vol.129 日野公三
株式会社アットマーク・ラーニング代表取締役 URL:http://www.at-learn.co.jp/
こんにちは! テトルの本村拓人です!! 三回にわたってお届けする株式会社アットマーク・ラーニング代表、日野公三さんのインタビュー。今号は最終回です。 1年間の準備期間を経て、いよいよアットマーク・ラーニングをスタートさせた日野さん。インターネット上のハイスクールであることに加えて、この学校の大きな特徴は、学習コーチング制度を設けているところです。 ビジネスのシーンでは、認識を深めつつあるコーチング。「教えること」を重視するティーチングや、「回復させること」を目的としたカウンセリングとは異なり、コーチングの主眼はあくまで本人の自発性を引き出し、未来へ向かわせること。日野さんは、「自発性を引き出された子どもは、誰でも目が輝き出す」とおっしゃいました。 最終回となる今号では、そんな学習ティーチングの効用などについてお伺いしました。
コーチングと聞くとビジネス用語というイメージを受けます。この考え方は教育にも有効なのでしょうか?
教えるという目線ではeラーニングは機能しないんですよ。遠隔教育ですから、先生と生徒の間で信頼関係が築けないと勉強を続けることは難しいんですね。コーチングのいいところは、生徒の自己決定や自己選択を促し、自主的自発的に継続して学べるように伴走し、目標レベルを高め、実行力を高めていけるところだと思います。 多様な生き方や才能の発揮の仕方があるのに、いわゆる受験科目だけで人間を評価してしまうのは私は好きではないのですね。だから、アットマーク・インターハイスクールでは、さまざまな学習方法や評価方法を取り入れています。 たとえば、映画が好きなら翻訳して字幕がつけられるような勉強であったり、動物が好きなら飼っているペットの生態を調べて記録する勉強など、趣味や関心領域を学問に高めていけるようにしているんですね。川崎特区アットマーク明蓬館高等k学校や白山市美川特区アットマーク国際高等学校などでも、定期テストを廃止しました。国内の高校として初めて、と言う人がいます。これらの高校には、2種類のコーチがいます。「聞く・聴く・訊く」専門スキルを持ち、「承認」「目標設定から達成までの絶え間ない動機付け」をおこなうスキルを持つプライベートコーチと、教員免許に基づいた科目の指導ができるスタディコーチです。 定期テストの代わりに、学習の成果物を提出してもらって、本人の納得度、満足度、目標達成度と客観的な品質を評価します。そのうえで単位発行していきます。
コーチングは手間暇がかかりそうですが、教育の考え方として、普及してほしいと思います。
アットマーク・ラーニングでは、学校の運営と同時に、主に学校関係者に向けてコーチングノウハウをお伝えする「学習コーチアカデミー」も運営しています。子どもたちの学習意欲や生活意欲が活性化されるよりよい環境は、もっともっと広げるべきだと思いますからね。
「学習コーチアカデミー」の評価はいかがですか?
これまでに触れたことがない指導方法に感激する先生方はたくさんいらっしゃいますね。たとえば、聞くというスキルひとつとっても、コーチングには多彩な「スキル」があるんです。ヒアリングとリスニング、アスキングでは、それぞれ役割が違うんですね。恫喝的な印象を与えがちな「なぜ」「どうして」を出来る限り使わずに、「どうしたらいいと思う?」「何があれば出来るだろう?」「いつまでに出来そう?」「どんな選択肢があるかな?」といった自己決定と前向きな行動を促す質問を駆使します。 誉めるは承認のスキルなのですが、たとえば「すごいね」と誉めたりしますよね。でもこれは、あくまでも相手が主体となる誉め方なんですよ。そうではなく、こちらが主体となってほめる。「先生、感動したよ」とか、「先生も、がんばろうと思う」「これまでの努力が実ったんだね。証人になれて先生もうれしいよ」など、こちら側がどんな影響を受けたのかを伝えてあげると、生徒の表情は和らいできます。
そんな誉められ方は、経験がないかもしれません。勇気がでますね。
「学習コーチアカデミー」を受講する人の中には親御さんもいらっしゃるんですね。親御さんにお伝えしているのは、「あなたを生んでよかったわ」「あなたが私の子どもでよかった」と、ストレートに言ってあげてください、ということです。言い慣れないと思いますから、声がうわずるなどうまくいかないかもしれないですが、それを言う練習をしたりするわけです。良いこと、いかったこと、成長した点、長所を探し、口に出せるようになるためにはある種の訓練が必要です。
なるほど。集団生活は避けられませんから、ぜひ身につけたい技術ですね。
ほかに、職員室で活きるコーチング技術なども指導させていただいています。教職員ってね、同じ目標で動かないんですよ。統一された教育目標があるようでないんです。それぞれに教育方針が異なっているんですね。それを解消するスキルは、ティーチングやリーダーシップではないんです。コーチングの領域である対話技術や質問技術、動機付けなどを学ぶ必要があるんですね。
日野さんは教育者であると同時に経営者でもあります。経営のほうは、順風満帆といった感じなのでしょうか。
コンサルティング会社のときから経営はしていますが、不安がないわけではありませんよ。
経営者に必要な視点とはどのようなものだとお考えなのですか?
きっちりと数字を見ていくということでしょうね。目標を立てて、いつまでに何をしなければいかないか、常に明確にしておく必要があります。現状を見据えて、立ち位置や行動をいつもチェックしなくてはいけないと思っています。 数字が支配する世界ではありますね。まず数字があり、そこからこの一週間で何をしなくてはならないかがすべて決まってくるんです。コーチングで言うところの、視覚化されたフローですね。
なるほど。では最後に、日野さんのこれからの目標を教えてください。
ホームスクールの考え方を、もっともっと広めて定着させていくことですね。自然権で認められる納税者の教育権、ひいては既存の義務教育に満足を感じない納税者に与えられるべき、自宅を学校にできる権利。それがホームスクールの概念です。実現にはおそらく何十年という単位で先のことになるのではないでしょうか。私のライフワークです、これは。しかし、これができれば、欧米の多くの国ですでにそうであるように、不登校というレッテルを貼られる子どもはいなくなるわけですからね。社会の情勢は刻一刻と変わり続けていますから、それを見極めた新たな試みを取り入れながら、進めていきたいですね。
●受験科目だけで人は評価できない
●「先生、感動したよ」という誉め方がある
●ライフワークとして取り組みたい
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Wrote 2009.06.10 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>