vol.134 ティモシー・マー
シニアシチズン・ホームセフティー・アソシエーション事務局長 URL:http://www.schsa.org.hk/
「長者安居服務協会」は香港の独居老人を対象にした、24時間の緊急時連絡・救助サービス等、社会福祉サービスを提供、人口620万人の香港において、現在6万人を超える高齢者に利用されている。32年以上にわたり、社会福祉サービス業に身を置き、2007年には香港で最も成功している社会的企業賞を香港政府から、2009年にはスイス・シュワブ財団のソーシャル・アントレプレナー・アワードアジア2009を、それぞれ受賞したほか、ハーバードビジネス・スクールなどからの奨学金も受けている。現在は、香港政府の社会福祉諮問委員会等、官民多くの団体の理事や顧問を務めるほか、香港社会起業家フォーラムの共同創設者としても知られている。
10年1月16日(土)、第10回ISL社会イノベーター・フォーラムにおいて、香港の社会起業家ティモシー・マー氏が講演を行なった。 同氏は、香港の独居老人を対象にした、24時間の緊急時連絡・救助サービス等、社会福祉サービスを提供する「長者安居服務協会」を設立。人口700万人の香港において、現在6万人を超える高齢者に利用されている。社会的な活動趣旨から出発し、100%独自資金で運営されている香港初の社会的企業として注目されている。 当日はシニア層から学生まで幅広い人たちが参加していた。
まずはマー氏の生い立ちから事業を始めるまでのきっかけまでの話が・・・
幼い頃は体が弱く、4歳まで立つことができなかったというマー氏は、ノルウェーから来ていたという看護婦の姿に感銘を受け、これをきっかけにして介護に進んだという。大学生になろうとするも、受験に失敗。大学職員を経て、事務職員としてYMCAに参画する。
海外経験で得られた座右の銘
1989年ワールドビジョン香港に参画し、海外での活動も経験。ルワンダの内戦では、滑走路からターミナルまで走るようなこともあった。海外経験で得た座右の銘が、「人生は限られている。そしてそれを有効に活用することが必要」とということ。
起業の原点となった1996年の悲劇
現在の事業を始めるきっかけになったのが、1996年香港を襲った長期にわたる寒波。150人以上の高齢者が独居死、高層住宅群が多い香港で、緊急時に助けを求める仕組みの構築が未整備だった。150人の死者が出たことはショックで、香港は繁栄しているにもかかわらず、なぜ高齢者に対するケアは薄いのか?こうした状況を打破するために、24時間ケアの団体を立ち上げた。それがマー氏40歳の時。
40歳での起業
マー氏が起業を決断、妻にその旨を告白。驚かれたものの、サポートしてくれたとのこと。お金のことも何もわからない状態、安定収入なし、不確かな未来 どのような仕事になるかもわからなかったが、マー氏はリスクを取ることを決めた。
社会的企業の2つの追求
香港における社会的企業の歴史は、80年代中ごろの失業問題の解決に始まるとされ、90年代には自律型NGOが誕生、2000年には不況が社会的企業の呼び水となった。問題解決という社会的意義の追求と、持続可能であるために、利益を上げ、最大化し、ビジネスを追求するかが、社会的企業の意義とされている。
NGOプロジェクトの問題点
2009年12月現在で香港のNGO運営の社会的企業促進プロジェクトは330以上。うち、2年以上事業として持続可能に成立するのは10%以下。問題点として挙げられるのは、価格設定や戦略のなさ、社会的企業・文化・資質の欠如からくる起業家的でない点や、供給と需要がどんぶり勘定で、下手なマーケティングから来る市場のないところでの事業展開である点。多くがソーシャルワーカーとして働いたため、起業でうまく行かなかったとした。マー氏は自身が成功した理由について、「自分がバカ者で、普通のソーシャルワーカーではなかったから」だとした。
「事業をするなら一番になる!」
マー氏は、起業をやりたい人は多いが、「事業をするなら、市場で一番になる!」と言える人が少ないと、社会的企業で起業する側の問題点を指摘する。ビジネスのドレスコードを知らなかったり、ネットワークやリソースの不足など、経営者としての経験不足も問題点に挙げた。
人生が変わる3つの質問
マー氏は事業を継続的に運営していくためとして、「人生が変わる3つの質問」を問うている。1.「あなたはコミュニティ・社会世界に対してどのような変化を起こすのか?」2.「あなたがビジネスに失敗したとして、誰が一番影響を受け、最終的な敗者となるか?」3.「ビジネスが終わったあとどう説明するか?」―。1は、自身の価値観を問う、2.はターゲットが誰かを明確にし、それが彼らにとっていかに重要であるかを示す、3.はビジネスに対するあなたの質の追求、情報、利害関係者との関係を示す―とのこと。
マー氏からのアドバイス
マー氏はこれから起業する人たちに向けて、次の点をアドバイスとして結んだ。変化への心理的な準備▽訓練されていないといけない▽社会起業家からビジネス手法を学ぶ▽社会起業家としての心構えを持つ▽起業に向けた資金的な備え―
「人生は限られている。そしてそれを有効に活用することが必要」
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Wrote 2010.02.11 << 前のインタービュー |