vol.011 藤井 秀一

道州制.com代表  URL:http://www.doshusei.com/

東京電機大学工学部を卒業した後、メーカーに勤務。経営コンサルタントや経済評論家として知られる大前研一氏が立ち上げた一新塾へ、1997年、3期生として入塾する。2002年3月に、ウェブサイト道州制.com(http://www.doshusei.com/)を立ち上げ、中央集権から地方分権、そして市民主権への移行を唱える団体・道州制.comの活動を本格的にスタートさせる。

プロローグ

明治維新以降、日本の行政は欧米諸国に追いつくために地方分権を制限して、中央集権的な仕組みを作り上げてきた。国という巨大な単位で産業構造を開発し、国力を上げることに力を注いだのだ。敗戦下の復興期や高度経済成長期に、この中央集権体制は効果的に作用した。日本は経済大国として世界にその名を轟かせ、国民の生活レベルは敗戦時から奇跡的な向上を遂げた。  しかし、果てしない発展を前提とする資本主義自体がかげりを見せはじめると、やがて1990年代のバブル崩壊や、2000年代の世界金融破綻を招き、いまではそのシステム自体の限界説が唱えられるようになった。中央集権的な仕組みも100年以上も前に考えられたもの。果たして現状にもっとも有効なシステムであるかは、疑問が残るところだ──。

自分たちの地域のことは、自分たちで決めよう

藤井秀一さんが代表を務める道州制.comは、中央集権から地方分権へのシステム変換を提唱している団体だ。「道州制とは、現在の都道府県制度を廃止して、いくつかの都道府県を統合した面積を持つ広域行政体を作ることを言います。たとえば、関西圏などをひとまとまりにして、それらを道州という単位でまとめていくという考え方です。道州制という考え方自体は、もう何十年も前から議論されていて、たとえば小泉元首相が推進した三位一体の改革も地方主権型の社会の実現を目指したものでした。結果的に地方自治体の裁量の幅を大きく広げることにはなりませんでしたが」。これは、市民に近い現場である市町村に、財源も権限もほとんど委譲されなかったからです。

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 現在議論が進む道州制には、3つの考え方があるのだそうです。「ひとつは、都道府県を合併して、広域行政権のみを与えるもの。もうひとつは、そこに財政運営のできる課税自主権を与えるもの。最後は、さらにそこへ立法権を加えたものです。道州制.comが主張しているのは、立法権まで含めた3つ目の道州制です。真の地方自治を考えるうえで、立法権を持つことが重要だと考えているんですね」。  なぜ、道州制が必要なのか。これについて藤井さんは、「日本はある程度の豊かさを手に入れて、その結果、個人の生活は多様化し、地域の多様化も生まれてきました。必要とされる行政サービスは、国が全国一律に決めるのではなく、生活者の身近にある地方自治体が決めるべきだと思うのです。国会議員も国民も税金の使い道にあまりにも無関心。他人のことはどうでもいいと考えるんじゃなくて、自分たちががんばったぶんだけ、自分たちがほしい文化や行政、環境が得られるようにすべきだと思うんですよ。そのためには、自分たちの地域のことは自分たちで決めるようにすべき」と語る。道州制こそが、誰もが積極的に政治に参加する仕組みであり、日本が活力を取り戻す起爆剤になると期待しているのだ。

ときに、喧嘩腰になるほど白熱した議論

藤井さんが道州制という考え方に出会ったきっかけは、いまから12年ほど前、26歳のときに一新塾へ入塾したことだ。「一新塾を立ち上げた大前研一さんの考え方に惹かれたんです。たとえば政治や経済について批判をする本はいくらでもあったのですが、じゃあどうすればいいのかという具体的な提案が書かれているものはあまり見あたりませんでした。ところが大前さんの本には、結論が書いてある。そこに興味があったんですよ」。  東京電機大学工学部を卒業した藤井さんはメーカーに就職。入社4年目で、仕事にはずいぶん慣れていたが、慣れれば慣れるほど刺激に飢えるにようになっていた。「営業マンとしていろいろな会社を訪問したのですが、世の中って広いようで狭いというか。決まった業界の人としか話せないことに、だんだん危機感が高まってきたんです。下手すれば、学生の頃より人間関係が狭まったような気がしてきて。一新塾に入塾したのは、そんな背景もありますね」。

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 一新塾の3期生として入塾した藤井さんだったが、講義に参加することはまれだった。「講義がつまらなかったわけではないですよ。単に仕事が終わるのが遅くてなかなか参加できなかったんですよ。その証拠に、授業が終わった後は、飲み屋に移動して議論の続きをやるんですが、こちらにはほとんど参加していたはずですよ。一新塾と変わらない熱気のある場で、僕らは"二新塾"と呼んでいたんですけどね(笑)。議論が白熱すると、ときに喧嘩腰になるくらい熱い場でした」。  そんな風にしてはじまった藤井さんと一新塾の関わり。3期生の同期である森嶋氏が事務局長に就任したこともあり、受講生としての期間が終わった後もボランティアとして参加するなど関係性は継続した。  そして2001年の終わりからは、再び受講生となる。それまでは、政治寄りの政策提言が多かった一新塾に、市民寄りの政策提言のコースが新たに設置され、今度はそこに参加することにしたのだ。そのときに藤井さんが偶然きっかけで、道州制のテーマに取り組む事になった。

日本は変えられると、いまは確信を持って言える

藤井さんが道州制に着目した理由は、勤務先のメーカーで、海外営業の担当になったことが大きな理由のひとつだという。「国内営業を5年ほどやった後、海外営業の担当になったんです。当然、海外に行くことも多くなったのですが、外国の人たちに接していると、日本が客観的に見えてくるということがあるんですね。戦中に日本が海外に対して行ったことは、確かに間違ったこともたくさんあったと思うのですが、すばらしいこともたくさんやってきたんですよ。アジアやアフリカの人から、いまの独立は日本のおかげだ、なんて話を聞くこともあります。実際、経済的な成長はすごかったわけだし、レベルの高い国だと思うんです。ところが、日本人はみんな自信がないんですね。借金だらけの国にいつの間にかなってしまっているし」。

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 そんな日本を変革するには、それぞれの現場で、自信を持った人が立ち上がる必要性がある、と藤井さんは感じた。「一新塾には有能な人がたくさんいるんですよ。政治家になったヤツもいれば、医者も弁護士もいる。もちろん、一新塾だけじゃなく日本中に優秀な人はいるんですよ。そんな連中が、"自分が日本を変えるんだ"と決意すれば、変えていけるんです。道州制.comを立ち上げたときは半信半疑だったけど、いまは確信として、それを感じています」。

Word of power

●その中で、道州制への興味が高まる
●お金を出し合う、ホームページ作成
●関心がサンバへ

藤井氏へのインタビュー第一号は以上です。

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