vol.019 水谷 孝次 / Mizutani Koji

水谷事務所代表  URL:http://www.merryproject.com/

1951年3月
名古屋市で生まれる。
1977年
日本デザインセンター
入社。
1982年
東京ADC賞(東京アートディレクターズクラブ)ポスター公告電通賞
1983年
水谷事務所設立。
2000年1月
ラフォーレミュージアム原宿とラフォーレ原宿館内を会場にした写真&ポスター展「Merry at Laforet 2000」を開催。
2001年4月
日英同盟結成100年にあたるこの年、ロンドンのセルフリッジ百貨店で行われた「Merry Tokyo Life」のメイン企画に抜擢される。
2001年9月
阪神大震災から6年。震災時に寄せられた支援に対する感謝の気持ちを、笑顔で発信する「Merry in KOBE 2001」を開催。
2003年2月
9.11から1年後のニューヨークでMerryを撮影。六本木とニューヨークをつなぐインスタレーションが開催された。
2005年3月
愛・地球博にて「MERRY EXPO」開催。 【水谷事務所】http://www.mizutanistudio.com/                    

こんにちは!テトルの本村拓人です!! 今号から5回にわたって、アートディレクターの水谷孝次さんにご登場いただきます!

水谷さんが1999年からスタートさせた、笑顔と笑顔を繋ぐのコミュニケーション「Merry Project」。 出会う人たちに「あなたにとってのMerry(楽しいこと幸せなこと)とは何ですか?」と質問して、最高の笑顔を写真に収めていくこのプロジェクトは、ラフォーレ原宿でスタートして、2008年にはついに北京オリンピックの会場にまで広がりました。

「僕はなんのためにグラフィックデザインをやり、そしてなんのために生きているのか。」これを問い続けた結果、水谷さんがたどり着いた「Merry Project」。その暖かなぬくもりは、まさしく笑顔が笑顔を運ぶ連鎖で、どんどんふくらんでいます。

第一回目の今号は、産声を上げた「Merry Project」が、どのように広がっていったのかを伺います!!!

旅先のバスの中で出会った女の子たち

「Merry Project」は、ラフォーレでのイベントからスタートしたそうですね

まず、経緯としてはね、ある仕事で海外ロケに行ったとき、旅先のバスの中で女の子たちの写真を撮ったんです。日本に帰ってから、その写真をある会社の会社案内に使ったらすごく好評で。とんとん拍子でその時に撮った一連の写真をINFASから写真集として出版することになったんですね。

その写真集のタイトルが『Merry』だったんですよ。 最初から笑顔を撮影していたわけではなかったんですね

そうなんです。それで、写真集の笑顔がとってもいいものだから、展示会でもできないかなと思ってラフォーレに持って行ったんですよ。そしたらラフォーレの方が「21世紀はやっぱり笑顔ですかね」って言ってくれて、ミュージアムで展覧会をやろうということになったわけです。

「Merry at Laforet 2000」ですね

はい。原宿で出会った女の子たちに「あたなにとってMerry(楽しいこと幸せなこと)って何ですか?」って尋ねて、彼女たちの笑顔の写真とメッセージでポスターを作ったんです。さらに、会場に来てくれた女の子の写真を撮り、その場で出力してそれもポスターにしていきました。Merryとは何かというと、笑顔のコミュニケーションのことなんですね。

ひとりひとりの作品を作るという試み

その場でポスターを作るというのは、おもしろい試みですね!

実は当時、僕は日本で一番と言っていいくらい印刷にこだわるグラフィックデザイナーだったんです。ひとつのポスターを作るのに1ヵ月くらいかけて、お金もいっぱいかけて作ってた。その人がその場でポスターを出力するということが面白かったのか、エプソンさんがすごく協力してくれましたね。

ポスター蒐集家の松本ルキさんは「Merry at Laforet 2000」を見て「有名人のポスターをマスに向けて作るのではなく、その場でひとりひとりの作品を作っていくという考え方が、とてもすばらしい。」と言ってくれました。

「Merry at Laforet 2000」の被写体はすべて女の子で服装まで捉えていますね

そうですね。ずっとファッションをやってきたから、女の子を撮ることが得意だったし、テーマもそこから入ってるんですよ。どんどん笑顔そのものに寄っていくことになるんですけどね。

ずっと、こういうことがやりたかったんだ

ここから継続的に展覧会が開かれるようになったわけですね

ラフォーレの展覧会を観てくれたロンドンのテートモダンギャラリーの人が興味を持ってくれてね。日英同盟締結100周年の記念イベントとして 2001年に、ロンドンのセルブリッジ百貨店で開催された「Tokyo Life」のメイン企画に「Merry Project」を呼んでくれたの。世界的にも有名なグラフィックグループのTOMATOも参加してくれてね。NHKでTOMATOが紹介されるときは、たいていこの「Merry-London Life」の映像が使われているんですよ。

それから震災のあった神戸にMerryを探しに行ったら、神戸市から展示の依頼を受けて開催することになり、そうこうしているうちに不況に苦しむ東京でもやり、そして愛知万博と繋がっていくんです。

あっという間に世界的なものになっていったんですね。

でも、『Merry』を出版する前から撮り溜めていた写真が20年分くらいあるんだけど、それを見てみるとね、すごくMerryな写真が多いのです。中国に行っても、ロンドンに行っても、笑顔をたくさん撮ってるんですよね。それを観ると、ずっとこういうことがやりたかったんだなぁって、思ったんですよ。

Word of power

●あたなにとってMerryとは何ですか?
●震災のあった神戸にMerryを探しに行った
●ずっと、こういうことがやりたかった

若くしてグラフィックデザイナーとして成功し、国内外のさまざまなデザイン賞を受賞した水谷さん。大学では電子工学を学び、また音楽活動ではレコードまで発売していましたが、それらをすっぱりと捨て去り、デザインの道を選びます。なぜ、彼が選んだのはデザインだったのか。次号は、“アートディレクター水谷”の誕生までを伺います。

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