vol.126 平田 裕之

エコアパート代表  URL:http://blog.canpan.info/eco-apa/

1973年7月 東京都に生まれる
1995年4月 高千穂商科大学商学部在学中、アメリカ、カリフォルニア州ハンボルト大学に留学。野外教育NPO、LEAPに激流下りのガイドスタッフとして参加する
1998年7月 帰国後、巨樹と川と人のつながりを訪ねる日本縦断の旅を慣行。
2002年9月 六町エコテラス事業(コミュニティガーデン)を、NPO足立グリーンプロジェクトとして手がける
2007年11月 東京都足立区のエコアパートが完成。現在は、地球環境パートナーシッププラザに勤務中。

こんにちは! テトルの本村拓人です!! 3回にわたってお届けする「畑がついてるエコアパート」を管理、運営する平田裕之さんのインタビュー。今号は最終号です。
「自分のできる範囲でやればいい」
「人に強要されて、やっていることじゃないからこそ、やめてしまっては立ち直れない」など、
前号では平田さんのパッションを感じるたくさんの言葉を聞かせていただくことができました。

自分にできることをやる。自分で決めたからやり遂げる。
これらの言葉を自身に投げかけてみると、
ついついさまざまな言い訳を用意して投げ出しがちな自分の姿が見えてきました。
しかし、これを誰もが忠実に実行すればどうなるのでしょうか。
きっと社会はこれまでよりもよいものになり、
そこで暮らす人々はより充実して生きられるようになるのではないかと思います。
なによりそれを、平田さんの満足げなさわやかな笑顔が物語っていました。 最終号となる今回は、エコアパートに込めた平田さんの想いを掘り下げます。
力がもらえる話、勇気をもらえる言葉が満載です。じっくりと読み込んでみてください。

地域の人たちは、積極的に居場所を作りたがっている

"自分から言いはじめたことだから、
あきらめない"という考え方はかっこいいですね。

コミュニティーガーデンを作ってくれなんて、誰にも言われてませんから。
ニーズがあるのかもわからないし、社会貢献でもなんでもない。
結局は自分との闘いで、結果を出すのも自分だったわけです。
もちろん、やめてもよかったし、やめたって誰も文句を言う人はいません。

でも、やるって決めたからにはやらなきゃね。
あきらめなければ、次があるんですよ。
そんな自分のあり方のルールとして、くじけるわけにはいかなかったんですよね。
それに、参加してくれる人が増えてきて後に引けなくなったってこともあります。

確かに、参加してくれる人が現れたら、後に引けなくなるかも(笑)。

言ったからには後には引けない。やらなかったらただのホラ吹き。
狼少年になってしまいますからね(笑)。
"キウイが一万個できるんだ"、"ブドウ棚を作れば涼しくなるんだ"なんてことを言っても
誰も信じてくれませんでしたね。
しょうがない、僕ですら完全には信じてなかったもの(笑)。
そうなったらいいな、って感じで。
でもそれを信じて一緒に汗を流し、身銭を切ってくれる人が何人もいた。
その時点で、そうなったらいいなんて甘いことで信じてくれた人を裏切ることは許されない。
言いだしっぺは自分かもしれないけど、もはや「私たち」の夢であり、「私たち」のプロジェクトになっていました。

コミュニティーガーデンの運営では、どんな成果を得たのでしょうか?

hirata4.jpg

まず、中期的なスパンで緑化運動を行うことが可能で、調査によりヒートアイランド現象に対しても、
周辺住宅よりも2~3度気温抑制効果のあることが、専門の学術機関に調査していただき実証されたこと。
あと、地域の人々は、積極的に自分の居場所を作りたがっていると確認できたことですね。
また、そういう場所を自分たちの手で生み出すことができれば、それが街への愛着にも繋がるんです。

都市が発達していく中で、人と人との交流は、だんだんめんどくさいものと考えられるようになっていったんです。
だから、セキュリティは強化され、ロックをかけて、お互いの間にスキマを作っていったんですね。
でも、それが原因で治安が悪化し、事件が目立つようになってきている。

そうですね。僕も近所の人とは挨拶はしますが、それ以上の関係ではありません。

互いに深く干渉し合うまではいかないにせよ、現状のような核家族というか、個人主義みたいなものが行きすぎた社会ってのも、
よくないんじゃないかと思うんですよ。
ほどほどのラインがいい。そのラインがコミュニティガーデンを通じて見えたような気がします。

リスクが大きければ大きいほど、社会的なインパクトも大きい

平田さんのそのような哲学を組み込んだひとつの答えがエコアパートなんですね。

哲学だなんてたいそうなものではないです。
エコアパートは、父親の退職金を使って作ったのですが、父親には「そんなもん作るなんて、お前はバカか?」と言われましたし(笑)。

気持ちよくOKしてくれたりはしなかったのですか?

気持ちよくOKするわけないじゃないですか(笑)。
「オレの退職金、どうしてくれるんだ」って言ってましたよ。
「まあまあ、いいじゃん」って言ったら父親も「まあ、いいか」だって。
半分はふざけんな、でも半分は面白そう、で結局いつも好きなようにやらせてくれる。
変な親子関係です。。ただね、外部の人がたとえば「4000万出すからやってみる?」って言ってきたら、断っていたでしょうね。
やれる自信は正直なかったと思うんです。

そうだったんですか。

いまなら確信を持って「やれる」って言えます。
出資するって人が現れたら、「やりますよ」って言います。
どうすればエコや場外乱闘するコミュニティの仕掛けを取り入れた住宅が作れるかわかりましたから。
そこに市場があることもわかりましたしね。

でも、最初に仕掛けたときは、やっぱり未知の部分が大きすぎて怖かった。
今回の場合は、最悪でも「身内のお金だから」とか「建物は残るし」で済ませることができましたからね。
その違いは大きいです。

じゃあ、ずいぶんとリスクのある賭けに挑んだんですね。

hirata5.jpg

リスクはどこかで取らなくてはいけません。
とくに、ビジネスをやるうえで、
斬新なこと、これまでにないアプローチをとろうとする場合には。
もちろん、いかにリスクを小さくするかということは重要ですが、
リスクが大きければ大きいほど、
成功したときのインパクトが大きくなるのも事実です。

エコアパートにしても、なぜ、こういうことができるのかっていう確信を持っている部分はあります。
そこはちゃんとリスクを負った部分ではあるし、
でもむやみに背負っているわけでもない。
コミュニティーガーデンで学んだノウハウや根拠がちゃんとある。
いわゆるソーシャルアントレプレナーと呼ばれるような人も、そのあたりはきっちりと押さえていると思いますよ。

気に入った暮らしをすれば、それがエコに繋がる仕組み

ちゃんとリスクを軽減させる努力をしている、ということですね。

そうですね。難しいのは、どの程度のリスクを背負うかってことだと思います。
ここは極めて難しい。無謀と先見性って紙一重なんですが、
やっている本人は、絶対にできると思っているものなんですよ。
でもそれが客観性を失わせることにもなる。

なるほど。では、リスクを背負いながら、
成し遂げる人と成し遂げられない人の違いはどこにあるのですか?

バカになれるかっていうことだと思います。
神様、仏様、稲尾様の稲尾和久投手も「最後はどれだけバカになれるか」って言ってましたね。
もちろん、バカといっても、無策とは違いますよ。ポイントは「最後は」です。
練って練って、考えて考えて、それでもやってみないとわからないことってあるんです。
やろうとしていることに共感を呼べるかなんてわからなかったりします。
そこはリスクになりますね。 エコアパートの場合は、たとえば周囲の家に比べて家賃が1.2倍ほど高いんです。
エコアパートの考えに共感が得られなければ、住まい手はいませんよね。
この辺はやってみるしかないところ。

エコなアパートですよ、ということを前面に押し出しすぎると、
住民には手間が増えそうですものね。

いや、もちろん、そういうことはやっていません。
無垢の素材を使っている以上、最低限の手間はかかりますが、
それ以上の部分で、エコなアパートだからこうやって住んでとか、こういう風に使ってなんて強制はしていません。
そんなの楽しくないし、続かないじゃないですか。
畑が好きだからやる。それでいいんです。畑が好きだから、外で作業する時間が増えて、その結果、電気の使用量が減るわけです。 家賃だって少し割高に見えるかもしれませんけど、実はすぐに元が取れるようになっているんです。
だって、冷暖房をほとんど使わずに住めるようになっていますからね。
水だって雨水を利用して節約できる仕組みになっています。

なるほど。自給自足への関心も高まっていますし、いいことずくめですね。

あとね、いい意味での予想外だったことは、エコアパートには、すごくお客さんが多いこと。
このアパートでは、ゴーヤパーティなどが開催され、住人の友達がたくさん遊びにくるんです。
4世帯住んでいるのですが、友人知人が50人くらい集まったりするんですよ。
するとね、そこにコミュニティがあらたに生まれるわけです。
エコアパートに遊びにきた人が、"おもしろそうだな、オレも畑をやってみるか"と感じてくれるような、マインドの伝播がある。

まさに、場を通じて、コミュニティが広がっていくイメージですね。

エコアパートでは、畑とアパートを合体させたのですが、僕が期待しているのは、それが当たり前の住宅になってくれること。
カレーパンと同じです。カレーパンのカレーとパンって、もともとは別のものだったでしょう。
しかし、それが組み合わさってカレーパンとなったとき、カレーパンとして、世の中になくてはならないものになった。

エコアパートについては、ブログでたくさんのノウハウを紹介しているように、
ノウハウを囲うつもりはありません。
ノウハウよりも、むしろ重要なのは、人と人がつながっていくプロセス。
全く同じやり方でもいいので、いろんな人に取り組んでほしいんです。何もアパートを作らなくたっていい。
自分の家などでやってみてもらえれば。家に畑があるって、エコとか地球環境とか以前に、楽しいことなので。

Word of power

●あきらめなければ、次がある
●わからない部分に対しては、バカになる
●ノウハウを囲いこむつもりなんてない

読者の皆様へ

一緒に社会起業家メルマガを社会に提供しませんか!?
現在Granmaでは共にこのメールマガジン事業を推進するスタッフを募集しております!!我こそはと思われる方、
ぜひ一度、コーヒーでも飲みながらソーシャルなお話などしてみませんか?
お問い合わせ先はこちらから!!皆様からの熱いお便りお待ちしております!!

page top