vol.128 日野公三

株式会社アットマーク・ラーニング代表取締役  URL:http://www.at-learn.co.jp/

こんにちは! テトルの本村拓人です!! 株式会社アットマーク・ラーニング代表の日野公三さんのインタビュー。今号は第2回目です。 第三セクターにいるときに、不登校児の可能性を感じて、通信制の高校設立を思い立った日野さん。第三セクターを辞めた後でもその情熱の灯火は消えず、新たな学校設立へと構想を膨らませていきます。 資本金を集め、教育課程を整え、と、奔走する日野さん。奮闘する理由は、確かなニーズを感じ取っただけではなく、なによりも学習者のための教育を確立したいと考えたからでした。 第2回目となる今回は、第三セクターを辞めた後に日野さんが学校を設立した経緯と、アメリカで見たホームスクールの現実についてお話をお伺いしました。

アメリカへ渡り、提携校を探して歩く日々へ

インターネットハイスクールである、アットマーク・インターハイスクールは、ケイネットを辞めてすぐに立ち上げたのでしょうか?

いえ、1年間の準備期間を設けました。資金も集めなくてはなりませんでしたし、学校として運営できる体裁も整えないとけませんでしたから。アットマーク・インターハイスクールを立ち上げた当時は、いまのように特区がありませんでしたから、インターネット上の学校で高校卒業認定を受けることはできませんでした。そのためアメリカなどの学校と提携を結ぶ必要があったんですね。提携が結べると、アメリカの高校の卒業認定を受けることができましたから。

なるほど。それでは提携校を探すところからまずはじめなくてはならないわけですか。

そうですね。それで、アメリカへ行き、ほうぼうを訪ね歩きました。ケイネット時代も、インターネットハイスクール「風(Kaze)」を立ち上げるために、何度からアメリカへは視察にいったんですよ。日本では、個人の思いで学校を設立することは非上に難しいんですね。どうしても作りたいなら、お金をかけて物理的な校舎のある私立の学校を作るしかない。要するによほどの資産家でないと学校なんて作れないわけですよ。 ところがアメリカはホームスクールという考え方があり、州に認めてもらうことさえできれば、誰でも家で子どもを学ばせることができるんですね。認可制度は50州それぞれで、たとえば、両親のどちらかが教員免許を持っていなくてはならないといった決まり事などを持ったところもありますが、基本的に認可はされているんです。はじめてアメリカの現状を知ったときは、大変ショックを受けました。

柔軟な考え方を持っているんですね。

だから、ホームスクールやインターネットスクールを運営するためのカリキュラムも豊富にサンプルがあるんですね。それからアメリカでは、中学校以上ではアルバイトやボランティア経験に対して単位が与えられるんですね。それを必須としている学校がほとんどです。いわば社会と関わる経験も単位として認めているんですよ。 アットマーク・インターハイスクールにも川崎特区アットマーク明蓬館高等学校や白山市美川特区アットマーク国際高等学校にもこの考え方は取り入れています。それを踏まえたうえで、提携先として、理想的な教育課程を持っている高校を探したというわけなんですよ。

出資者は、20人から30人にひとりくらい

なるほど。設立資金集めはスムーズだったのでしょうか?

インターネットハイスクール「風(Kaze)」第三セクターの取締役として手がけてみて経営の自由度を感じた経験から、アットマーク・インターハイスクールもやはり株式会社として運営することにしました。株式会社にすれば先行投資資金としての資本金も集められるわけですしね。しかし、やはり資金集めは簡単ではありませんでした。 リクルート時代から付き合いのある会社などに相談にいったのですが、ちゃんと話を聞いてくれるところが3割。資金を提供してくれるところは、20~30人にあって、ようやく一人くらいの割り合いでしたね。株式会社だから、運営がうまくいかなければ提供した資本はなくなります。だから、簡単に資金提供が受けられないのは仕方がないことでした。

しかし、ニーズがあることはわかっていて、運営も成り立つという実績もあったわけですよね?

そうですね。しかし、私自身も自信たっぷりだったわけではありません。清水の舞台から飛び降りるような覚悟で会社を設立したんですよ。ほかに、株式会社でやりたかった理由は、たとえばNPOで運営するならば、その役目が終わったら解散となるでしょう。ですが、株式会社の場合は継続し、成長することが重要になってきます。また、ニーズに対して誠実に応えていかなければ経営は破綻します。それらを踏まえて、株式会社でやる必要があったんですよ。

スペシャルニーズを持った子どもたち

アメリカのホームスクールやインターネットスクールを見て、ほかに発見したことはありましたか?

生徒をクライアントとして扱っているところですね。教育権と責任は親にあり、学習権は生徒にあり、学校はスポンサーである親から教育を委託、負託されているという契約がはっきりしていることですね。教育は本質的に私事に属すものであり、モノを教える先生が上で、学ぶ生徒が下、という主従関係ではないんです。生徒が運転席にすわり、先生はコーチとして助手席にすわり、良き質問役、発問役であるんです。生徒の中のリソース(資源)を探り、生徒自身がリソースに気付き、開発できるよう動機付けをしていくんです。初めてこの考え方にふれたときは、ガーンと頭を殴られたような衝撃を受けました。 たとえば、不登校の子や、学習障害のある子がいますよね。日本の場合だと問題のある子だと捉えられがちなんですが、向こうでは、スペシャルニーズを持った子どもだと認識されるんです。より個性的な教育課程を必要とする特別なお客様ということですね。

前向きなのもほどほどにして!といった感じですね(笑)。しかし、それだとモンスター・ペアレントのように、親御さんが増長するということはないのでしょうか?

難しい問題ですよね。しかしアメリカではギリギリのところでバランスが取れているように感じます。そのラインが引けている理由は、ホームスクールで学ぶ子どもの第一の教育責任は親にあるという考え方が浸透しているからだと思います。日本はこのあたりがあいまいではありますね。一時期、教師と国、どちらに教育責任があるのか裁判が行われたことがあります。親はカヤの外だったわけですね。

なるほど。ホームスクールは遠隔教育ですから、行き届かない面はあるでしょうしね。

そうですね。だからアメリカでは、遠隔教育を成立させるためにコーチングの概念を取り入れています。既存の学習カリキュラムをやらせるのではなく、生徒のリソースをを引き出し、目標を「見える化」し、アクションプランを選択し、宣言できるように、ひたすら適切、的確な質問をし、強いモチベーションを引き出し、自主性を持って取り組めるような学習環境を整えているんですよ。

Word of power

●1年間の準備期間を設けました
●清水の舞台から飛び降りるような覚悟だった
●第一の保護責任は親にあるという考え方

学校設立のために地道な努力を重ねた日野さんは、ついにアットマーク・インターハイスクールを立ち上げました。インターネットでの通信制であることに加えて、アットマーク・インターハイスクールの大きな特徴は、学習コーチングの考え方を取り入れたことです。次号は、教育における学習コーチの有用性などについてお話をお伺いします。

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