vol.018 安藤哲也 / Ando Tetsuya

Fathering Japanファザーリング・ジャパン代表理事  URL:http://www.fathering.jp/index.html

1962年
東京・池袋生まれ。現在45歳。10歳(女)7歳(男)0歳(男)の父親。
1985年
明治大学卒業後出版社の有紀書房に入社。書店営業で全国の書店を歩く。
1986年
リットーミュージック入社。音楽雑誌・楽譜等の販売に従事。
1988年
UPU入社。雑誌「エスクァイア日本版」「i-D JAPAN」の販売・宣伝担当。
1994年
書店員に鞍替え。大塚・田村書店の3代目店長に。
1996年
東京・千駄木の往来堂書店をプロデュース。初代店長を務める。
2000年
オンライン書店bk1へ移籍。02年まで店長。
その後、糸井重里事務所を経て、03年NTTドコモの電子書籍事業へ参画。
2004年
楽天ブックスの店長に就任。その後、クロスメディア事業に従事(07年10月退社)。
2007年
11月より、絵本ナビ取締役(非常勤)を務める。

2006年
11月、会社員として仕事をする傍ら、父親の子育て支援・自立支援事業を展開するNPO法人ファザーリング・ジャパンを立ち上げ、代表に選出・就任。 ※FJ組織&スタッフ紹介はこちら 地域活動では、娘と息子の通う小学校のPTA会長を務めるほか、2003年よりパパ’s絵本プロジェクトのメンバーとして全国の書店・図書館・保育園・自治体等にて「パパの出張 絵本おはなし会」を開催中。

詳しくは↓ 

【FatheringJapan活動日記】
http://ando-papa.seesaa.net/

こんにちは!テトルの本村拓人です!! 全4回でお届けしておりますファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表のインタビュー。今号でいよいよ最終回です! 安藤哲也さんという力強いパフォーマンスができるリーダーのもと、"ファザーリング=父親を楽しもう!"というシンプルなメッセージを発信するファザーリング・ジャパン。人生を楽しみ、社会への責任を果たすための啓蒙活動は、この先、どんな展開を迎えるのでしょうか。 最終回となる今回は"楽しむことにもっと意識的になろう!"という安藤さんからのメッセージを掲載しています。 「仕事ばかりで家庭をかえりみず、人生を楽しまないのはなぜなんだ?」と語る安藤さんの表情は、ニコニコとしてはいますが、いくぶんイラ立ちも含まれているようで......。 よりよい社会を目指して、 楽しく、そして真っ直ぐに活動するファザーリング・ジャパンからのメッセージを受け取ってください!

NPOにお金がまわる仕組み作りにも関心がある

ファザーリング・ジャパンの代表でありつつ、地域では小学校のPTA会長も務めるなど、安藤さんの動きは事業にとらわれていません。でも収益は、どのようにあげていらっしゃるのでしょうか?

僕は経営があまりうまくないんですよ(笑)。だからドンブリ勘定です。別にファザーリング・ジャパンで儲けようと思ってやっているわけでもないし、いまはそれなりに食べていければいいかなと思っているだけです。

講演を行えば謝礼があり、企業のコンサルティングでも収益がありますよね。

はい、そうです。それ以外の収入では会員のみなさんからいただく会費があります。寄付はあまり集まっていません。

海外の場合、NPOやNGOに寄付をすると税金が安くなるという制度などがあり、NPOの財政基盤がしっかりしているけれど、日本は法律がまだまだで、その辺りが社会事業がブレイクしないボトルネックなのでしょう。

だから日本のNPOは、国や自治体の助成金に依存しているところが多い。でもFJ(ファザーリング・ジャパン)はそれだけでなく、あえて独自事業を仕掛けて、その収益で賄えるようにしていきたい。

僕はそこにも変革を起こしたいと思っています。社会にいいことをしている団体にちゃんとお金がまわり、活動がより発展し社会が変わる。そして従事する人がちゃんと食べられて、誇りを持って仕事をする。そういう良い循環を作りたいなって思っているんですよ。BtoBのコンテンツビジネスは当たれば収益性も高いし、一般への訴求力も高い。だから重要な事業として位置づけてるのです。

もっとも重要なのは、魅力的なコンテンツを提供していくことだということですね。

いくら素晴らしいことをしているNPOでも理念だけでは届かないですからね。質の高い、多くの人が共感して利用してくれるサービスや商品を提供しなければいけない、という意味では、NPOも株式会社と変わらないですよ。それに僕は理想主義者は、カッコ悪いと思ってる。評論家である前に、実践家・実業家でいようと常に思ってます。

楽しいと感じることに、もっと自覚的になろう!

魅力的なコンテンツのキーワードは"楽しい"であり"カッコイイ"という感じなのでしょうか。

そうですね。僕の人生のモットーでもありますからね。大人が一人でしかめっ面して生きていく分には、僕はなんとも思いません。でも子どもがいる人は、しかめっ面のお父さんより、笑顔のカッコイイお父さんのほうが子どもにとってもいいでしょうしね。

自分の楽しみを仕事に変換しているところがすばらしいですね。

そうは考えてないし、そういうのって意識的にやって、できるものではないと思うな。直感的に楽しいかつまらないか。あるいはカッコイイかみっともないか。

みなさんよく「お仕事も忙しいのにいろいろなことされて大変ですネ」って同じようなことをおっしゃるんですが、僕に言わせれば、仕事もPTAもNPOも同じだと思うんですよね。なぜ、みんな仕事仕事って意識するんだろう?お金が稼げるから?ワーク・ライフバランスも、なぜワークが先なんだろう?僕には腑に落ちませんね。 

仕事なんて、人生を構成する一部に過ぎませんよ。キャリアの概念が変わってきているのに、それに気がついていない人がすごく多いよね。キャリアっていうと転職を繰り返して、資格を取って、MBAを取って、最後は起業みたいに思っている人がいるけど、僕はそうは思わない。

自分の人生を構成する要素って仕事以外にも実はもっといろいろあって、子育てにしても地域活動にしても、やらないよりやってみたほうが人生は間違いなく豊かになりますよ。

それにみなさんがキャリアだと思っている仕事で成功すれば金や名誉はもれなくついてくるかもしれないけど、ヒューマンな豊かさが欠けている場合が多い。だから仕事だけしていてもなんかハッピー感がない。会社イコール人生なんて、つまらないと思わないのかな?

第一、会社は死ぬまで面倒みてくれないし。こんな不確定な時代のなかで大事なのは、やっぱり家族の絆や信頼できる友達、あるいは自分が住む地域の人たちとのふれあいでしょう?僕はもちろん仕事も好きだけど、そこだけで生きることはとてもリスキ―だと考える。

自分の知らない世界をもっと知りたい。そしてそこが面白そうだったら、自分の力で泳いで行きたいって思う。NPO作って安定志向の人からは「会社辞めるなんて、よく奮切ったね」と言われるけど、収入が減ることだけを恐れて会社にしがみつく人生のどこが面白いの?と逆に聞きたい。リスクを取らないことが人生にとっていかにリスキーかを教えてあげたいですね。

安藤さんのお話を聞いていると、もっと楽しいことを探さなくては、と思いますね。

探すって感覚さえ僕にはないですよ。直感的に見て、これやったらおもしろそうってことしかやらないです。それに「楽しむ」ことは人に言われてやることじゃない。

結婚披露宴なんかでよく「みなさん、ご歓談ください」なんてアナウンスがあるでしょ?言われて歓談するあのしらじらしさはなんなんでしょうね(笑)

楽しむのは個人的な発露。楽しいってことは、その人自身の心が震えなければ絶対に楽しくない。楽しくなければ表現できないのが本当の笑顔です。そのお父さんの笑顔を家族は待ってるんじゃないかな?だから、あなた自身が楽しいって感じることを、もっと自覚して、堂々とやればいいじゃないかって思うわけですよ。

楽しくない仕事、クズな上司がいる職場になんて行く必要ないでしょう?なんで行くわけ?家族を守るため?

いや、それって家族を守ることになってないと僕は思うな。すごい辛そうな顔して通勤するお父さんを見たら、きっと子どもたちは未来に希望が持てずに、社会に出ることを怖がるようになりますよ。子どもを自立させたいなら、まずは父親が変わらなきゃ。

それは返す言葉がなくなりますね。

FJ(ファザーリング・ジャパン)のセミナーでファザーリングにまだ目覚めてないパパたちに「住宅ローンを返すために、あなた生きてるわけじゃないよね?子どもの教育費を稼ぐためだけにがんばって残業してるわけじゃないよね?そんなパパの姿、子どもは望んでないよ。」って言うと、泣きそうな顔になって誰も返せない。

「そうだよなあ」って思ってる。で、僕からすれば余計なお世話なんだけど「どうすんの?」って。そうすると「僕は僕なりにがんばってやってるんです!」って、訴えかけてくるお父さんがいます。でも僕は言う。「直接、利害関係のない僕に言い訳してもしょうがないでしょ?現状をなんとかしたいと思うなら家族や上司、奥さんと話し合えば?」と。隣で奥さんが笑ってる。あの光景はおもしろいですね(笑)

免罪符をくれ、と安藤さんに求めてくるわけですね?

そう。「キミはよくやっているね。」って、言ってほしいわけ。奥さんの前で言ってくれ、みたいな。 そういう場合は「カイシャの成果主義を家庭にまで持ち込むなんて、カッコ悪いね。」って言ってあげるんだ。

"会社"という言葉は、ひっくり返せば"社会"になる

これから社会に出る若い人たちは、仕事に対してどのような考えを持つべきだとお考えですか?

"社会を変えるんだ!"って、若いうちから信念持っちゃうと逆にアブナイかな。最初は会社員になって、とことん金儲けやってみるのも手だよね。そうすれば早くにそのくだらなさに気づくかもしれないし。

"会社"という言葉は、ひっくり返せば"社会"になる。会社は社会の中にあるわけだし、社会的な存在なわけだから、若い時期はそこで自分がやれることをやればいいんじゃないかな。社会で働いていれば、自分の中で問題や課題も生まれてくるだろうし。それに気づいたら、そこから逃げずに、失敗を恐れずにできることをやればいいと思う。それが成長だし、そこからしか自立はないんだよね。

安藤さん並びに、ファザーリング・ジャパンの今後の展望をお聞かせください。

ホームページに記載されている事業を粛々と、楽しく進めていきます。FJ(ファザーリング・ジャパン)は映画「オーシャンズ」のようなチームでいたいね。僕個人もしばらくはやってると思うけど飽きっぽい性格なので、途中で別の楽しいことを思いついたらそっちをやっちゃうかも(笑)

ファザーリング・ジャパンの活動を通じて、社会の変化は感じていますか?

子育て世代の若いお父さんたちの意識は確実に変わってきていると思いますよ。セミナーの人数は増えてきてるし、いい流れだけど、「笑う父親が日本中に溢れる」というFJ(ファザーリング・ジャパン)のミッションが達成できるのは、まだまだですよ。

抵抗勢力は結構手強いですしね。大きな阻害要因になっているのは、古いOSの父親本人や家族ないし企業の価値観なので、まずはそれをどこまで替えることができるのか、自覚してもらうことができるのかです。まぁ、父親であること楽しめるかどうかは最終的には本人次第ですが、FJ(ファザーリング・ジャパン)ではやる気を持った父親たちをこれからも叱咤激励しながら支援していきたいし、周囲の人も「社会がよくなる」という視点で、笑顔のパパを温かく見守ってあげて欲しいですね。

Word of power

●人が集まるコンテンツ作りをしなければいけない
●仕事なんて、人生を構成する一部に過ぎない
●失敗を恐れない挑戦から、成長と自立ははじまる

安藤哲也氏のインタビューは以上で終了です。

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