vol.062 関根健次
株式会社ユナイテッドピープル代表 URL:http://www.unitedpeople.jp/index.html
2002年7月 ダ・ビンチ・インターネット有限会社創立
2003年5月 募金サイト「イーココロ!」を運営開始
2003年9月 資本金を1,000万円に増資し、株式会社ダビンチに組織と商号変更
2004年6月 イーココロ!クリック募金を開始
2007年2月 ユナイテッドピープル株式会社に商号変更
2007年9月 第2回ソーシャル・ビジネス・アワード 「マイクロソフト奨励賞」を受賞
2007年12月 日本カーボンオフセット(COJ)と共同で日本初の「カーボンオフセットクリック募金」事業を開始
2008年2月 坂本龍一による植林/森づくりプロジェクト 「more trees」と
ユナイテッドピープルが提携。「more treesクリック募金」を開始。
2008年3月 誰でも署名集めを開始できるオンライン署名サイト 「署名TV」をオープン
こんにちは!テトルの本村拓人です!! 今号も前号に続いて、株式会社ユナイテッドピープルの 代表を務める関根健次さんにお話をうかがいます。
クリック募金システム「イーココロ!」を運営して、 世界の問題解決に挑むNGOやNPOを支援するユナイテッドピープル。 3度の就職の末に、過労で倒れてしまった関根さんは、"これからは本当にやりたいことをやろう"という シンプルな考えのもとに起業して、「イーココロ!」を構築しました。 人生をもう一度考え直すときに、関根さんは自身にこう問いかけたそうです。 ──"お金の心配がまったくないとしたら、いったい何をするだろう?" 3回にわたりお届けするインタビューの第2回目では、 「イーココロ!」が誕生するまでをご紹介。 世界の問題を真摯に見つめる関根さんの想いを感じてください。
「イーココロ!」でNGOやNPOを支援しようと思ったきっかけをお聞かせください。
アメリカの大学に通っていたことはすでにお話ししましたね。 いよいよ卒業となったときに、卒業旅行で中近東をまわってから日本に戻ることにしたんですよ。トルコをスタートして、3ヵ月かけて陸路で日本に帰ろうと。 旅の途中、イスラエルを経由しました。そのときに出会った方に案内していただいて、イスラエルの中と言ったらいいのか、イスラエルに接していると言ったらいいのか......、パレスチナ自治区という、国家ではないところを訪ねたんです。
948年からイスラエルの占領が続いているパレスチナ自治区ですね。
そうです。わたしを案内してくれた方は、パレスチナ自治区で医療ボランティアをされている日本人女性でした。難民キャンプで暮らす人や現地で働くお医者さんを何人かわたしに紹介した彼女は、病院の仕事に向かいました。わたしは病院のそばで、ひとりぶらぶらすることにしたんです。 病院の前には広場がありました。見ると子供たちがサッカーをしている。せっかくだしと、サッカーに混ぜてもらって一緒に遊んだんですよ、"ああ、楽しいなぁ"とね。で、サッカーの後で好奇心から子供たちに"君たちの夢はなんなの?"って尋ねたんです。 すると、ひとりの子供がこう言った。 「爆弾の開発者に、僕はなりたい。そして、ヒトラーのようにできる限りたくさんのユダヤ人(※イスラエルはユダヤ人国家)を殺したい。それが僕の夢だ」と。身震いしました。 ......信じられないような夢ですよね。
殺したいほど憎い敵がいるという感情は、日本で暮らす日本人にはなかなか理解できないでしょうね。
びっくりしたわたしは、彼にじっくりと話を聞かせてもらうことにしました。ユダヤ人を殺したい理由を尋ねると、その少年は、目の前でイスラエルの兵士に自分のおばさんが殺されてしまったからだ、と言うんですね。そのことが忘れられないんだ、と。 この話は非常にショッキングでした。どれくらいショッキングだったかと言えば、それこそわたしの人生がまるごと変わってしまうくらいの衝撃だったんです。 もちろん、ただの旅行者の体験として、その場だけの話で流してしまうこともできたかもしれません。ですが、夢や人生観について、深く話を聞いたことで、わたし自身の中でも見過ごせない問題になっていったんです。
当事者から直接そういった話を聞くと、衝撃は大きいでしょうね。
日本で暮らすわたしたちは、占領されたり、家が破壊されたり、両親が銃殺されてしまうような心配はありません。日本は年金の心配ができるいい国です。今日の安全や食料や水の心配をしている人なんて、ごくわずかだと思うのです。 パレスチナみたいなところと比べれば少ない。本当に平和です。だからそんな国に住みながら彼らの心情をリアルに理解することは難しい。 でも、地球の裏側では、いまこの瞬間にも明日のことが見えずに苦しんでいる人間が本当にいる。 そして、ちょっと考えてみればわかると思いますが、実際には日本とその地域は繋がっているんですよ。経済的なことでも国同士の外交でも繋がっている。イラク戦争にも自衛隊を派遣しているじゃないですか。 観ようとすれば、そんなものいくらでも見えてくる。
世界だけでなく日本にもさまざまな問題がありますが、仮に理解できたとしても、実際のアクションに落とし込むことも難しそうですね。
みんなが一緒に住んでいるこの世界で起こっていることですよ。誰にだって責任があると思います。そして、その責任に対して何も言わずにいると、勝手にどんどん物事は進行していってしまいます。 もちろん、よい方向に向かうことも、悪い方向へ向かうことだってある。悪い方向に進む、そのときに何もせずにいることは嫌だと、わたしは思うんです。そんな自分を許せないんですよね。
そして開発したのが「イーココロ!」であるということですね。
そうです。仕事中に倒れたときに、自分が本当にやりたいことを追求しようと思いましてね。パレスチナの少年と話したことが日本に戻ってからもずっと頭に残っていて、もう何かやるしかないなと。 もっとも、起業した当初から、「イーココロ!」を事業として考えていたわけではありません。「イーココロ!」をスタートさせたのは設立から半年後。会社は勢いだけでとりあえず作りました。前にいたところからお客さんを紹介していただいので、お金はそっちで稼ぎました。
ビジネスモデルがあったから、会社を作ったわけではないんですね。
あんまり例のないケースかもしれませんけどね。ビジネスモデルなんて何もなかった。"2ヵ月前に倒れたけど、ちゃん生きてます"ということをまわりに知らせている、といった程度(笑)。 でも、半年かけた後に、やりたいことをがピシッと決まりました。それが世界の問題を解決すること。だけど、自分は医者でもないし建築家でもないから、そういった方向からのアプローチはできない。 だったら、実際に支援活動を行っているNGOやNPOの力になったらどうだろうと。IT、インターネットという強みを持っていたので、そこを徹底的に活かそうと考えました。NGOやNPOにお金が流れる仕組みが作れないかと模索したわけです。
ついにまっすぐに歩きはじめた、という感じですね。
「イーココロ!」を作ってからは、5年間迷いなくやってきたし、これからも続けていきます。いまやっていることに強い使命感はいまでも感じていますし、一生かけてやるべき事業だと思っているんですよね。
●世界の問題には、誰でも関係がある
●問題に対して、何もしない自分が許せない
●半年かけて、やりたいことをビシッと決めた
いまでこそ注目を集めている「イーココロ!」ですが、やはり普及までには大変な苦労があった模様。
「出会い系みたいなロゴマークですね」と言われたり(笑)
「募金詐欺ですか?」とストレートに尋ねられたり……。
次回の最終回では、「イーココロ!」をはじめとするユナイテッドピープルのビジネスモデルや、起業家に大切な心構えについてお話をうかがいます。
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Wrote 2009.03.17 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>