間に、「日本は森の文化を持つ国だけど、どんな川があるんだい?」って聞かれたんですね。
そのとき、自分が日本のことを実は何も知らないことに気づいたんです。
なるほど。日本の文化に関心が持てないことってありますよね。
そうですね。
僕は18歳くらいのときから海外を旅していたんですが、日本について無知なことにショックを受けたんですよ。
海外を旅行してそこに外国人が集まると日本の代表みたいになってしまうことがあるんです。
どんな歴史があるのか、どんな文化があるのか、いろいろと意見を求められます。
いわゆる外交官みたいな役割があるわけですよ。
日本に関心を持っている外国人の方は、日本人より日本文化に精通していますからね。
そうそう。で、そのガイドに日本についていろいろなことを聞かれて、「なんでお前は、自分の国のことも知らないのにアメリカに来ているんだ?」と言われてしまいまして。川から両岸の森を見ると、いろんな種類の木が見えました。でも、日本の森はもっと豊かなんじゃないかと思ったんですね。そこで僕は日本に戻って、2年かけて国中をまわってみることにしました。
●パッと出てきたアイデアじゃない
●セオリーで考えると、ありえないアパート
●ショックを受け、日本を旅することにした
エコアパートを作った平田さんの原点は、「川が好き」という想いにありました。日本の川を知る旅を続ける中で、さまざまな土地の人と言葉を交わし、そして気づいた自然本来のあり方。次号は、平田さんの日本を巡る旅と、旅の後で立ち上げた足立グリーンプロジェクトについてお話を伺います。
一緒に社会起業家メルマガを社会に提供しませんか!?
現在Granmaでは共にこのメールマガジン事業を推進するスタッフを募集しております!!我こそはと思われる方、
ぜひ一度、コーヒーでも飲みながらソーシャルなお話などしてみませんか?
お問い合わせ先はこちらから!!皆様からの熱いお便りお待ちしております!!
Wrote 2009.06.09 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>