vol.035 波房 克典
日本ロマンチスト協会事務局長 URL:http://japan-romance.com/
1973年生まれ。静岡県出身。帝京大学卒業後、2年間のアルバイト期間を経て、成城大学の大学院に入学。卒業後、ワーキングホリデーを利用して、カナダのバンクーバーにあるニジマスの養殖場に1年間勤務する。帰国してからは、編集プロダクションや財団法人日本環境協会などに身を置き、2005年、広告会社でのキャリアを派遣社員からスタートさせる。現在は社員となり、ソーシャルコミュニケーションプランナーとして活躍。2008年5月、日本ロマンチスト協会を設立。事務局長に就任した。
こんにちは! Cause Projectの井上晶夫です!! 全4回にわたってお届けする「日本ロマンチスト協会」の波房克典さんインタビュー。今号は3回目の記事です。 みなさんは、広告会社と聞いて、どのような仕事を想像しますか? さまざまなメディアやコンテンツを仕掛ける広告会社の存在は、いろんなところで見聞きするものの、仕事の進め方や考え方は、あまりはっきりとはわからないのではないでしょうか? 今号は、波房さんに、広告会社の仕事についてお話を伺いました。便利になった社会からは、ニーズが失われ、豊かになりウォンツさえ見つけることが困難です。そのような時代のなかで、広告会社もその存在価値が変わってきているみたいです。 細かいところまで押さえたわけではありませんが、波房さんのお話から、"広告業界のこれから"、が見えてくると思います。
広告会社の仕事は、わかるようでいまひとつ理解できていないと思います。具体的に、どのようなお仕事をなさっているのか、お伺いできますでしょうか。
広告会社を業種業態で考えると、広告の媒体枠を買い付けて、そこに広告を打っていくというイメージがあると思います。僕も入社する前は、そのくらいのイメージだったのですが、その認識は間違っていたと思うようになりました。広告を打てばその広告を見た消費者が動く、というのはひと昔前の考え方なんですね。 消費者をM1層やM2層などとカテゴライズしていることは、テレビなどからの情報でご存じだとは思いますが、本当に意味があるのかが疑問視されるようになったんです。
それはどうしてなんですか?
ひとつ大きな要因は、CGMが登場したことです。インターネットの掲示板やブログが出てきたことで、消費者の声が顕在化することになったんですね。すると、メディアや広告制作側が、「こういうことの好きな人はごく少数」と捉えていたことが、実はかなりたくさんの人に支持されている、というような事実がわかってきました。そうなると、マジョリティを想定して広告を打っていくより、消費者の声を拾い上げて、それを顕在化していくほうがメディアとして正しいあり方と認識されるようになったんです。 以前、編集プロダクションにいたときは、世間に対して「こういうものが流行りますよ」という情報を流していました。メディアは流行を作り出す存在だと捉えられていたんですね。しかし、発信型のコミュニケーション手法はすでに崩壊しているんです。
なるほど。よくわかります。
そのうえで僕は現在務めている会社を、広告を買い付ける会社ではなく、コミュニケーション総合プロデュース会社だと捉えているんです。
コミュニケーション総合プロデュース会社とは、どういうことなのでしょうか?
さきほどお話したとおり、発信型のコミュニケーションは破綻しています。それより、いかに消費者の声を顕著化できるかが重要になってきたわけです。そうなると、広告マンとして重要なことは、消費者がいったい何に注目しているかを発見できる、目利きの部分になるわけです。 現在、広告マンに求められている能力は3つあると僕は思っています。ひとつはメディアコミュニケーション能力。ひとつはブランディング能力。そしてもうひとつが、コンテンツプロデュース力です。
それぞれについて、簡単にご説明いただいてもよろしいですか?
はい。まず、メディアコミュニケーション能力とは、どこから消費者の声を拾い、どのようなことを行えば話題が大きくなるか、要するにバイラルなコミュニケーションを作るために何をすればいいかを理解することです。ブランドディング能力とは、特定の商品や企業がどのような戦略を持ってイメージを組み立てれば、それが消費者に受け入れられるかを考える能力ということですね。そして、コンテンツプロデュース能力とは、メディアコミュニケーション能力とブランディング能力を使って、いかに効果的なコンテンツが作れるかということ。それら三つの力を使ってコミュニケーションしていくことが大切なんですよ。
具体的な例を教えていただいてもよろしいですか?
たとえば、アラウンドサーティと呼ばれる層がいますよね。そこに向けて何かのブームを仕掛けていくんじゃなくて、まずは声を拾い上げて、求められているものを発見することが大事なんです。そのうえで、最適な商品を持っている企業や、イメージ的に合う企業と組んで効果的なコンテンツを作っていくわけです。このほうが流行を仕掛けようとするよりもリアリティがありますよね。
ほかに、波房さんがお仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
自分のなかに、"なんのために仕事をするのか"という大義を持つことです。その価値軸がぶれてしまうと、単純に仕事が楽しくなくなるんですよ。また、クライアントに意見することも難しくなります。たとえば、官公庁がクライアントだったとしますね。本来的に、官公庁の業務は、公益に資することであるべきです。仮に、担当者と僕の意見に食い違いがでてしまったときに、「まあ、しょうがないや」と流してしまいそうになることでも、大義をもって臨めば、極論ではありますが、「それって税金の使い方としてどうなんでしょうか」と議論できるようになるわけです。
しかし、クライアントと議論するのは、なかなか勇気がいることだと思うのですが。
発信型のコンテンツを作っていると、ね。でも、消費者の声などからコンテンツを作るボトムアップ形式なら、逆に議論しやすいんですよ。"たくさんの人が、すでにこのような意志を持っていますよ"、という前提のもと、提案ができるわけなので。"こうしてみてはどうですか?"や"こうやってください"というように、お願いしなくて済むんです。
なるほど。議論するといっても、反発するわけではなく、箴言になると。
クライアントはクライアントではあるのですが、ビジネスパートナーとして捉えたいんですよ。同じ価値軸に向かって、一緒に仕事をするんだというスタンス。ここを壊したくないんです。
●発信型は、すでに崩壊している
●リアリティがあるコンテンツを!
●クライアントは、ビジネスパートナーなんだ
波房さんのお話のなかには、“幸せな働き方”のヒントがちらほら。“大義を持って仕事をする”は、ぜひ実践したい考え方です。さて次号は、いよいよ最終回。波房さんがこれまでに手がけてこられた仕事や、日本ロマンチスト協会の未来についてなど、お伺いしました。
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Wrote 2009.09.04 << 前のインタービュー | 次のインタービュー >>