vol.023 水谷 孝次 / Mizutani Koji
水谷事務所代表 URL:http://www.merryproject.com/
1951年3月
名古屋市で生まれる。
1977年
日本デザインセンター
入社。
1982年
東京ADC賞(東京アートディレクターズクラブ)ポスター公告電通賞
1983年
水谷事務所設立。
2000年1月
ラフォーレミュージアム原宿とラフォーレ原宿館内を会場にした写真&ポスター展「Merry at Laforet 2000」を開催。
2001年4月
日英同盟結成100年にあたるこの年、ロンドンのセルフリッジ百貨店で行われた「Merry Tokyo Life」のメイン企画に抜擢される。
2001年9月
阪神大震災から6年。震災時に寄せられた支援に対する感謝の気持ちを、笑顔で発信する「Merry in KOBE 2001」を開催。
2003年2月
9.11から1年後のニューヨークでMerryを撮影。六本木とニューヨークをつなぐインスタレーションが開催された。
2005年3月
愛・地球博にて
「MERRY EXPO」開催。
こんにちは!テトルの本村拓人です!! 全5回でお届けする水谷孝次さんのインタビュー。 今号はいよいよ、最終回です! 「Merry Project」をスタートさせてから10年。原宿からはじまった展覧会は、日本の各地に広がり、世界的な展開も見せました。笑顔のコミュニケーション。そのコンセプトは誰にも否定できるようなものではありません。
きっとこれからも「Merry Project」は広がり続けると思います。水谷さんは「人類67億人をMerryで包みたいんです。」と語りました。その言葉は決して大げさなものではありません。事実、北京オリンピックの開会式にもMerryがお目見え。
「ブッシュ大統領と、オサマ・ビンラディン氏が今ここにいたら、僕はMerryの力で仲直りさせる自信があるんだよ。」
そう、水谷さんはいつだって本気です。
最終回となる今号では、水谷さんにとって、グラフィックデザインとはいったい何なのかを、尋ねてみました。
才能や感性じゃなくて、大切なのは気持ちなんだ
水谷さんが、グラフィックを作るうえで大切にしていることはなんですか?
やっぱり、大学生のときに音楽を通じて知ったことですよね。気持ちを込めるということ。才能とか感性は、五の次、六の次です。1にも2にも、3にも4にも気持ち。僕がこれが確認したくてデザインをやってきたようなものだけど正しかったって思うのですよ。
「Merry Project」10年やってきたなかで感じた、社会の変化のようなものはありますか?
笑顔や幸福をテーマにしたものがすごく増えてきているように思います。僕がMerryをやりはじめた頃は、そういうのってあんまりなかったんですよね。どちらかと言えば、死とか、暗いことがテーマになっていた。そっちをテーマにするほうが、アートでもデザインでも非常に楽というか、とんがったものにしやすいんですよね。
Merryは"生"をテーマにしているでしょ?暖かいものを題材にしていた僕は、ちょっと変わり者だと思われていました。でも、そういう意味では現代のこの流れに貢献した部分はあるんじゃないかなって思っている。うん、Merryなコンセプトのものって増えましたよね。
共産圏の国は信頼できないとか、小さいね
「Merry Project」の今後の展開についてお聞かせください
北京オリンピックの開会式でMerryをやることになったんですよ(※この取材は2008年7月某日に行われました)。北京オリンピックのスローガンが「ひとつの世界、ひとつの夢」というものでね。 笑顔のコミュニケーションをテーマにした「MerryProject」に通じるところがあると思ったから、Merryをやりませんかと提案したのです。そしたら、総合演出を手がけるチャン・イーモウ監督がこのMerryをすごく気に入ってくれてね。ぜひやろう、と言ってくれました。
ついにオリンピックにまでMerryが広がったんですね!
チャン・イーモウ監督の部屋には、Merryの写真が飾ってあるらしいよ。開会式で千何百点もの笑顔を使うらしい。いったいどんな演出になるかは僕も知らされていないのです。中国へ行って彼と打ち合わせもしたけれど、共産圏だし、開会前だしね。すべてはオープンにならない。中国と一緒にやるということに、いろいろ反対意見もあったのですよ。向こうのスタッフの中にも反対する人はいたし、僕のまわりにもたくさんいました。
それでも実現したのは、どうしてですか?
チャン・イーモウ監督が強くプッシュしてくれたというのはありますよね。それに僕もやりたかったから。なんか、そういうことにこだわるのって、小さいと思うんですよ。
世界を笑顔であふれさせたい、幸福であふれさせたいと思っているのに、やれ中国は信用ならないとか、そういうのは小さいですよね。 それから、北京オリンピックに併せて僕は六本木ヒルズをMerryでいっぱいにするプロジェクト「Merry Garden!」を進めています。オリンピックとつないで、素晴らしいものにしたいです!
地球という紙を、宇宙という紙をデザインする
それにしても「MerryProject」の写真には、本当に素敵な笑顔がたくさんありますね
「こんな自然な笑顔をどうやって撮ったんですか?」っていうのは、よく聞かれる質問なんですよね。カメラマンの人からもね。みんなピュアでしょう。あまり答えにはなっていないかもしれないけれど、それは僕のキャラクターなんじゃないかなって思っています。僕も最高にMerryな気持ちだから、それが彼らにこんな笑顔をさせるんじゃないかなって。
Merryの撮影は、どのようにして行っているのですか?
撮影する日は、身を清めて、まず自分がピュアできれいな状態になるようにしています。笑顔を伝えれば、笑顔が返ってきます。5の笑顔を見せれば、5の笑顔が。10の笑顔を見せれば、10の笑顔がね。まるで鏡のようなものなんですよ。人と人がコミュニケーションするって、そういうことなんです。
「MerryProject」の最終的な目標はどのようなことなのですか?
3歳のときに思ったいい社会を作りたいってことだよね。人類67億人を、どうやって幸せにするかってことを考えています。さっきの北京オリンピックの話もそうだけど、そのためには小さなことにはこだわらない。
僕はずっとポスターのデザインをしてきて、それなりに大切なフィールドだと思っていたんだけど、もっと大きく考えてもいいんじゃないかって気づきました。紙になんかこだわる必要ないんだよ。いい社会を作りたいんだから、社会という紙をデザインすればいいんだよ。地球という紙を、宇宙という紙をデザインしていかなきゃね。
水谷さんにとって、デザインとはなんですか?
たくさんの人を幸せにするツール。人の幸福を描くことこそ、デザインの本質です。そしてグラフィックデザインには、人々の幸福を実現してしまう力が、本当にあるんです!
●1にも2にも、3にも4にも気持ち
●社会という紙をデザインすればいい
●人々の幸福を実現してしまう力が本当にあるんだよ
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Wrote 2009.01.13 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>