vol.018 酒井拓

生涯学習の場「虹の扉」運営  URL:http://www.rainbowdoor.net/

酒井 拓 1977・12・11A型
千葉生まれNYに通算9年過ごす 都内在住
慶応義塾大学卒業後、商社に勤務。
2001年社会人2年目より週末の活動を開始し、異業種交流会や勉強会、就職支援活動、チャリティコンサートなど各種イベントを企画・開催。
2007年から1年半NYに駐在となり、ゼロから日本人コミュニティを立ち上げ、マンハッタンを綺麗にするゴミ拾い「ゴミュニケーション」プロジェクトを運営。
帰国後の2009年から、ボランティアで新しい生涯学習の場「虹の扉」を立ち上げ、それぞれがやりたいことをデザインできる場の提供として、室内では講座・交流会、
野外では様々なイベントを立ち上げ、週末の不定期運営ながら1年間で延べ約1000人の参加者を数えている。
NYで始めたゴミュニケーションは、毎月東京代々木公園周辺でも開催をしている。

プロローグ

今回の週末企業社会人は、商社マンの傍ら、『世界中が学びの場に、世界中を遊びの場に』をキャッチフレーズに、様々な分野の講師をお招きした講座やレッスンの開催、NPOやサークル団体等とのコラボレーション企画、都内でのゴミ拾い、ギネスブック更新プロジェクトなど、それぞれがやりたいことを自由にデザインできる新しい生涯学習『虹の扉』の酒井拓さんにお話を伺いました。

きっかけはニューヨークの「ゴミュニケーション」

遡ること2001年になります。その当時は漠然と、何か人の喜ぶことをしたい、人と人を繋げることがしたい、という思いから、異業種交流会や、そこで出会った人が興味のあるテーマで勉強会を開いたり、また学生向けの就職活動のボランティア支援などを続け、2006年には社会貢献をテーマにしたチャリティーコンサートを開催しました。

2007から一年半、仕事でニューヨークに赴任します。学生時代に過ごしていた街でもありましたので、現地の生活に慣れるというステップは通り越して、仲間を募り、「ニューヨークライフを盛り上げる会!(http://activenyer.exblog.jp/)
という日本人中心のコミュニティを数人で発足し、日本でやってきたように異業種交流会、スポーツ、勉強会などのイベントを行ってきました。

その中で、「ゴミ拾い」と出会い、今までにない新しい視点、活動する意義そのものを見い出していきました。ゴミが非常に多いNYの現状を目の当たりにし、NYの街を綺麗にしながら、人種・世代・職業をこえた信頼の輪を広げていけたら素敵なのではという思いが生まれ、「ゴミュニケーション」というプロジェクトを、ロックフェラーセンター周辺で2007年10月より開始しました。

ニューヨークはとにかく観光地だけはきれいで、脇道に入るとゴミだらけ。

ロックフェラーセンターのクリスマスツリーの周辺をクリスマスの日までに綺麗にしよう!という目標を決めました。この活動が自然と大きな反響を呼び、人が人を呼び、活動が広がっていきます。

「ゴミュニケーション」(=会話を楽しみながらゴミを拾う)の理念に賛同してくれる人たちが次々と増え、外国人も含め、1年間で約30回を開催し、延べ300人以上が参加しました。

参加者それぞれがどうしたらもっと楽しくゴミ拾いができるかを考え、全員でオリジナルのTシャツを作り、行ったことのない道を綺麗にしたり、挨拶運動をしたり。ゴミ拾い用の道具トングに至っては現地になかったので、家族が日本に一時帰国した際調達してもらいました。

こんなエピソードがあります。いつも通りミッドタウンの道を清掃していたら、そのビルから日本人の方が出てこられました。

話を聞くとその方は日系アパレル関連の専門商社の社長でした。思いを話したところ活動の趣旨に共感いただき、社長という肩書でありながら、同じ目線になって週末のゴミ拾いに 参加頂くようになりました。

また同じく喫茶店の近くを清掃していたところ、喫茶店のオーナーが出てこられ、同じく趣旨に共感頂き、飲食の無料提供及び、「たまり場」として場所を提供してもらえるようになりました。このようにして取り組みが自然と広がっていった結果、日系のメディア5社にも取り上げられるようになり、NYでもエコ・チャリティコンサートを開催するところまで活動の幅を広げていきました。現在も活動は後任が引き継ぎ、NYでのゴミ拾いは60回以上に及んでいます。

駐在員生活最後の3カ月で今後のビジョンを描く

駐在員生活最後の3カ月では、帰国後のビジョンを描くため、コロンビア大学や後述のThe New Schoolへ見学にいったり、他の学校の教授との対談を通し、日本流に「皆がやりたいことを自由に制限なく実現できる場」を作るという結論に達しました。

米国では、社会人になっても地元のコミュニティカレッジなどに仕事後に通うことへのハードルが低く、能力に応じたスキルアップや、趣味を磨くための社会的インフラが十分に整備されています。そのため、それぞれがやりたいことを積極的にチャレンジできる'機会'や'場'が広く提供されているように思えました。

The New Schoolという、米国歴史上最古(1900年初頭)の社会人向けの大学では、最初は少ない人数でのサロンとしての集まりからスタート。後にそれぞれ専門知識のあった人を呼び合い、それが100年たった今や8つの建物にわかれ、2万人以上の生徒が通い、1000ものコースがあります。中にはジャズや演劇専用のビルもあり、これらは本当にすごいとスケールの大きさを痛感しました。

日本帰国後すぐの2009年頭より、これまで8年間活動してきた集大成としての覚悟を決心し、「世界中が学びの場に、世界中を遊びの場」をキャッチフレーズに新しい生涯学習のコンセプトを打ち立て、ゼロから仲間を作り、ボランティアで交流会や講座・レッスンを7月から本格スタートしました。

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これからの時代は競争から「共生」の時代

それぞれの個性や生き方を尊重し、お互いが支え合いながら、また切磋琢磨しながら共に生きていくという、方向性に今きているのだと感じています。その考えに沿うように、スタートから、それぞれがやりたいことに応える形で、元ウィンブルトン選手によるテニスレッスン、料理教室、アロマーテラピー講座、ヨガレッスンなどの講座・レッスンの開催、アーティストやお笑い芸人などのゲストをお招きした交流会の開催などを行い、まずは基盤を作ってきました。

2010年は、コラボレーション、プロジェクトを加速していきます。これまで実現できなかった癒し分野のプロを集めた「癒しday」開催に着手し、NYでのゴミュニケーションプロジェクトを東京でも月1のペースでスタートさせ、女性だけのコミュニティの新設、またNPOや他サークル団体、個人事業者とのコラボレーショ企画も行えるようになってきました。

大切にしているバラメーターは、「誰からみても良い活動ができているかどうか」、「参加者目線で遊び心のある、創造力を活かした価値のある企画になっているかどうか」、「身近で頑張っている人たちを応援できているかどうか」です。この毎月の繰り返しが、互いを成長させ、ゼロから新しい価値を創造していく源になります。

最近では、参加する皆で力を合わせ感動を生みだす企画として、世界最大人数で2人3脚を50メートル歩ききるギネスブック更新プロジェクトが誕生。このようにかけがえのない体験をたくさん創る場として、参加者が創り上げる場として、また自分のスキルを生かす「プロボノ」として、ライフワークそのものとして、取り組めます。

学び=人間の成長

人は見たこと聞いたこと、といった世間的情報によって、そのものを知ったような気になって終わってしまったりということが多いように思います。大切なのは自分自身の実体験だと思っています。

そして人間は生涯成長し続ける生き物です。子どもが生まれたら、子どもに思いを託すのではなく、何歳になっても、夢を語ったり、語り継ぐことができるような親であることも重要です。勇気、感動、使命感といった、お金云々ではないことを生みだしていくということに挑みたいのです。

『虹の扉』では、スタートして約1年がたち、延べ約1000人の参加者を数えました。一人ではできないことも同じことを思っている賛同者を集めたら、ゼロから1が生まれて、1から10、100とどんどん大きな輪ができて、可能性は大きく広がる。

大切なのは、それを実現するためのきっかけだったり、それを後押ししてくれる人たちがいるかどうかであると感じています。楽しく学ぶことは観点をかえれば、その人にとって新しい遊び場になります。

ワクワクする気持ち、冒険しているような気持ち、本気で取り組んでいる気持ちが行動となり、やがて感動を生む。その瞬間、「最大限の自分を今生きているな」、と心から思えるかもしれません。

人間は誰にだって何歳になっても、無限の可能性を秘めていると信じて、「みんなで創る生涯学習」、もっと楽にいえば、「新しい遊びの場」を提案し続けていける場所を創っていきたいと思います。


自分にできることは、出会う一人ひとりと裸の心で誠心誠意向き合うこと。そして心の壁を越えて、それぞれの人が持っている最大限の可能性を引き出せるよう、自分に可能なあらゆることを創造的に試みること。

「やるからにはやる!」という「覚悟」をもって取り組んでいきたいと思います。

Word of power

・「やるからにはやる!」という「覚悟」をもって取り組む

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